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紅伝  作者: もんじろう
17/143

17

 職人の作業着姿の響は、魔雑兵によって引っ立てられ、里を襲う指揮を執った者の前へと座らされた。


 周りは十人の魔雑兵が、ずらりと囲んでいる。


 里の中央にある広場であった。


 響は眼前の魔武士を見上げた。


 相手が恐ろしく巨漢であったためである。


 十尺(一尺約30㎝)はあろうかという体躯(たいく)


 しかも、異常に太っている。


 魔武士が座った輿(こし)を魔雑兵十人が支えていた。


「ふあー」


 魔武士が、あくびをした。


「こいつが最後か?」


 魔具足の兜の下の両眼が、ぎろりと輝く。


 魔鉄を埋め込まれた顔は、やはり黒い。


「はっ、重軒(じゅうけん)様!」


 魔雑兵の一人が答えた。


「うーん」


 重軒が響をねめつけた。


「おやつには丁度、良い」


(おやつ!?)


 響は恐怖した。


 この怪物たちは人間を喰らうのか?


 響の顔が青ざめたのに、重軒が気づいた。


「ああ。これはボクちゃんだけの趣味だよ。それでなくても腹が減るから。お前なら、三口くらいで食べ終わるかな」


 重軒が、ぶひひっと笑った。


「輿に上げろ」


 重軒の指示で周りを囲んでいた魔雑兵たちが、響を輿に放り上げた。


 身体を打ち「うっ」となった響に重軒が右手を伸ばす。


 響の奥襟(おくえり)を掴んで、持ち上げた。


 響は魔祓いの腕輪を身に付けていたが、何の効果も無い。

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