第1話 1 生まれた我が子
「奥様、旦那様、元気な男の子でございます」
「あぁ、あぁ!、元気な男の子だなぁ!」
「あなた.....本当に良かった....」
「お前も頑張ったなぁ!、ありがとう、ありがとう!」
「旦那様、興奮しすぎです」
「何を言ってる!、このような出来事を前にして落ち着いていろだと?........はははははははは!!」
「もぅ、あなたったら」
「俺達の子供だぁぁぁぁぁあ!!!」
「旦那様...........」
「うふふふ.......」
今日はなんて最高の日なんだ!
俺達夫婦の初めての子供。
出産前まで、あれほど窶れていた妻が頑張ってくれた。
最初は出産など絶望的だった。
実際これは2度目の出産なのだ。1度目の子は流産で亡くなっている。
だから今回も怖かった。もし次に無事に埋めたとしても妻の身体が心配だった。
妻も子供も両方救いたい。俺はそう願っていた。
...........そのおかげか今回は妻子共に無事だった。
ありがとう、ありがとう。神よ。
「...........あなた、喜ぶのはいいですけど名前は決まったんですか?」
そう呼ぶのは妻のカナリア。
カナリアも出産後だと言うのに顔色も良好だ。
「旦那様はこの日のためにずっとお考えなさっていましたからね」
そう言ったのは我が家のメイド長であるリタ、我が家自慢のメイドだ。
妻とも仲が良く、まだ歳も28と若いながらも仕事を完璧にこなし、他のメイドの育成もしている。出産時もずっと妻のそばにいてくれた。
「あぁ、男の子女の子共に100程候補を考えたが、今朝ようやく決まったのだ」
生まれてくる子供にとって名前はとても重要だ。親としても納得のいく名前をつけてやりたいところだが、まさかこんなに難しいこととは思わなかった。
昨日など仕事を放ったらかし、一日中名前を考えていた。
だが、やっと!、自分の中で納得のいく名前を見つけたのだ
「そのお名前とは?」
リタがそう言う。
「あぁ..............この子の名前は....................グローリアだ、私の名前、グロークスと妻のカナリアから半分ずつ取り名付けた名だ」
「グローリア.................ふふっ」
「な、なぜ笑うカナリア?」
「いえ、あなたがどんな名前を考えてくるのかリタと予想をしていたの。それでリタが旦那様の事だから私とあなたの名前を合わせるんじゃないかって」
なっ........私の考えに考えた名前がリタに簡単に予想されていたとは.......
「リタも笑っているのはそのせいか」
「も、申し訳ありません旦那様。私ももしかしてと思いまして.......」
「でも私もリタもそれでいいと思うわよ」
「あぁ、勿論だ。もう私の中ではグローリアと決まっていたのだ。..........あぁ、どんな子に育つか.......私に似て強い子になるのか、カナリアに似て賢い子になるのか、はたまた両方か........」
「もう、あなたったら、まだ産まれたばかりですよ」
「見ろカナリア!、グローリアがもう本を読んでいるぞ!」
グローリアが生まれて半年が経った。まだ歩くことも出来ない年なのだが1人で本のページをめくっていた。
きっとこの子は本の内容を理解して読んでいるのだろう。きっとそうだ。時折頷くような仕草が見られる。
聡明になるのは確実のようだな。
「あら〜、しかもそれ魔術書じゃない」
魔術書とはその名の通り魔術について書かれている本だ。
魔術とは神が人々に授けた力の1つとされている。というのも本当なのかどうかは誰も知らないのだがこの世界ではそう伝えられているものだ。
この世界の生き物はほとんどが魔術が使える。
人間では5歳になると本人の素質によって様々な魔術が使えるようになる。
魔術には属性が存在する。
炎、水、氷、風、雷、地の属性を下位属性。
光、闇、聖、無の属性を上位属性という。
下位属性は誰しも一つは持っているもの
上位属性はごく一部の者のみ持っているもの
一般的には5歳になると、教会に行き、お告げを貰い、そこで下位属性の内1つ以上が授けられる。人によっては2つ、3つを授けられる者もいる。
そして、ごく稀に上位属性と呼ばれる4つの属性の内の1つが授けられる。
