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奏が言った。
普段は大人しい奏も響に対してだけは、いつもより強い口調となる。
「どうだかね」
響が言った。
こちらは馬鹿にしたような物言いだ。
「どうせ、魔武士の総大将も魔具足を着て、魔鉄を身体に入れてるだろ。そんなもの、何の役にも立たないんじゃないか?」
「何ですって!!」
奏が目くじらを立てた。
「『魔弾』は、かつて魔武士の総大将を倒してるのよ!!」
「だから、そんなの大昔の話だろ? 今、攻めてきてる魔武士たちには、魔祓いは全く効かない! 紅さんと」
響がターシャを指した。
「その、変な人しか奴らを倒せないじゃないか!!」
これには、ターシャが顔色を変えた。
「え!? ちょ、ちょっと」
「そんなことない!『魔弾』は必ず魔武士の総大将を倒す!!」
「お前が、そう思いたいだけだ!!」
「ひょっとして、私は『変な人』と思われてるのですか!?」
「確かにターシャさんは変な人かもしれないけど『魔弾』を完成させるのに協力してくれた!!『魔弾』が総大将を倒すのに使えるからよ!!」
「ええ!? 奏さんも私を『変な人』と思ってたの!?」
「その人が変な人だってこと以外は、お前と俺は全然、意見が合わない!!」
「こっちの台詞よ!!」
「へ、『変な人』は確定なの!?」




