135/143
135
「うがーーっ!!」
激情斎が苦悶の声を上げる。
黒楽器の力が、激情斎の身体中に埋め込まれた多数の一尺(約30㎝)ほどの大きさの球を体外へと飛び出させる。
これこそが魔鉄であった。
全身から血を流す激情斎が両のひざを着いた。
ターシャが元の位置に跳び戻る。
「そして最後は! ギターの…紅さん!!」
紅が一歩前へと出る。
猛烈な早さの指さばきで黒楽器の弦を掻き鳴らす。
ギュギュギュギュギュイイイイーーーーン!!
紅が背中を反らし、その格好で停止した。
「ええええっ!!」
静けさの中、紅の口から男とも女ともつかない声が響いた。
「ええええ壊封誇勇怒!!」
紅が黒楽器の細長い部分を両手で持ち、激情斎へと跳んだ。
振り上げた黒楽器の胴体部が空中で、どんどん大きくなっていく。
巨体化は十倍ほどで止まった。
黒楽器の胴体に、どくろの画が出現する。
その両眼には激しい炎が燃え上がっている。