上位属性を2つ以上持つものはいない。
今まで存在しなかったからだ。
そして魔術位階。
これはそのまま、魔術の位の指すもの。
一番下は1位階。属性を持つものなら誰でも使える生活魔術と呼ばれるもの。
1番上は10位階。存在自体疑われている魔術だ。
私は魔術はてんでだめだ。
属性は炎なのだが使えるのは二位階。
見習い魔術と呼ばれる位。
しかし私には剣がある。私は剣で今まで数々の戦場を生き残ってきた。
魔術など切り伏せ、並の魔術師でも倒せるほどだ。
妻のカナリアは私に比べて魔術が得意だ。
カナリアはなんと上位属性である聖の属性と水と雷の三属性を持っていた。
聖属性とは言わば回復魔術だ。
上位属性ということもあり、この属性の使い手はとても重宝され、国によってはそれだけで貴族位が貰えるほど。
それほど上位属性の使い手は少ないのだ。
私は剣で、妻は魔術で。
この世界で生きてきた。
だから周りも息子にも期待がでる。
私達の子供はどうなるのかと。
父以上の剣の使い手になるか。
母以上の魔術の使い手になるか。
両方の才能を受け継ぐのか。
そして、あっという間に4年半が過ぎ、グローリアが5歳になったのだ........
「グローリア、緊張してないか?大丈夫か?」
「大丈夫ですよ父上。ただ祈るですから」
「あなた、その言葉はもう10回は聞きましたよ」
「だ、だってなぁ...........」
カナリアは冷静だ。グローリアも実に落ち着いている。
しかし、周りを見るが、取り乱しているのは私だけでは無いようだ。
「こうゆう時こそ冷静にですよあなた。今はグローリアを笑顔で送りましょう」
現在私とカナリアとグローリアの3人は教会の前に来ている。
周りにも同年代の子の親達がいる。
お告げは既に始まっており、終わった子の方を見ると、家族で結果を喜んでいる者、落ち込んでいる者、自身の結果で未来を考える者、様々だ。
そして、とうとうグローリアの番だ。
「では父上、母上、行って参ります」
そう言ってグローリアは離れていった。
お告げは10秒程で終わる。
教会の奥にある神様の像に祈るだけであるからだ。
祈ると、そこで初めてその者のステータスプレートというものが神(と言うが実際はよくわからない)によって渡される。
いや、この時に初めて渡されるのは確かなのだが、5歳までは本人にしか確認ができないらしい。
らしいというのも、当たり前だが5歳以下の子どもがそんな事分かるはずもなく、私も見えていたという記憶が全くないからである。
この祈りで初めて他者にもステータスが分かるようになり、それまでなかった魔術が扱えるようになるということだ。
そして、ステータスプレートとは自身の強さが数字によって表されている物だ。
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グロークス=フォーマイン
Lv:78 フェンサー
HP: 1950/1950
MP: 390/390
ATK: 2184(+25)
DEF: 1248
INT: 156
RES: 468
DEX: 546
AGI: 780
・装備
鉄の剣《ATK+25》
【炎魔術二位階】
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これがステータスプレート。
左上が名前。そのすぐ下ににLvと職業
Lvは主に魔物を倒すことによって上げることができる。
歴代の最高Lvは勇者の158。その次に聖女の146。
しかしこれは異例であり、私の78も現在では世界最強と呼ばれる程のLvだ。
職業はそのままの意味だ。
私の職業は戦闘職だが、他に生産職と呼ばれる鍛冶師や薬師などがある。
私のフェンサーとは剣使いで中級職とよばれるもので、下級職であるファイターの上位版である。
下級職は初めに持つ職業であり、一定以上のLvを上げると中級職になることができる。
下級職は物理攻撃のファイターとハンター、魔法攻撃のマジシャン、回復のヒーラー、防御のタンクがある。
中級職ではそれぞれの武器に特化した職業になっている。
そして、現在はいないが上級職というものがある。勇者と聖者という職業だ。
