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紅の檄に三人が頷く。
二台のバイクは速度を上げ、黒山の魔雑兵たちを蹴散らしながら、巨大魔武士へと突進した。
巨大魔武士が、その逞しい両腕を振り上げる。
「がああああっ!!」
雄叫びと共に巨人は、両拳を二台のバイク目がけて振り下ろした。
二台のバイクは瞬時に左右に分かれ、猛烈な勢いで飛来する巨大な拳をかわした。
拳の衝撃で何人もの魔雑兵が叩き潰され、大地は激しく揺れる。
二台のバイクは地面の振動を巧みに吸収し、次の瞬間。
大地に突き刺さった巨大な双腕へと跳び、その上を走り始めた。
右腕には紅と響のバイク。
左腕にはターシャと奏のバイク。
二台のバイクが高速で巨腕を走り登っていく。
目指すは巨大魔武士の頭部。
突然。
巨大魔武士の両腕の魔具足より、無数の魔雑兵が沸き上がった。
二台のバイクに、一斉に襲いかかる。
「なめんなっ!!」
紅の黒楽器が吼える。
「邪魔ですーっ!!」
ターシャのハンドガンも吼える。
襲いくる魔雑兵たちを瞬殺しながら、四人の乗る二台のバイクは、それぞれの腕を駆け登る。
疾風怒濤の勢いであった。
すさまじい速さでバイクは両肩へと到着した。
二台のバイクが首の後ろで合流し、右肩の上で周回し続ける。




