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紅伝  作者: もんじろう
22/143

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 紅の両手の指が素早く動いた。


 ドゥンドゥンドゥンドゥン。


 黒楽器が低い音を奏でる。


 紅の右手の指が、いっそう激しく弦を弾く。


 ドゥゥゥゥゥゥゥンッ!!


 やおら、紅が重軒に向かって跳んだ。


 空中で黒楽器を振り上げる。


 重軒の頭上から襲いかかり、黒楽器を一気に振り下ろした。


 その速さは、先ほどの黒楽器のときよりも遅い。


「ぶひっ!!」


 重軒が太い両腕を顔を前で交差させ、楽々と受け止める。


 やはり、重軒の魔具足には通用しない。


「ボクちゃんの番だぞぉ」


 重軒が笑った。


 次の瞬間。


 (いま)だに空中の紅が、黒楽器の弦を掻き鳴らした。


 突如。


 重軒の両腕に当たった黒楽器の圧力が、はね上がった。


「ぶひっ!?」


 黒楽器のあまりの重さに、両腕の魔具足に亀裂が走る。


「な、何だ、ぶひっ!?」


 瞬く間に魔具足が粉々に砕け散った。


 続いて、重軒の両腕が折れる。


「ぎゃぶひっ!!」


 黒楽器そのものが重いだけではない。


 黒楽器の板状部分から発生する力場のようなものが、重軒の全身と輿、それを支える魔雑兵たちを恐ろしい圧力で押さえつけ始めた。


 まるで透明な巨大な手のひらが、重軒たちを押し潰そうとしているようである。


 腕を折られた重軒の兜が割れ、顔面の骨も歪んでいく。


「ぶぶぶひーーっ!!」


 支える魔雑兵ごと、輿が押し潰された。

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