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良い男

改めてですが沢山の感想ありがとうございます。

唯、ちょっと今もストックを書いてる途中なので返信が間に合わなくてごめんなさい。勿論ちゃんと全て読ませて頂いていますし、自身のやる気にも繋がっていますので。


 エルフェンフィールド艦隊がワープを抜けたのと同時にダムラカ艦隊は戦列を整え始めていた。

 数では未だに勝るエルフェンフィールド艦隊に対し超級戦艦イストリアを中心に陣形を作るダムラカ艦隊。

 この時のダムラカの将兵には安堵の感情が大きかった。如何に数が優っていようとも戦艦を一隻とした艦隊などで超級戦艦に立ち向かう事が無謀だと言えるのだ。

 だがそんな事は関係無いと言わんばかりに陣形を整えて対峙する形を取るエルフェンフィールド艦隊。そして陣形が整い僅かな時間睨み合う形になる。


「セシリア大佐、陣形整いました」

「全艦に通達。これよりダムラカとの最後の戦いを開始する。この戦いではスピードが全てを決める。各員の奮戦に期待する。艦隊前進!」


 お互いの艦隊が近付いて行く中、艦載機のパイロット達は出撃に備えていた。


「結局宇宙装備は取り付け出来なかったな。結構バランスが悪くなった機体に仕上がったから仕方ねえけど」

「しかし宇宙装備のサラガン、マドックは勿論の事他のAWにも劣らぬ機動力と運動性があります」

「まぁ欲張るつもりも無いから良いけど。あ、そうだ一つ大尉に聞きたかったんだよな。通信を繋げてくれ」

「了解しました。通信繋げます」


 サラガン改と仮で名付けた自機に乗り込みシステムを立ち上げながらエラーチェックも行う。その間にクリスティーナ大尉と通信が繋がり質問をする。


『どうしたの?何か問題でも起きたの?』

「いや俺もネロもサラガン改も問題無いよ」

『サラガン改?貴方センス無いわね』

「喧しいわ。後からしっかりとした名前付けるよ。それよりもだ聞きたい事があるんだ」

『聞きたい事?』


 コテンと小首を傾けるクリスティーナ大尉。こいつ計算してやってるのか?いやこのポンコツエルフに計算は無理か。なら希少種の天然物かよ。


「セシリア大佐が言ってましたがデルタセイバーの近距離射撃で撃破するとか言ってましたが出来るんですか?幾らデルタセイバーが高性能とは言え無理があると思うんですが」

『それは私のギフトを使うから問題無いのよ』

「因みにどんなギフトですか?」

『私のは【増幅】よ。そしてデルタセイバーにも干渉出来る様になってるのよ』

「本当ですか?つまり唯でさえ高性能機のデルタセイバーは大尉が搭乗すると更にパワーアップするんで?」

『うーん、大体その解釈で大丈夫かな。それにパワーアップもそうだけど慣性緩和にも干渉出来るから。それに一応デルタセイバーは試験機だから』

「試験機ね。成る程成る程、要するに試験機、つまりプロトタイプとか言っちゃう訳だな」


 俺はクリスティーナ大尉の言葉を聞きながら何度も頷きながら表向き平静を維持していた。だが俺の内心はと言うとだ。


(だああああ‼︎何でその設定を俺にしなかったああああ‼︎俺が主人公だろうがああああ‼︎)


 内心嫉妬に染まり吠えまくっていた。


(何だよその【増幅】とか一見チンケなギフトをパワーアップに使うとか。意味分かんないんですけど!もうデルタセイバーは実質大尉専用機じゃん!ワンオフ機じゃん!畜生!)


 こっちは量産型AWサラガンの改修機。クリスティーナ大尉は高性能AWの試験機でワンオフ機に近い機体。

 俺は嫉妬と言う炎を胸の内に燃やしながら貧乏揺すりをしてしまう。

 だが此処で冷静を失ったら危険だ。何より数分後には出撃になる。此処は一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせた方が良いだろう。


(でもワンオフ機とか響きが良いよな。もう一点物みたいな感じだし。勿論サラガン改が悪い訳では無いんだよ?部品の補給のし易さや整備面では圧倒的だし?でもそれはそれで羨ましいんだよ!)