これは、元々下級職と中級職しかなかったが、300年前にいたとされる勇者と聖者を称え、つくられた職業。
そしてその下の数値が自身の強さを表すもの。これらはLvの上昇や武器の装備によって上昇する。
まずHP。これは生命力を表しているものだ。
この数字は身体的ダメージを受けると減っていき、0になれば死ぬようになっている。
どんな攻撃でもHPは減るようになっており、例えば病気などは症状が軽いものなら特に問題は無いが、重い生涯、毒や火傷などの場合は継続ダメージという一定の時間にダメージを負うものもある。
人や魔物の攻撃からもHPは減るが、あまりにもLv差が開くものの攻撃なら1ダメージもくらわない。
MPは魔術を使う精神力を表したものだ。
魔術を使うもの、魔術師には1番に必要なものでもある。
この世界で魔術を使うにはこのMPというものが必要になる。これが高ければ高いほど、高位魔術が使え、魔術を多く使うことが出来る。この数値は魔術に長けた者が上昇率が高くなっている
ATKは物理攻撃力を表すもの。
上昇率は本人の素質や職業によって変わり、ATKは剣や斧などの物理攻撃に特化している者は上昇率が高くなっている。
DEFは物理防御力。
この値が高ければ高いほど、ATKによる攻撃を減らすことができる。
DEFはタンクなどの防御特化の職業が上昇率が高い。
INTは魔術攻撃力。
魔術師には2番目に必要なものであり、これにより魔術の攻撃力が決まる。
これもMPと同じく、魔術に長けた者は上昇率が高くなっている。
RESは魔術防御力。
この値が高ければ高いほどINTによる攻撃を減らすことができる。
こちらもタンクなどの防御特化の職業が上昇率が高い。
DEXは命中率。
これは自身の攻撃がいかに敵に当てれるかという数値である。
高ければ敵に攻撃が当てやすくなり、逆に低ければ、どれだけATKが高くても当たらない。
この数値は弓などに長けた職業が上昇率が高い。
AGIは回避率。
これは敵の攻撃を以下に避けるかという数値。
DEXとの関係が、敵のAGIがこちらのDEXよりも低ければ攻撃がよく当たるようになり、敵のAGIが高ければなかなか当たらなくなる。
そして、これまでの数値を上昇させることが出来る装備。
これは剣や斧などの武器や、盾や鎧などの防具や、戦闘用のアクセサリーなどがあり、基本的に武器ならATKとINT、防具ならDEXとRES、アクセサリーならその他の数値が上がる。
私が今つけているのは鉄の剣、その横にその武器の上昇値。ステータスの横に表示される。
装備は戦闘に関係するものしか表示されず、普通の衣服やアクセサリーは表示されない。
最後に自身が使用することが出来る魔術が書かれている。
私の場合【炎魔術二位階】とあり、炎魔術の二位階魔術まで使えるということになる。
これこそ今回最も重要なものだ。
初めは誰もがどの属性でも一位階から始まり、本人の才能と努力により使える位階は上がっていく。
私も子供の頃は緊張したものだ。
だがグローリアはどうだ。周りの子と見比べると落ち着いており、緊張している素振りが一切見えない。まるでまだ生まれて5年というのが信じられないぐらいだ。
.......こう思うのも自分の子だからなのか。
いや、今はただ我が子の帰りを待とう。
そうして、こちらに帰ってきたグローリアの顔を見ると、なんとも表現が難しい顔をしていた。
「ど、どうした?.......まさか」
「いえ.........そういう訳ではなくて..........」
むぅ......一体どうしたというのだ?
「どうしたのグローリア?何か言いにくい事でもあるの?」
妻がそう言った。
言いにくいことなど、もし三属性など持っていたら私だったらその場で暴れるぐらいは喜ぶものだが....
「.......あの、父上、母上....見せるのは家に帰ってからでいいでしょうか?」
「.......あぁ!、そういう事か!」
成程、グローリアは随分謙虚なようだ。
こんな公の場で自分のとてつもない力を見せないという事だな。
グローリアはちゃんと将来のことを考えているのだな。我が子ながら関心だ。
「うーん、そういう事なら家に帰りましょうかあなた」
「あぁ、楽しみだ」




