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「私と奏さんは魔武士の総大将を倒せるかもしれない『魔弾』を完成させるために『血の華』を探しています。あなた方も、いっしょに来ませんか?」
ターシャが紅と響に言った。
紅が焚き火の炎を見つめながら、首を横に振る。
「お前たちが寄り道するなら断る。余計なことをしてる暇はない。あたしはあたしのやり方で魔武士を皆殺す」
紅の淡々とした口調にターシャは、かえって凄みを感じた。
「紅さんは、どうして魔武士と戦っているのですか?」
ターシャの言葉に、紅は表情を険しくした。
「あたしが魔武士と戦う理由…」
紅は百姓の娘であった。
十二歳の時、戦で村ごと焼き払われ両親を亡くした。
そこからは生きるために、殺しと我が身を売る以外は何でもやった。
紅が主に行ったのはスリ。
自分が悪人だと分かってはいたが、とにかく必死の思いで戦国の世を駆け抜けた。
ある町の片隅に流れ着き、住む家も無く生活し始めて一年が過ぎた。