 これが隣の芝生は青いと言う奴か?尤も隣の芝生が桁違いに青過ぎて嫉妬と憎悪が込み上げて来るんだけどな。


「チッ、いつかデルタセイバー叩き壊してえな」

『ちょっといきなり何言い出すのよ!』

「味方で良かったですね。敵だったら完膚無きまでに破壊してましたわ。勿論動機は嫉妬なんですけどね」

『嫉妬?何で嫉妬なのよ』

「大尉殿が座ってる所をよく見れば分かりますよ」


 それからトリガー2ことバーグス中尉と通信を繋げようとする。最早トリガー隊は俺とバーグス中尉しか居ないからね。

 だがバーグス中尉は通信に出る事は無かった。


「まあ色々と悶々してしまうお年頃なんだろう。ならそっとしてやるさ」


 もう一つ気になる事があるのでオペレーターに通信を繋げる。


『どうされました?』

「向こうの艦隊にシルバーセレブラムの傭兵団は居るのか確認できるか?」

『少々お待ち下さい』


 それから少しだけ待つと直ぐに返事は来た。


『シルバーセレブラムの保有する戦艦ガーディはダムラカ艦隊の後方に配置されています。恐らく敗走した時に直ぐに撤退出来る様に陣を取ってると思われます』

「意外だな。律儀に残ってたんだ。多分クレジット分の仕事をやるんだろうけど。まあ良いか。ありがとう」


 オペレーターに感謝して通信を切る。そして頭の中で装備して行く武装を考えながら待機する。

 そして遂に出撃の時になる。


『トリガー隊、間も無く出撃になります。其方の状況はどうですか?』

『此方トリガー2異常無し』

「トリガー5今の所は問題無いよ。もしかしたら出撃して直ぐにエラーが出るかもだがね」

『致命的なエラーなら直ぐに帰投し整備に入って下さい』

「はいよ。多分大丈夫だろうけどな」


 先ずはトリガー2の機体がカタパルトに向かう。その時だった。バーグス中尉から話掛けられる。


『トリガー5、恐らく僕達は殆ど連携はしないだろう』

「そうですね。俺はソロでの戦いは慣れてますから問題無いですよ」

『そうか。今回僕は艦隊防衛に回る事にするよ』

「あいよ」

『それじゃあ先に行くから』

「そうだ一つだけ良いですか?」

『ん?何かな?』


 俺は口元を歪めながら言い放つ。


「つまらねえ事はしない方が良いですよ」

『……それはどういう事だい?』

「ご想像にお任せしますよ。さあ行った行った。後がつっかえてるんだから」

『……トリガー2出撃する』


 トリガー2のマドックがカタパルトから射出される。

 そして次は俺の番になる。モニターから映る景色は最早艦隊同士の撃ち合いの真っ最中だ。俺は興奮する気持ちを抑えながら武装を選択する。


「武装は60ミリショットガンにしようかな。サブにはビームガン、左腕にパイルバンカーと小型シールド。後は馴染みの兵装で良いか」


 モニターを操作して武装を決める。メイン武装に60ミリショットガン、左腕にパイルバンカーと小型シールドを取り付ける。右肩には多目的レーダーと左肩に十二連装ミサイルポッド。そしてサブ武装としてビームガンを腰に懸架してプラズマサーベルも収納する。


