ソラリス防衛戦2
間違えて投稿したので明日の分は無しです!
勘弁してな(^з^)-☆
『各部隊へ通達。間も無く収縮砲の発射態勢に入る。速やかに周辺のオーレムを撃退し後退せよ』
「おいマジかよ。なんつー無茶な注文してんだよ。こっちは弾薬も大分無くなってんだぞ!」
俺はα型の群れに追われながらも反撃をしながら文句を言う。だが実際に弾薬が心許ないのは事実だ。
「仕方ねぇか。困った時のロメロ中隊ってな。ロメロ1聞こえるー?」
『ガルム11か。何かあったのか?』
「弾薬が大分無くなっててな。後退の支援を頼むわ」
『了解した。だが此方も少々厳しい状況だ。出来ればガルム11ももう少し戦闘を続けてくれ』
「んー、まあ良いかな。じゃあ取り敢えず合流するぞ」
俺は帝国お墨付きのロメロ中隊と合流して再びオーレムとの戦闘を開始。
やはりと言うべきかロメロ隊の誰もが連携をしっかりと取りながらもオーレムを確実に殲滅して行く。慣れてもいないサラガンに乗りながらも動きに無駄が無いので正直凄いと感じた。
「ヒュ〜。ロメロ隊ってやっぱり結構な手練れ揃いだったのな」
『それは我々に対する皮肉かい?』
「いんや。素直な感想だな。まぁ、俺に対して初見で勝てる奴はそうは居ねぇよ」
『君のギフトが何なのか気になるよ』
「俺は常にラッキーだからな。伊達にラッキーボーイを自称してねえよ」
『私にはラッキーだけでは無いと感じてならないがな。ガルム11、彼処のβ型三体を潰せるか?』
「余裕よ。余裕」
『なら残りは我々が片付ける。その後に後退する』
そしてロメロ中隊と共にβ型に襲い掛かる。β型も此方に気付き対空ビームバルカンで迎撃して来るが無駄な努力だ。
俺は流れ作業の様にプラズマキャノン砲を展開してβ型を葬る。そしてβ型の爆発に紛れ込みながら残りのβ型に取り付き45ミリヘビーマシンガンで仕留める。
その間にロメロ中隊は四機編成でβ型を囲い込み次々と撃破して行く。やはりロメロ隊は手練れ揃いなのは間違いない。
「ウチの傭兵連中も見習って貰いたいもんだね」
『そうでもないさ。其方のニャメラ軍曹だったか。シミュレーターでは二機墜とされたからな。我々もまだ未熟だと痛感したよ』
「いやいや他の連中が活躍してねぇじゃん。それじゃあ意味ねぇんだよ。ほら、俺が楽出来ないじゃん?」
『ククク、君の場合は敵に向かって先陣を切る癖が有りそうだからな。中々楽は出来ないと思うぞ』
「それを言われちまうとそうなんだがな」
ロメロ1の言葉に何も言い返せなかったのでβ型に八つ当たり気味にプラズマキャノン砲で破壊する。そして周辺のオーレムを一掃した後に一度補給をしに戦艦グラーフへと帰還する。
その時だった。司令部よりオープン通信で退避行動を取る様に指示が出される。どうやら此処からが本番らしい。
「大量の収縮砲祭りか。生で見るのは初めてだぜ。ネロ戦闘記録としてしっかり録画しとけよ」
「了解しました」
「動画でアップしたら今まで以上にいいねとか貰えそうだな」
実は俺こっそりとAW戦闘動画を出していたりする。無論、機密性の高い奴はダメなので小規模戦闘かオーレムとの戦闘が主になっている。それに似た様な動画はゴロゴロしてるので視聴率は伸びてない。
だが今回は大規模なオーレム戦。色んな連中が食い付くのは間違い無い。後、偶にコクピット視点でも投稿してるよ。
「ロメロ隊、先に補給を済ませて良いぜ。俺は収縮砲の一斉射撃を見てぇからな」
『君は子供か?別に構わんが』
俺は戦艦グラーフの甲板に降り立つ。近くにはガルム12も居たので通信を繋げる。
「ようガルム12。一人でも平気だったか?」
