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第1話 8 王女の嘆き

投稿完了致しました。

少し話が変わりまして、別人物の視点になります。

次話から主人公視点になります。




女は無我夢中で森の中を走っていた。

形振り構わず、服は破れ、髪は所々にあった木の枝によって乱れていた。

だが、右手には母からの形見であるペンダントがしっかりと握られており、腰には大切な兄の形見である護身用の剣を。

それらを決して落とさぬように。



後方から聞こえてくる魔獣の咆哮。

まるで逃げる彼女を嘲笑うかのように聞こえるその声。

少しでも足を止めたその時....

確実に死ぬ.....







セントレアル王国という小さな国があった。

その国の王は臣下民共に認める素晴らしい人物であった。

その国は北と南の2つの大きな国に挟まれるように位置しており、東に樹海が面し、西には海が隣接している。



だが、海には獰猛な海の魔物の住処とされており、一般の船では到底通過することができず、港というものは存在せず、たとえあっても無価値なものであった。



そして、東の樹海は、未だその全貌が明らかになっておらず、更に西の海のように普通の兵士ではとても太刀打ちが出来ぬような魔物の住処となっている。

そして、この国は他から見ると決して豊かではないと言えるだろう。

稀に現れる海と樹海の魔物の対処を行い、あまり仲が良くない2つの大国に挟まれ、四面楚歌という状態が常に起こっている。

財政は良好とは言えず、王族ですら満足に生活が出来ぬほど金がなかった。

....だが、こんな国を民達は、王を、そして国を決して見捨てなかった。

王も民を国を.....家族を見捨てなかった。

民達は貧しながらも私達は幸せだと言ってくれた。

魔物も決して対処できない訳では無い。

自分達の故郷をを絶対に捨てないと言ってくれた。

だから不満なんてなかった。不幸だなんて思ったこともなかった。私は幸せ者だと心の底から思っていた。

どうかこの平穏な日常が続きますようにとそう願っていた。





......そう.....願っていた。そんな日常はとある出来事を境に少しずつ、消滅していった。

......私達の父....王が亡くなったあの日から...




セントレアル王国の王には1人の妻と3人の子供がいた。

男が2人、女が1人。

第一王子は王と同じく国に思い、民を思い、そして優しく、更に聡明であったことから幼い頃から国の内政に携わっており、王子として、人間としてとても素晴らしい人だった。

第二王子は第一王子のように頭脳には長けていなかったがではなかったが、同じく国を大事にする思いはあり、そして、彼には軍人としての才能、そして力があった。第二王子の力は齢15の時点で、北と南の大国の実力者と余り変わらない力を持っており、今では国の軍の最高位であり、各地の魔物などを対処している事から民からの好感が凄まじかった。

そして、第一王女。

名はラトヴィール=セントレアル。

第一王子と第二王子の間に生まれ、第一王子(兄)のように聡明ではなく、第二王子(弟)のように強い訳でもなかったが、優しいこともあり、何よりその美しい見た目により、民から慕われていた。

王妃と王女、共にこの国、周辺の国でも1.2を争うほどの美しさであった。



第一王子は歳は20を超えており、王族として、普通であれば許嫁が決まっており、結婚をしていてもおかしくは無いのだが、弱小国でもあったこの国にそんな余裕はなく、他国からも嫁の来てくれる者がいないと言っていいほどだった。



だが、第二王子には許嫁と言っていい人がいた。

その方は南の大国の第二王女であり、王女が移動中魔物に襲われていた所をたまたま近くにいた第二王子に救われたらしく、それから第二王子に好意をもち、わざわざ国に挨拶にいらした程だった。



........だか、それが悲劇を招くこととなった。

大国の王女が第二王子に求婚をした僅か1ヶ月後、王が突然亡くなったのだ。

原因は不明。亡くなる前日まではいつも通りだったのだ。本当に急な事であった。



そのショックにより、王妃も倒れ、そしてその後を追うように亡くなってしまった。

国は荒れたが、第一王子がその場を静め、その場はなんとかなったのだが、その十日後、第一王子は亡くなった。

原因は同じく不明。

今度こそ国は本格的に荒れた。



そして、次にそれを鎮めたのが第二王子と婚約者だった。

勿論王位継承権は男性継承であったため第二王子に渡り、そのまま王となったの。



だが、それから第二王子の様子がおかしかった。

今までであれば、毎日城の兵士の誰よりも鍛錬をし、一度魔物の報告があれば誰よりも早くに駆けつけていた人だったが、今ではその殆どを部屋に籠り、その代わりに王権を握っていたのが婚約者だった。



それからは何故か私の地位が日を追う事に低くなっていった。

そして変わったのはそれだけでは無い。

あれ程この国を思っていた民、臣下達がまるで人が変わったかのように、私に対しての態度が変わったのだ。

その代わり、第二王子の婚約者は以前の私のような扱いを受けていた。



1度第二王子である弟に説明を求めたが、会うことが出来なかった。

私も1日の大半は部屋に閉じ込められている。

....何故こんなことになってしまったのか...

私のあまりない頭で考えた結果、やはり時期的にもあの婚約者が何かしたということなのか。



私なりに怪しい点を言うと、まず婚約者が襲われたというの場所が東の樹海であった。

普通に考えると何故そこを通っていたのか?

確かに南の大国の軍は強いと聞く。

当然そんな場所を王女が通るのであれば護衛など数十人はつくだろう。

だがその時に第二王子が護衛は僅か3人と言っていた。

その3人が強ければそこまで問題無いのだが、どれも文官らしく、戦闘能力は無かったらしい。



これだけでも何かありそうなのは明白だが、更に言えば、現在南の大国の人間.....王族が北の大国に行く訳が無いのだ。

では別の国に行くのではないか?

