ネロ、新しいボディを手に入れる3
これで暫く更新は止まるドン!
俺は急いで自室に戻りネロを回収しながら仮ボディの元へ戻る。
「マスター?如何されましたか?」
「お前の新しい仮ボディを作ったんだ。何時迄も手足が出せない球体で無い事を証明してやれ!」
「仮ボディ……ですか?私はこのままでも大丈夫ですが」
「何言ってやがる!アンドロイドボディが到着するまでに自由に動ける練習をしねえとな!後はフルオープンアタックもな!」
「はい?フルオープンアタックですか。フルオープンアタックは前回の戦闘でマスターが使った攻撃方法だと記録にあります」
「それそれ!今度はお前自身がやるんだよ。さあ、着いたぞ!お前の新しい仮ボディ【ガン・キャリアーMK-Ⅰ】だ!」
そして仮ボディの名前を叫びながらネロをアーノルド上等兵に投げ渡す。アーノルド上等兵は上手くキャッチしてコクピット部分に入れながら接続部分に取り付ける。
「後はネロの操作で動きます。大丈夫、貴女なら出来ますよ」
「足が有りませんね。ですがいいでしょう。コクピットハッチ閉鎖開始」
プシューと言う音と共にハッチが閉まる。そしてハッチ部分を固定する為にボルトが回転してロックが掛かる。
「これ結構本格的だな」
「此処は班長が作ってたんで」
「成る程。有難う班長」
「おう。偶にはこう言うのも悪くねえな」
その間に暫くガン・キャリアーMK-Ⅰから起動音が出ている。恐らくネロの視点からはMW同様の起動シーケンスが見れる筈だ。そして頭部のカメラが部分が一瞬強く光り起動が完了する。
「どうだ?ネロ」
『何故モニター越しの視点になっているのでしょうか?非効率的だと思いますが」
「そりゃあネロがパイロット気分を味わえる様にしたんだよ。どうだ?起動シーケンスとかMWをベースにしてるからな」
『成る程。では移動開始します』
そして、ゆっくりとだが力強く動き出すガン・キャリアーMK-Ⅰ。いや、【ネロ・キャリアーMK-Ⅰ】に改名だ!
「行け!ネロ・キャリアーMK-Ⅰ!射撃訓練場で他を寄せ付けない圧倒的弾幕を見せ付けてやれ!」
『警告。射撃時のショックアブソーバー機能が付いていません。命中率低下、及び味方への誤射が懸念されます』
「え?マジで?」
こうして細々とした修正を行い真の意味で完成したネロ・キャリアーMK-Ⅰ。そして射撃訓練場に行きながら皆と話す。
「しかし陸戦隊の一人としてこのガン・キャリアーは欲しいな。後で申請しようかな?」
「だとしても操縦するのはどうすんだよ。普通の戦闘補助AIはあんなに受け答えしないだろ」
「アレ戦闘補助AIじゃないんじゃ無いか?本当は別の何かのAIとか?」
「何かって何だよ」
「さあ?唯、そう思っただけさ」
そして遂に完成したネロ・キャリアーMK-Ⅰは履帯を軋ませながら力強く前進する。
「何かさぁ……某ロボット映画に出て来るやられメカに近いな。おいアーノルド上等兵、横からミニガン奪って見ろよ」
「無理ですよ。そもそもどんな映画なんですか?」
「確か水に沈む直前に親指を立てるんだよ。あれ?液体ヘリウムだったかな?確かそん中に落ちるんだよ」
「余計に分からなくなりました」
そうこうしてる間に射撃訓練場に着く。そして所定の場所に移動して各武装を構える。
『これより射撃訓練を開始します。先ずは射撃プログラムの更新を行う為試射を開始します』
「お、おう。何か、思ってた以上に真剣に取り組んでてちょっとだけ申し訳ない気持ちが沸々と湧いて来るんだけど」
「確かに。少しだけ楽しんでた自分を否定出来ませんからね」
ネロ・キャリアーMK-Ⅰは対物ライフルから順番に試射を開始。それを見守る俺達は正に親心満載で見ていただろう。
そして遂にフルオープンアタックの時間がやって来る。
『射撃プログラム再構成、及び誤差修正。ショックアブソーバーの耐久度はクリア。システム問題無し。マスター、何時でも行けます』
「良し、フルオープンアタック開始!撃ちかませ!」
『了解。フルオープンアタック……OPEN FIRE』
その直後圧倒的弾幕と銃声による轟音が射撃訓練場に響き渡る。ターゲット的は瞬く間に消し去り、射撃後には何も残ってはいなかった。
そして命中率は驚異の95%超えを記録。
「はぁ、凄いですね。まさか廃棄品で組み上げたガラクタ……もとい、ネロ・キャリアーMK-Ⅰが此処までの性能を叩き出すなんて」