『全然平気ッス。此処にオーレムが辿り着く前に殆ど墜ちてますから。それより何で此処に来たんスか?』
「んなもん決まってんだろ。収縮砲の一斉射撃を見る為だよ。然も防衛基地ソラリスからもデカいのが放たれるからな。この特等席から見物させて貰うぜ」
『なら自分もお供するッス。それに収縮砲の一斉射撃なんて軍事演習でしか見れないスからね』
「そうだな。生で見るのとでは迫力は違うだろうがな」
暫く味方艦隊のビーム砲撃やミサイルでの攻撃でオーレムを押し留める。
そして遂に収縮砲の一斉射撃の合図が防衛基地ソラリスより下される。
《司令部より通達。各BBLは収縮砲の発射態勢に移行せよ。繰り返す、各BBLは収縮砲の発射態勢に移行せよ》
「ようやくだな。さて、これで決まれば楽なんだが」
『決まらないと色々と不味いッスよね』
「そうだな。特にソラリスの一般市民はヤバいわな。次に帝国からの依頼を受けてる俺達だが」
『でもでも、依頼には守秘義務があるじゃないッスか。それでもダメなんスか?』
「それで連邦が引き下がると思うか?俺は思わんね。どっちにしろ今は連邦の作戦が成功するのを信じるしかねぇ。全く、あのクソババァめ。死んだ後も迷惑しか残さねぇんだから。立つ鳥跡を濁さずって諺を知らんのか」
『何で立つ鳥なんスか?』
「自分で調べなさい」
それから暫くすると戦艦グラーフから振動が起こる。どうやらそろそろの様だな。
「バイザーは閉じとけよ。目とセンサーをやられたら洒落にならんからな」
『了解ッス』
俺は収縮砲の一斉射撃を今か今かと待ち続ける。
戦艦グラーフの艦橋内でも収縮砲の発射態勢が整い、いつでも発射可能になっている。
「艦長、ソラリス司令部より通信。収縮砲発射まで残り三十秒」
「カウント調整良し。各システム異常無し」
「目標マザーシップに対し照準を固定」
「射線上に友軍無し」
「社長、いよいよですな」
「うむ。これで帝国との関係諸共消し飛んで貰えると尚の事良いのだがな」
やはり社長は今回の帝国の依頼繋がりを恐れている。帝国を敵に回すのも危険だが連邦を敵に回すのも危険。特に惑星ソラリスに被害が出るとスケープゴートにされる危険性が一番高い。どっちにしろほぼ詰んでるのだ。
「頼むぞ。この収縮砲で全てを終わらせてくれ」
「収縮砲発射まで残り十秒、九、八、七」
今回の事態の関係者の全員が祈る。何事も無く全て終わってくれと。そしてカウントがゼロになった瞬間、艦長は号令を下す。
「三、二、一、零」
「収縮砲発射‼︎」
次の瞬間、宇宙に圧倒的なエネルギーが暴力となって放たれる。
地球連邦統一艦隊による収縮砲の攻撃は射線上にいるオーレムを全て薙ぎ払ってしまう。α型は切り揉みしながらバラバラになりβ型もエネルギーの渦へと消えて行く。γ型は僅かに耐えるが直ぐにエネルギーの中へと飲み込まれる。更に二体のΔ型も収縮砲の攻撃が何発も直撃して爆散して行く。
艦隊による収縮砲の攻撃がマザーシップへと辿り着く。そして圧倒的な光がマザーシップを包み込む。
更に艦隊の収縮砲による攻撃に続く様に防衛基地ソラリスの切り札、エクスターミ収縮砲も発射態勢を取る。
「エクスターミ収縮砲の充填92%」
「射線上に友軍無し」
「マザーシップを直接照準で捉えました」
「では、この一撃で全てを終わらせよう」
「宜しいのですか?後三分程で充填は完了致しますが」
「構わんよ。エクスターミ収縮砲発射用意」
「了解。エクスターミ収縮砲発射用意。目標マザーシップ中央」
「目標への照準合わせ良し」
「各エネルギー伝達システム正常」
ウィルソン中将は立ち上がり命令を下す。
