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右手で懐の「魔弾」を入れた箱に触れた。
「ここぞというところで、奏さんから私が『魔弾』を受け取って、ハンドガンで発射するということで。当然、緊急時には必ずしも、この流れでなくても問題ありません」
ターシャ以外の三人が頷く。
続いて、ターシャが紅を見つめ頷いた。
「さあ」
紅が言った。
「魔武士退治と、しゃれ込むよ! 腹を括りな!!」
二台のバイクが発進した。
高速走行へと移行する。
紅と響はこの「未来」の乗り物に最初は戸惑ったが、バイクが自動的に二人を落とさぬように走るため、すぐに落ち着き、慣れてしまった。
二台のバイクは並走し続けた。
太陽が頭上近くまで差しかかった頃、「この先に奴らが集まってる!!」と紅が叫んだ。
その直後、前方に黒山の魔雑兵の軍勢が見えた。
陣を敷いてはいないが、その数、百や二百ではない。
おそらく、千以上。
ターシャが左手首の帯を見る。




