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四本の刃が矢継ぎ早に、紅を襲う。
紅は身体をかわし、なおかつ黒楽器の回転刃で白刃を受け流した。
魔武士との戦いにおいて、黒楽器を防御に用いたのは、これが初めてであった。
その様子を見た響は不安に駆られた。
紅は、どういうわけか魔武士たちの居場所が分かるらしく、迷う素振りを見せずに、ここまでやって来た。
すると丁度、三人の魔祓い師を堕武流が斬り殺したところと出くわしたのである。
響は重軒を倒した紅の強さを知っている。
それゆえに、なおさら堕武流の攻撃に守勢に回る紅に、予想を超えた苦戦を感じ取った。
「紅さん…」
しかし、自分には何も出来ない。
魔祓いの道具も、もう持ってはいない。
捨てずにいたとしても、魔武士には何の効果も無い。
(俺も)
響は手のひらが白くなるまで拳を握りしめ、唇を噛んだ。
(俺も魔祓い道具と変わらない。ただの役立たずじゃないか!!)
無力な己に対する怒りが全身を震わせる。
(俺は、このままじゃ駄目だ!!)




