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紅が着物を戻し、今度は胸元を双丘の頂きぎりぎりまで露出した。
「まままま真威吼!!」
紅の胸元から黒楽器が飛び出す。
「奏!!」
紅が黒楽器を奏に投げた。
「ええ!?」
奏が戸惑いながらも黒楽器を受け取る。
紅が再び着物を戻し、左肩を出す。
「べべべべ邊獲主!!」
左上腕部から黒楽器が飛び出した。
「ターシャ!!」
紅が黒楽器の紐を首の後ろに差し込み、ターシャに投げる。
紐は何倍にも伸び、繋がったままだ。
「わ!!」
ターシャが黒楽器の革帯に腕を通す。
「下北沢のベース教室に通っていて良かったです!!」とターシャ。
紅が着物を戻し、今度は右肩を出した。
「ぎぎぎぎ義躱鴉!!」
右上腕部から黒楽器が飛び出す。
紅が黒楽器の帯に腕を通し、首のもうひとつのほくろに紐の先を差し込む。
四人、全員が黒楽器を手にした。
激情斎と魔雑兵たちは、あまりの意外さに呆気に取られている。
「く、紅さん!」
奏が、上ずった声を上げた。
「私、どうすれば!?」
紅が頷いて見せる。
「奏、真威吼に任せれば大丈夫だ。お前の素直な気持ちを唄え!!」
奏は、やや不安げな表情を見せた。
が、すぐに。
「はい!!」と力強く頷いた。