それはありえない。

なにしろ、東の樹海に隣接しているのは南の大国、北の大国、セントレアル王国だけなのだ。

セントレアル王国に来るのであれば真っ直ぐここに来るはず、しかし、わざわざ東の樹海を通ったということは行先は北の大国しかない。



だが、それこそ最もありえないのだ。

2つの国は長年争っている。

始まりは約200年前程、その原因は南の大国の位置が関係している。

北の大国は大陸の最も北に位置しており、隣接国はセントレアル王国のみ。

北の大国が他の国との貿易をするためには、セントレアル王国を通るか、西の樹海を通るか、海を通るしかない。


まず陸路である東の樹海。

これは安全に荷を運ぶことが出来ない。理由としては、魔物のレベルが高すぎるのだ。

最低でもレベル4の魔物しか存在せず、確かに、高ランクの者を連れていけばいいのだが、毎回それができるはずもなく、現実的では無いのだ。

次に海路。東周りの航路は西の樹海と同じく、高レベルの魔物が跋扈しており、逆に西航路なら、あまりにも遠回りなってしまうのだ。

なら北の大国はどうするか。

邪魔なものを片付けようと考えた。

当時の北の大国の王は好戦的であったらしく、すぐ下に安全な陸路があるのだ。それを最初奪おうと考えたのだ。

そして、北の大国は私達の国に宣戦布告をした。

最初は言わずもがなセントレアル王国が劣勢だったのだが、そんな北の大国を気に入らなかった南の大国がセントレアル王国と一時的な同盟を組み、それがあってなんとか今は睨み合いが続いている。

だが、200年たった今では北と南の大国だけの争いになっている。セントレアル王国の事などもはや関係なく、ただ大国同士で争っていた。



それ程仲が悪いのに何故王女1人で向かっていたのか?

最初は何かしらの用事、休戦協定を結ぶためなどと思っていたが、それなら何故私達の国を通らず、わざわざ危険な西の樹海を通ったのか。

セントレアル王国は南の大国とは敵対している訳では無いし、そもそも一応同盟国ではあったので王族であれば、よっぽどの理由がない限り通行できるはずだ。

そのような疑問が頭に浮かぶ。



......まさか西の樹海に行く理由があったのか?

......第2王子に助けられたと言うが、そもそもこの付近の人、兵士ですら滅多に行くことの無い西の樹海で偶然第2王子が居たタイミングで偶然助けられたというのか?

......これがもし偶然ではなく必然だとしたら....

......しかし、これが何かの陰謀だとしても、何故小国であるこの国を狙ったのか?

.......何故、私達がこんな目に遭わなければならないのか....



だが、セントレアル王国第一王女、ラトヴィールはどれだけ考えてもその答えはでなかった。

そして、正義感が誰よりも強かった彼女、

ラトヴィールは己の考えを信じ、婚約者に刃を向けてしまった。

だが、ラトヴィールは国を乗っ取ろうとする侵略者、反逆者として牢に捕らえようとした。



失敗は何の証拠もなくラトヴィール自身のその正義感だけの行動に出てしまったのだ。

現在、セントレアル王国の王は第二王子、その妻にラトヴィールは手を出してしまった。

傍から見れば、ラトヴィールの方が反逆者だ。



いくら国の第一王女としても、その行動は不味かった。

逆に、私は捕らえられてしまった。

.........誰も味方はいなかった。

国の兵士も、民も、誰も味方をしてくれなかった。

私は叫んだ。

何故皆そんなに平気な顔をしているんだと。

王と王妃と第一王子が亡くなったというのに、何故誰も疑わない!

何故誰も悲しまない!

何故!誰も婚約者を疑わない!

何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!何故!







反逆罪として捕まった次の日、私の処刑が決まった。

私は手を繋がれ、ギロチン台まで運ばれた。

あぁ.....なんでこんなことに....

少し前まで優しかった兵士も、民も、皆が私の処刑を喜んでいる。

一体どうしたのか?何故そのような顔を私に向けるのか?



私は何も間違ってはいないのに.......

私は正しい行動をしただけなのに....

私は........どこで間違ったというのか.....











私は逃げた。逃げてしまったのだ。


何故あの場所から逃げられたのか....

気づいた時には私は全力で森を走っていた。

......けど今の私に何が出来る?

兄上のように頭が言い訳でもなく、弟のように強い訳でもない。

尊敬した父もいない。大好きだった母もいない。



.........ただ無心に走った。

.........涙が止まらない。

.........何も出来なかった。

.........国を、民を、家族を捨て、逃げてしまった。

.........私が今生きている理由は何?

.........何故何もできない私が生き残っているのか?

.........私もここで死んでしまえばいいんじゃないか?



だが、私の足は止まらない。死にたいと心で叫んでも、何故かその足は止まらなかった。

私の足は走って走って、走り続けた。

......だが現実は残酷、私の体力がとうとう切れてしまい、木の根に引っかかったのか、そのまま転倒し、足が止まってしまった。



その後、すぐさま私を追いかけていた魔獣が姿を現した。

今まで見た事がないようなその姿。

その姿を見た瞬間、死が見えた。



......私がここで死ぬのは確実...

......それなら、少しでも抵抗を....



王女は兄の護衛用の剣を手に持ち、勢いよく魔獣に走りだし、その剣を振るった。

.....だが、それで魔獣の肌が切れるわけがなく、まして今までまともに剣など使ったことがない王女がそれを上手く対処できるわけがなく、魔獣の肌で勢いよく跳ね返り、剣が手から離れてしまった。



そして、次に王女の目に入ったのは、今にも王女を貫くその爪だった.....









ただいま執筆中でございます。

何とか頑張ります。


(馬鹿みたいな間違いの箇所を修正致しました。)

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