表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅伝  作者: もんじろう
23/143

23

 今や重軒と魔雑兵たちは折り重なり、ひとつの塊の如き有り様となった。


「し、死ぬぶひっ!!」


 重軒の頭骨がひしゃげ、砕け散る。


 魔雑兵たちの無惨な死体の上に紅が立つ。


「あばよ、悪党」


 紅が言った。


 黒楽器を手にしたまま、里の外へと歩きだす。


「ま、待ってください!!」


 紅の前へと飛び出し、両膝(りょうひざ)を着いた者が居た。


 響である。


 紅に土下座した。


 額を地面に擦りつける。


「お、俺を弟子にしてください!!」


 紅が止まった。


 じっと響を見つめる。


 相手の無言に顔を上げた響と眼が合った。


 紅の美しいが冷たい、まるで地獄そのものを覗き込んでいるのかと錯覚する瞳。


 否。


 響は気づいた。


 一見、恐ろしく冷ややかに見える双眸の奥深くに、火山の噴火の如く猛々しく荒ぶる炎を。


 けして折れない激しい情熱を。


 紅も響の両眼に映るものに気づいた。


 それは絶望だ。


 大切なものを失ったとき、そして自分が無力だと知ったとき。


 絶望は襲ってくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