「エクスターミ収縮砲発射‼︎」
防衛基地ソラリスから更なる莫大なエネルギーがエクスターミ収縮砲より放たれる。
マザーシップへと一直線へと突き進むエネルギーは、残党と化したオーレムを一掃して行く。
そして遂にマザーシップへと着弾。今まで見た事も無い青白い光と共に神秘的な爆発が起こりマザーシップを包み込む。
誰も口を開かなかった。例え100%では無いにしてもエクスターミ収縮砲の破壊力は艦搭載型の収縮砲とは群を抜いていた。
そして誰かが一言呟く。
『やった……やったんだ!俺達は勝ったんだ!』
『うおおおお‼︎呆気ない物だったぜ!何が新種のオーレムだ!ビビらせやがって!』
『増援が来た時は流石に焦ったが、実際は大した事無かったな。所詮はオーレムだった訳だな!』
『連邦バンザーイ!連邦バンザーイ!』
『これで彼女にプロポーズが出来るよ』
『ソラリスに戻ったらパン屋でも始めるかな』
誰もが勝利を疑わなかった。
「連邦バンザーイ!帝国のアホタレー!危ない人間くらいしっかりと管理しとけー!バカヤロー!」
『先輩、それ帝国に対する悪口になってるッス』
「構わねぇよ。暫く帝国経由の依頼は受ける予定は無くなったからな」
『あらら。先輩大分帝国嫌いになっちゃったッスね』
「ふん。俺はな自分で満足に尻拭い出来ない組織は無能としか思って無いんだよ」
『いやはや随分と手厳しい意見だな』
会話の途中でロメロ1ことボーデン大尉が通信に割り込んで来た。どうやら此方の会話を聞いていた様だ。
「手厳しいも何も事実ですからね。結局、今回の件は連邦に尻拭いさせてますから。三大国家の一つがこの体たらくでは、帝国臣民はさぞかし赤っ恥でしょうね」
『だがそれは君達もだろう?我々がこうなる前に片付ける必要があったのだ』
「残念ながら我々は帝国臣民では無く根無草傭兵です。与えられた情報を元に行動する事しか出来ないんですよ。それでも正規軍なら与えられる情報も色々違ったんでしょうけど」
俺はボーデン大尉の言葉をバッサリと切り捨てながらマザーシップを見る。今尚爆煙に包まれているマザーシップ。あの爆煙が晴れればマザーシップの残骸が現れる筈。
誰もがそう思っていたんだ。
最初に気付いたのは誰だろうか。レーダーには未だオーレムの反応はあった。そしてオーレムの反応が徐々に増え始めていた事に。
「艦長!オーレムの反応が増大しています!」
「何だと!何処からだ!」
「マザーシップより多数のオーレムが出現。またマザーシップの反応が急上昇しています」
「馬鹿な!奴は生きていると言うのか!収縮砲の直撃を受けたんだぞ!」
爆煙が徐々に晴れると歓声を上げていた将兵達の声が次第に無くなっていく。
そして爆煙が晴れた時、マザーシップの姿が再び現れる。だが傘の部分の中央より左寄りに掛けて凄まじい被害を受けたのか、かなりボロボロになっていた。
だが生きていた。そしてエクスターミ収縮砲にも耐える程のシールドと装甲を持っていたのだ。
「エクスターミ収縮砲の……直撃を耐えただと?」
ウィルソン中将は信じられない物を見ながら呟く。そしてマザーシップより高エネルギー反応が確認される。
マザーシップの傘の端の八箇所の部分からエネルギーが溜まり始める。そして傘の中央の先端部分にエネルギーが集まり始める。それは収縮砲のエネルギーを超え始めていた。
『おい、何か不味いんじゃ無いか?』
『逃げた方がいい!今直ぐに!』
『待て!司令部からの命令を待つんだ!』
『此処で引き退る訳には行かない!艦隊砲撃始め!奴の攻撃を食い止めろ!』