「初めての高機動型だからな。こんな事ならジャンボにコツとか聞いとけば良かったぜ」

「マスターのシミュレーター記録から判断しますが問題はありません」

「それでもさ。高機動型にはそれ相応の戦い方が有るからな。特に推進剤の管理はしっかりやらねえと」

「了解しました。警告を推進剤残量の30%で出しましょうか?」

「そうしてくれ。此方トリガー5、武装システムオールグリーン。いつでも出れるぞ」

『了解しました。トリガー5出撃どうぞ』

「シュウ・キサラギ軍曹、トリガー5、サラガン改出るぞ」

『御武運を』


 勢い良くカタパルトから射出される。そしてサラガン改を加速させると今まで以上の加速を感じながら操作する。身体に掛かるGも慣性緩和装置の追加によりマシになっている。

 そして実機で操作をしながら感じたのだ。シミュレーター以上に良い仕上がりになっていると。サラガン改を更に加速させながら味方艦隊の間を駆け抜ける。今まで以上の機動性と運動性のお陰で思ってる以上の動きが出来るのだ。


「良いじゃん。これ良いじゃん!最高に仕上がってるじゃねえか!」


 最早俺の頭の中には味方機との連携の文字は無くなっていた。そもそもAWに乗り始めた頃は連携をしていたが基本的にはソロの方が稼げるからな。

 結果として単独行動に慣れてしまった訳だが。今となってはどうでも良い事だ。


『ファング1よりトリガー5、前に出過ぎよ。戻りなさい』

「そう言えば一緒に突入しないとダメだったっけ。しゃあねえな、今戻るよ」


 折角気分が盛り上がって来た訳だが仕方ない。一応傭兵としての務めは果たさないとな。


『私達は敵AW部隊との交戦中の隙にイストリアに取り付くわ。追撃は来るでしょうけど追い付けるのは戦闘機くらいなもの。そのままイストリアに至近距離から私が仕留める』

「全ては大尉の双肩に掛かってます。もし失敗したら……」

『貴様、またそうやって下らん事を』

「笑ってやりますよ!此処一番の見せ所で失敗するとか超ウケるんでな!ハッハッハッ!」

『絶対に成功させるんだから!先ずは近くの敵機を叩く!ファング隊続け!』

「八つ当たり気味に叩かれる敵機に同情するよ」

『貴方が煽ったのよ!トリガー5!』

「はて何のことやら?」


 そして敵AW部隊と戦闘機部隊と交戦開始。

 先ず最初に味方艦隊に近づいて来たのはF-86マッキヘッドとUA-10サンダーボルトの編隊だ。


「前方に戦闘機の編隊を確認」

「小物は好みじゃねえんだけどな」


 そう言って敵編隊の真上から一気に接近する。無論相手は警戒していたので直ぐにバレてしまい散開される。だが問題は無い。寧ろ仕留め易くなって好都合だ。


「先ずは一機目」


 60ミリショットガンから放たれた散弾がマッキヘッドに直撃。一瞬で機体が穴だらけになり爆散する。そのまま他の戦闘機を追い掛ける。


「ほらほら早く逃げないと追い付かれちゃうぞ?」

【クソ!振り切れない!誰か援護があ⁉︎】

【ハルク4が喰われた!あのサラガン絶対に許さねえ!】

【馬鹿!無闇に突っ込むな!連携を……チッ、馬鹿が。言わんこっちゃない。各機連携して敵AWを撹乱する。攻撃機は何としても守り切れ!】


 戦闘機部隊はドッグファイトに持ち込み時間を稼ごうとする。だが一機また一機とレーダーに映る味方のマーカーが消えて行く。消える度に仲間の悲鳴や断末魔が通信越しに聞こえる。


