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「クソ女どもがっ…次に遭ったら必ずクソ殺す…」
百姓娘姿のシーカが瞬時に、かき消えた。
「逃げられましたね」
ターシャが残念そうに言った。
紅が黒楽器を吹き消す。
「本当に危ないところでした。助けていただいて、ありがとうございます」
ターシャが紅に、ぺこりと頭を下げた。
紅は、いつもの表情を崩さない。
「この前の借りを返しただけさ」
紅が、ぼそりと言った。
堕武流との戦いのことだと、ターシャは気づいた。
「わ。紅さん、めちゃくちゃ良い人ですね」
「ふん」
紅が横を向く。
「またまたー。恥ずかしがらないでくださいよー」
「くっつくんじゃねえよ!!」
ターシャと紅の元に、奏と響が駆けつけた。
またも四人の女たちは闇夜の中、焚き火を囲んで座っていた。
紅の左に響、奏、ターシャの順である。
奏が響に「魔弾」を見せていた。
「これで魔武士の総大将を倒せます。魔祓いは、まだ負けていません」