「ふぅむ。普通ならあんな撃ち方したらバラけるもんだがな。だがネロって奴は上手く制御してやがる。一体どんな戦闘プログラムが組み込まれてんだ?」
「戦闘補助AIにしては少々やり過ぎな所があります。以前の記録を見ましたがジャミングプログラムを使用してましたし」
「キサラギ少尉、アレ……使ってて大丈夫なのか?」
「大丈夫に決まってんだろ!さっきから不穏な事言いやがって。変なフラグ建てようとしてんじゃねえよ!ネロちゃーん、お疲れさん。凄く良かったよ〜」
『はい。私もフルオープンアタックが出来た事を嬉しく思います。またこのネロ・キャリアーMK-Ⅰならマスターを物理的に支援出来ます』
「そうだな。歩兵戦の時にお願いしようかな……多分やらんと思うけど」
こうしてネロ用仮ボディことネロ・キャリアーMK-Ⅰが完成した。しかし社長に速攻で見つかり小言を貰ってしまう。
「貴様はまた下らん事をしおって」
「良いじゃ無いですか。どうせ廃棄する物だったんでしょう?」
「銃火器は全部使える物だろうが!全く、貴様だけならまだしも他の連中まで協力するとは」
「皆暇人なんですよねー。やっぱり感染症が流行ってますからね」
「流行っとらんし感染症など起きんわ馬鹿者。後、あの骸骨のイラストは何とかならんのか」
「ええ⁉︎アレが良いんじゃ無いですか!社長は分かってないなぁ。はぁ、やれやれ」
俺がオーバーリアクションを取ると社長の眉間に深い皺が寄る。そんなに寄せちゃうと歳取った時に跡が残るよ?あ、でも社長はもう中年だったな。
「また給料を下げた方が良いのか?ん?」
「すみませんでした。以後気を付けます」
「全く、次からは勝手な事はするなよ」
「分かりました。では引き出しの奥に隠してある小さな酒瓶は見逃します」
「ッ⁉︎⁉︎貴様!何故アレを知っておる!」
「では失礼しまーす」
「待たんか!おい!待てぇい!」
そしてネロ・キャリアーMK-Ⅰを引き連れながらナナイ曹長とアズサ曹長を探す。ようやく見つけたと思えば他の女性職員も混ざっていた。
「お前ら何やってんの?」
「あ、先輩。もう少しだけ待ってて欲しいッス。そうすれば……何スか?それ?」
「これ?ネロ・キャリアーMK-Ⅰだ」
『皆さんこんにちは』
「貴方は何やってるんですか」
「いやー、待ってる間暇だったからさ。ネロに仮ボディを作ってやりたくてな。そうしたら予想以上に人手が集まって短時間で完成度の高いのが出来たんだよ」
「まあ良いですけど。兎に角、もう少し待ってて下さい。これならネロも貴方も満足出来る装備と価格になりますから」
取り敢えず自販機で人数分の飲み物を買って全員に渡す。三本くらい変わり種を混ぜて早い者勝ちにしてやったら見事に変わり種が三本余った。
「「「…………」」」
「分かったよ。そんな無言で圧力掛けんなよ。チビっちゃうだろ?」
結局変わり種三本は俺が飲みながら後でレビューしてやろうと心に誓う。
そして変わり種のレビューを書き終えた頃に女性陣もネロのアンドロイドボディ案が完成したらしい。
「これで俺が満足しなかったら、お前達の考え続けて来た時間は無駄って訳だな」
「ご心配無く。そうならない様にしてますので」
「と言いながら若干緊張してんじゃん。まあ、そう言う所は嫌いじゃねえけどさ」
「ドンと来いッス!」
「そのキャラは何なんだよ。俺にも突っ込みの限界があるんだよ」
「そうッスか……」
「簡単に落ち込むなよ。俺の心にダイレクトアタックしちゃうだろ」
そして渡された端末をネロと一緒に見る。序でに目の前の女性陣の視線が強くなる。
「ふぅん、成る程ね。実用性重視だな」
内容は各所に付けてたギミックの殆どを排除。残ってるのは背中の一部分と腕部の一部のみ。背中は空き状態で腕にはステルス重視のサプレッサー付き大口径ハンドガンとサバイバルナイフを収納。更に頭部にはハッキング機能を取り付けている。また擬似有機部分には強化人工筋肉によりパワーを上げている。
擬似有機製体の骨格部分を戦闘用にし、接近戦での対処能力を向上。更に骨格部分を一部変更し、人間以上の柔軟な姿勢制御を確保している。お陰で格闘戦に関しては戦闘用アンドロイドにも引けは取らない。
また女性型を採用しているので身嗜みを重視するタイプになっていた。
「普通に悪くないな。この骨格変更は凄いな。ヨガのポーズ取りながら戦闘可能とか、ちょっと見てみたいかも」
『実に素晴らしい設計です。出来れば御奉仕機能上位バージョンも追加でお願いします』