【誰か!たす、助けてえええ‼︎】

「そいつは敵である以上無理な話だな」


 コクピットに散弾の雨を受けながら最後のマッキヘッドはきりもみしながら爆散する。そして味方の援護が無い攻撃機部隊もファング隊によって迎撃されていたのだった。


「まだ来るぞ!次はAWのお出ましだ!」


 他の敵機を味方に任せて新たにやって来る敵AW部隊を迎え撃つ。

 真正面から一気に敵AW部隊に突撃を開始。今まで以上の加速と最高速を得たサラガン改は圧倒的だった。


【敵一機接近!速い!もう射程に入ってる!】

【迎撃!囲んで仕留めろ!】

【馬鹿め。たかが一機で来るとは。余程死にたいらしい】

【邪魔する者は排除せよ。我々の戦いはまだ始まったばかりだ】


 隊長機のマドックを中心に五機のサラガンが散開する。だが俺はそのまま真っ直ぐに突っ込みマドックを狙う。


【貰ったああああ‼︎】


 敵サラガンが45ミリアサルトライフルを撃ちまくる。だがギフトのお陰で狙う場所がよく分かるので紙一重で回避する。


「ミサイルマルチロック」

「マルチロック完了。いつでもどうぞ」


 十二連装ミサイルポッドからミサイルが放たれる。慌てて回避する敵機を尻目にマドックに接近。


【来るか!相手になろう!】

「騎士ごっこは他所でやれよ」


 45ミリアサルトライフルを放棄してサーベルを抜くマドックに対し至近距離から60ミリショットガンを撃ち込む。

 マドックの右腕が吹き飛び、頭部が穴だらけになり、最後に擦れ違いざまに背後から撃ち抜かれ爆散するマドック。

 そのままスピードを緩める事は無く一気に上に上昇する。サラガン改の背中のブースターの可動範囲は非常に広い為、直角的な機動が取れる様になっているのだ。


【あれはサラガンの動きじゃないぞ!クソ何なんだよ!】

【かなりのカスタム機だ。恐らくヴァンガードを破壊した傭兵かも知れんぞ】

【だろうな。あんな如何にもなカラーだからか。間違いなくエースだ。各機密集陣形を取るぞ。隊長の仇討ちだ!】

【やってやる!やってやる!】


 再び接近して来るサラガン改に弾幕を形成する敵AW隊。


「もっと攻めて来いよ。俺のサラガン改のデビュー戦なんだぜ?そんなんじゃあ盛り上がりに欠けちまうよ」

 

 だが彼等の必死の抵抗も無駄に終わった。接近されたと思えばあっという間にプラズマサーベルで胴体を両断される僚機。そして近距離での僚機が爆発する衝撃により機体のバランスが崩れてしまう。

 勿論その隙を見逃す事は無く60ミリショットガンからビームガンに切り替えてコクピットを撃ち抜く。

 そして僅か数分後には敵AW部隊は全滅していた。


「しかし敵さんのAWの数が少ねえな。あ、そうか。セクタルとかが抜けちまったからか。なら今回の作戦も案外行けるかも知れねえな。ファング1聞こえるか。良い知らせがあるんだが」

『トリガー5どうしたの?』

「敵AWの数が思ってた以上に少ない。連中、碌に戦力の補強が出来てない。多分スポンサーが抜けたんだろうよ。傭兵もそんなに雇ってないみたいだしな」

『つまり攻めるなら今ってこと?』

「決めるのは隊長の大尉殿だ。任せるよ」


 そう言うとクリスティーナ大尉は少しだけ思考する。

 無論俺と大尉だけなら突撃も上等だろう。だが突撃にはファング隊も共に行く事になる。そうなると答えは一つだ。俺はクリスティーナ大尉の言葉を聞きながら戦闘に集中する。


『決まりね。私とトリガー5で突入する。他の皆は艦隊の護衛に回って頂戴。良いわね』

(もう少し敵戦力の排除が必要だろう。そして穴が空いた場所からええええええ⁉︎ウッソだろお前⁉︎」


 俺の予想と真逆の回答を出したクリスティーナ大尉の言葉を聞いて遂声を上げて驚いてしまう。


『何よ。怖気付いたの?』

「あ?怖気付くとか無いわー。余裕過ぎて欠伸が出るくらいだし?寧ろサラガン改の本領は此処からだし?みたいな感じ?」

『なら決まりね』

『お待ち下さい!我々も共に行きます!』

『確かにキサラギ軍曹の腕前は認めます。ですが、たった二機による突撃は非常に危険であります!』

『そうです!せめて近くまで同行させて下さい!』

「その通りだ。折角のデコイ……もとい、肉壁いやいや、仲間?うん、まあ何でも良いや」

『……此奴やはり敵なのでは無いか?』

『ああ、俺もそう思うよ』


 周りから大不評を買ったが仕方ない。俺にとっては別に大した問題では無いのでね。


『ファング2はファング隊を率いて艦隊護衛に回って頂戴。私とトリガー5はこのまま敵艦隊に突入。そして私が一気にイストリアの干渉装置を破壊。破壊した後は戦線離脱する』

