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紅伝  作者: もんじろう
105/143

105

 ここで娘の様子が変わった。


 接近してくる魔武士たちのさらに向こう側、街道を走ってくるターシャのバイクが見えたからだ。


「うわっ!! もう来たじゃん!! ヤッべ!!」


 娘は慌てて、その場に伏せた。


 これは二人の魔武士からすれば、逆らってみたものの相手の恐ろしさに気づき、怯えだしたのだと映った。


「何だと、女!!」


「もう一度、言ってみよ!! その細首、はね飛ばしてやろうか!!」


 そこへ、ターシャがやって来たのであった。


 時を元に戻そう。




 ターシャの前に仁王立ちしている娘の容姿が、一瞬で変わる。


 髪は伸び、栗色になった。


 頭の左右で髪が(くく)られている。


 顔色は褐色になり、唇には真っ赤な口紅。


 ターシャは娘の左手首に、自分の物と同じ細い帯が巻かれていると、ようやく気づいた。


「あなた…『TC』ですね!!」


 ターシャが言った。


「気づくのが遅せえんだよ、このクソが!!」


 娘が凶悪な表情で怒鳴る。

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