「あいよ。さて、推定価格は一体幾らになるかな?オープン・ザ・プライス」
そしてオプション設定でのお値段が表示される。
その価格、何と4000万クレジットなり。
いや、充分高いけどね。最初の全部盛り合わせの欲張りセットに比べれば充分安いんだけどね。
「マジかよ……御奉仕機能上位バージョンってお値段も上位なのね」
「まあ貴方の様な煩悩まみれの人をカモにしてるのでしょう」
「先輩、諦めても良いんスよ」
「折角ネロが自発的に付けてくれって言ったんだぞ。買うに決まってんだろ。決して今後が楽しみだな〜とかなんて微塵も思ってねえ!」
「はいはい。それは良かったですね」
「先輩、無理に強がらなくても良いッスよ」
他の女性職員も生暖かい視線を向けて来る始末。と言うかネロの御奉仕機能上位バージョンはノーカウント扱いなのが微妙に変な気持ちになる。
恐らくこれが世界の常識なのかも知れん。と言うか種族的な問題が有るんじゃなかろうかと思う。
何故そう思うのかと言うと、以前クリスティーナ少佐とアズサ曹長が睨み合っていた。考えるに互いに主義主張が合わないし嫌悪してる様な所が根本にあるのでは無いかと。そう考えるとネロの様な主義主張に対し柔軟に対応出来るAIの存在は一定の存在として認められてるのだろう。
だとしたら主義主張に関して大して興味の無い自分は何なのだと思ってしまう訳だが。
「まあ何だ。お前達も結構苦労してんのな」
「何がでしょうか?」
「何がッスか?」
他の女性職員共々頭にクエスチョンマークを出しているのだった。
こうしてネロのアンドロイドボディにも決着が付いたのだが、問題は此処から始まった。何故ならこの日からネロがネロ・キャリアーMK-Ⅰを常に装着した状態で移動する様になったのだ。
勿論それは構わない。だが武装も何故かそのままなのだ。然もサブアームを使いコーヒーを煎れたりしてくれる始末。
「ネロちゃん……もしかして、余計なお世話だった?」
『何がでしょうか?私はこのネロ・キャリアーMK-Ⅰを大切にしたいと思います』
「その心は?」
『マスターからの初めての贈り物ですので』
メインカメラを点滅させながら少しだけ俯く。その姿に少し萌えたのは秘密だ。
「そっかー、なら良いか。何か丸め込まれてる気がするけど」
『早く新しいボディが来る事を切に願っています』
「やっぱりちょっと怒ってる?アンドロイドボディとは似ても似つかない姿になってさ」
『さあマスター、コーヒーが出来ました。どうぞ』
「無理に装着する必要は無いからな。畜生、意外とネロ・キャリアーMK-Ⅰの威圧感半端ねえんだよな」
思ってた以上にデカくなったネロ・キャリアーMK-Ⅰ。ベッドで横になってる状態で近付いて来ると更にデカく感じる。
「アンドロイドボディ到着まで一週間か。仕方ない。偶には今の状況を遺憾ながら享受しようでは無いか」
『マスター、肩をお揉み致しましょうか?』
「サブアームをシャキシャキさせんで良いよ」
こうして万能アンドロイドボディが来るまでの間、ネロはネロ・キャリアーMK-Ⅰから出る事は無かったのであった。
また他の同僚達からの目撃情報では鏡に映る姿を眺めたり、射撃訓練所に顔を出していたとか。
これがネロちゃんの新しい万能アンドロイドボディが手に入るまでの過程になるのだった。
因みにネロちゃんの新ボディは身長170cmのナイスバディのバランス体系。
髪は長髪の銀髪で瞳は普段は黄金色になるが性能で分けた為、戦闘時は赤と青のオッドアイになる拘り仕様。
顔の輪郭は整えているし、何処に出しても恥ずかしくない優れた容姿にした。これで側に居てくれれば頬が緩むの待った無しだろう。
流石六千万クレジットだ!他の汎用アンドロイドとは価格が違うよ!価格がな!お陰で容姿やスタイルは完璧だったと記載しておく。以上。
名無しのスーパーエースのレビュー
・野菜ジュースサイダー
野菜好きの子供にも普通に嫌われる味だった。寧ろ野菜の甘さとサイダーの甘さが絶妙にマッチして笑えない。
・キャラメルコーラ
甘さと甘さが合わさり絶望感溢れる甘さだった。この甘さはDNAに直接ダイレクトアタック間違い無し。
・パイナップル酢豚ドリンク
どう言った経緯でこうなったのかが一番気になる。因みに普通のパイナップル酢豚は好きです。はっ!まさか俺の様な奴をターゲットにしたとか?作るジャンルがNGだよ!畜生め!