『我々も続け!敵は大打撃を受けている!今がチャンスだ!』
一部の連邦艦隊は再び攻撃を開始する。だが防衛基地ソラリスの司令部ではより更に緊迫した状況に陥っていた。
「……ソラリスからの避難状況はどうなってる」
「避難状況は全体の一割にも行っていません」
「地上に待機している軍の輸送艦も使わせるんだ。事態は一刻を争う。急がせろ」
「了解しました」
「それから一部艦艇を率いて市民の回収作業に入らせるんだ」
「中将、ソラリスはどうなるのでしょうか?」
「我々は軍人だ。故に最悪の状況を想定して行くしかあるまい」
惑星ソラリスからの避難警報が発令されたのはほんの数時間前。空港へと続く主要道路は全て渋滞と化している。また空港も既にパンク状態でとてもでは無いが満足に脱出出来る状況では無い。更に市民の一部が暴徒化し軍の歩兵部隊と衝突している。
そんな中、ソラリスからの脱出を諦めた人々は各自が持つ地下シェルターか避難シェルターへと集まり身を寄せ合う。もしくは一部の金持ちによる自前の宇宙艦艇により運良くソラリスからの脱出に成功する。
そして中継宇宙ステーションも今は惑星ソラリスの軌道から外れ徐々に離れつつある。勿論脱出してきたソラリスの市民を受け入れながらだ。
「あらら……これは所謂ピンチって奴だな。社長聞こえる?今すぐに艦隊を上に逃しましょう。嫌なら俺だけ逃げますが」
『貴様と言う奴は簡単に仲間を見捨てるんじゃない!』
「いやー、ちゃんと一言言ってますやん。大抵受け入れて貰えないんですがね。ハハハ!」
『笑い事では無い!全く、全艦上方へ回避機動を取れ。先ずはマザーシップからの攻撃を避けねば話にならん!』
『了解しました。各艦、上げ舵一杯!』
『上げ舵一杯!』
最初にスマイルドッグ艦隊が上げ舵を取り始めたのを皮切りに他の傭兵艦隊も逃げ始める。途中で味方とぶつかりそうになっていたが思ってた以上に順調に行けたのではなかろうか。
そしてマザーシップから凄まじいエネルギーが視測される。
「マザーシップより更なるエネルギー上昇を確認。既にエクスターミ収縮砲と同等レベルに入っています!」
「前面にエネルギーシールドを最大出力で展開!また非常事態に伴いソラリスからのエネルギー供給を此方に回させろ!」
「お待ち下さい!今ソラリスからエネルギーを奪えば地上は更なる混乱が起きてしまいます!」
「それだけで済めば安い物だ!生きている限り何とでもなる!良いからやるんだ!」
防衛基地ソラリスが墜ちれば惑星ソラリスも墜ちたのも同然。それだけは何としても阻止しなくてはならないのだ。
「全艦に通達!可能な限りマザーシップに対し攻撃を続けろ!」
駆逐艦、フリゲート艦から大型ミサイルが放たれる。巡洋艦と戦艦は一心不乱に持ち得る武装を使い続ける。二隻の超級戦艦も正面のオーレムに対し攻撃を続ける。
だが現実はいつも非情なのだ。
マザーシップから要塞級の収縮砲を超える凄まじいエネルギーが集まった瞬間、防衛基地ソラリスへ向けて放たれる。その莫大なエネルギーは射線上に居る連邦艦隊は勿論の事、射線外に居る艦隊すら巻き込む。
友軍艦隊を巻き込みながら防衛基地ソラリスへと突き進むエネルギーの塊。それを司令部にいるオペレーター達の僅かな悲鳴を聞きながらクリントン・ウィルソン中将は最後の命令を下す。
「全艦!直ちに避難民を回収し戦線を離脱せッ⁉︎」
防衛基地ソラリスは莫大なエネルギーの濁流に飲み込まれ、爆散しながら惑星ソラリスへ向けて落ちて行く。そして惑星ソラリスの地表にはマザーシップから放たれたエネルギーが着弾したのだった。
絶望と言う名の〜フーフフンフン♪




