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「がががっ! 何だ、このクソが!!」
突然の強烈な奇襲攻撃に、シーカが両眼を剥く。
この隙をターシャは見逃さなかった。
両拳の手のひら側を上に向け、腰の横にぴたりとつけて構え、棒立ちとなったシーカの前に仁王立った。
「あ!?」
シーカがターシャの動きに気づく。
しかし、もう遅い。
「チェストーーーッ!!」
ターシャが咆哮した。
電光石火の正拳五段突き。
その五つの打撃は、ことごとくシーカの身体の正中線を捉えた。
「がはっ!!」
急所への正確無比な攻撃に、シーカが前に倒れる。
紅が着地した。
ターシャと紅が、うつ伏せに倒れたシーカを挟んで、向き合う形となった。
「ぐぐ…」
シーカが、うめく。
正面からのターシャの攻撃と背後からの紅の攻撃で、明らかに弱っている。
「エ…エネルギーが…ク…クソが…」
シーカの、きらきらと輝く緑色の装束が消失した。
右手で左手首の帯を操作する。




