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「ターシャさん!!」
奏が慌てる。
「オートモードです。そのまま動かないでください。バイクがあなたを守りますから」とターシャ。
奏の血の気が引いた。
「ターシャさんは!?」
「私は、この怪物と戦います」
「そ、そんな!!」
「心配しなくていいです。実は『下北沢』でベースの他に空手道場にも通ってたんですよ。かなりボケた、おじいさんの道場でしたが、たぶん大丈夫」
バイクは奏を乗せたまま、ターシャから離れた。
奏は震えた。
ハンドガンなる武器が、まるで通用しない敵に、どう見てもかわいらしい女人にしか見えぬターシャが、しかも生身で立ち向かおうというのか?
次の瞬間にはターシャが、この世から消え去るのではないかと思うと、心臓がわし掴みにされたように痛んだ。
「くくくっ」
斬破螺が笑う。
「小娘。お前から死にたいようだね」
斬破螺が前進を再開した。
果たして、その銀髪の攻撃範囲は、いかばかりか?
「あっ!?」




