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そうだとすれば、指輪をはめたことで操の身は、ある程度は護られるはずだ。
「女! この骸造様を無視しておるのか!」
骸造の右手が操へと伸び、胸ぐらを掴んだ。
操は指輪の効力によって、骸造が相応の痛手を被るはずと刮目した。
何も。
何も起こらなかった。
「そんな!?」
操が顔色を変えた。
「ふふふ」
骸造が笑う。
「魔祓いの道具で俺が苦しむと思ったか?」
血走った両眼で操をにらみつける。
「俺たち魔武士は『未来』から来た。この魔具足と」
骸造が自らの胸を右手親指で指す。
「身体に埋め込んだ魔鉄が、魔祓いの効果を全て打ち消す。『未来』の技術が、俺たちの弱点を克服させたのだ!」
骸造が肩を揺らす。
「俺たちはあらゆる時代へ、そう、時間の分岐点をもひとつひとつ、しらみ潰しにし、有用な技術は奪い、魔祓いを根絶やしにする!」
操は骸造の言っている意味は、まるで分からなかった。