「大尉のギフトの増幅を使ってデルタセイバーの火力の底上げは分かった。そこで一つ聞きたい事があるんだ」

『聞きたい事?』

「干渉装置の破壊するエネルギーを増幅で貯めるのにどのくらい時間が掛かる?十秒くらい?」

『今からやって五分くらいよ』

「五分か。その間は大尉は攻撃出来るんで?」

『無理ね。でも防御シールドは展開出来るから私の事はある程度無視してても構わないわ」

「成る程。攻撃出来ないって事は一撃のみか。なら五分後に突入するのもダメなのか?」

『増幅が続くからデルタセイバー自体の許容範囲を超えてしまうの。だから……その』

「なら精々派手に暴れるとしますか。ファング1は今から増幅と回避に集中してくれ。俺が前衛で囮になりながらエスコートしてやるよ」

『……やっぱり全員で行った方が良いかしら。私が決めた事だけど貴方に負担を掛け過ぎてる』


 俺はネロを使い突入経路を調べながらクリスティーナ大尉の話を聞く。


「まぁ、確かに負担にはなってますな。まさかの二機での少数突入なんて無謀ですよ。お優しい大尉殿の事だ。ファング隊の犠牲を無くしたかったんでしょう。それに敵戦力が想定以下でも艦隊からの迎撃は別物ですがね」

『そうよね。やっぱり止めた方が』

「だが俺は傭兵だ。やれるならやるのがプロの傭兵ってもんよ。それに俺が無理って言ったら単機突撃かましそうな奴が真横に居るんでね」


 突入ポイントへ移動して機体のリミッターを解除する。正直言って今回で死ぬかも知れない。だがこのシチュエーションは燃える物がある。だから引き下がる気はさらさら無い。

 俺は此方を不安気に見ているクリスティーナ大尉(乙女エルフ)を見ながら言う。


「それに良い男ってのは行動の一つ一つに出てくる物なのさ。今の俺みたいにな」


 突入経路をファング1に送りながら戦艦アルビレオに通信を繋げるのだった。




「大佐、トリガー5より通信です。これよりファング1と共に敵超級戦艦イストリアに突入するとの事です。なお残りのファング隊は艦隊護衛に回すとの事です」

「何?」

「それから突入の際に艦隊からの十秒間の全力援護砲撃を求むと」

「ファング1はどうした?」

「現在増幅に集中しているとの事です」

「そうか。全く、我が軍の兵士でもないのにも関わらず独断専行とはな。良い度胸だ」


 セシリア大佐はそう言いながらも口元をにやけさせた。尤も側から見れば何故か表情に影が出来てかなりの怖さを演出していたが。


「だが良かろう。全艦に通達、これより敵超級戦艦イストリアの周辺艦隊に対し十秒間の全力砲撃を開始する。全艦砲撃用意」

「了解しました。ファング1、トリガー5にも通達します」

「全艦に通達。これより超級戦艦イストリアの周辺艦隊に対し全力砲撃を開始する。全艦砲撃用意」


 味方艦隊の砲撃が僅かに落ちる。その異変を察知した勘の良い敵兵士達は身構える。


「各艦の砲撃準備整いました。いつでも行けます」

「ファング1、トリガー5も準備完了との事です」

「宜しい。全艦、全力砲撃始め!」


 セシリア大佐が右腕を前に突き出しながら号令を出す。その瞬間、戦場を青いビームが染め上げたのだった。

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