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闇に映し出された光の中に見慣れた風景があった。
正雪の屋敷である。
大勢の魔雑兵の刀に無惨に殺された自分と正雪が映っている。
それを見つめる軍兵衛の姿も見える。
「これは!?」
驚き、混乱する紅の視界に、またもや闇の揺らぎが起こった。
光の左右に、ひとつずつ。
次の瞬間、揺らぎから二人の人が現れた。
紅から見て左側の人物は少年であった。
十代後半ほどか。
侍の風体だが、髷は結っておらず、頬の辺りまでの黒髪。
整った顔立ち。
やや、かわいらしさも混在する。
大きめの瞳は優しげな印象。
青白い肌。
血の気が無い、ふっくらとした唇。
紫色の着物と袴姿であった。
腰には長刀と脇差し。
一方の右側の人物は女。
二十代後半か。
こちらは腰の辺りまでの黒い長髪。
美しく、いやに艶っぽい。
真っ赤な口紅。
隣の少年よりも、さらに大きな双眸は、まるで猫のそれだ。
弱々しい光を洩らさず全て反射し、きらきらと輝く。




