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眼鏡に文字や複雑な形の模様が浮かんでは消える。
「別の時間軸からの侵入者と特定。武装解除許可を求めます」
女が左手首に巻いた、光る細い帯に話しかけた。
「武装使用ヲ許可スル」
全く感情の無い、妙な抑揚の声が帯から返ってくる。
女が跨がる乗り物の左右の胴体横部分が同時に蒸気をあげた。
ぱかっと開く。
女はそこに両手を入れ、それぞれ四角い短筒のような物を取り出した。
女が両手の短筒を、かちゃかちゃと鳴らした。
「セーフティ解除して。これでよしと」
女が右手の短筒を骸門たちに向ける。
「実弾銃を撃つの久しぶりですね。レーザーガンは三回前の…あれ? 四回前の任務だったかな? どっちかで撃ったけど…」
女が短筒の引き金を引いた。
轟音と共に短筒から弾丸が発射され、魔雑兵の一人の頭に命中し、兜を易々と貫通した。
魔雑兵が倒れる。
女が続けて三連射し、魔雑兵は皆、即死した。
「よし」
女が言った。




