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紅伝  作者: もんじろう
13/143

13

 奏は十七歳。


 胸までの真っ直ぐな黒髪。


 前髪は眉上で横一直線に切り揃えられている。


 瞳はくりりとして、かわいらしい顔立ち。


 細く、小柄であった。


 浅葱色(あさぎいろ)の魔祓い師の着物に身を包んでいる。


 燃え盛り、屋根まで及んだ火勢を絶望的に見つめる奏を追って、骸門と四人の魔雑兵が庭へと下りてきた。


 骸門と魔雑兵たちの容姿は、二月前に紅に殺された魔武士たちと、ほとんど変わらない。


 骸門は骸造より、やや横幅がある程度か。


「小娘、逃がさぬぞ! 魔祓い師は全て殺す!」


 こちらに来る五人を見て、奏は指で印を結び、ぶつぶつと何かを唱えた。


 事前にこうすることで奏は、魔を祓う技を発揮できるのだ。


 すなわち。


 奏が口を開け、澄みきった歌声を響かせる。


 奏の技、魔祓いの歌。


 本来であれば、この歌を聴いた『魔』は苦しみ始めるはずだが。


「ふはは!!」


 骸門が笑った。


 やはり。


 やはり、魔具足を着け、魔鉄を身体に埋め込んだ魔武士たちには魔祓いの技は一切、効果が無い。


 奏の歌は常人には心を癒す美しさではあったが、目の前の怪人たちにとっては耳汚しになる雑音に過ぎないのだ。


 奏は唖然とし、歌を止めた。


 骸門が奏へと右手を伸ばす。


 刹那。


 けたたましい重低音と共に、何かが魔祓い師屋敷の高い壁を飛び越え、庭に着地した。

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