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無名の傭兵

 モバル空港への強襲。そして速やかに脱出する事。今の少ない戦力でこの二つを達成しなければならない。


「間も無くモバル空港に到着します」

「最後までやり甲斐のある依頼だな。傭兵冥利に尽きるぜ。全く」


 列車は速度を落とす事なくモバル空港に近付く。


『各機、恐らくこれが最後の戦いになる。速やかに敵を撃破しリリアーナ様の脱出路を確保。その後に私達は離脱します』

「要は敵を殲滅させれば良いんでしょう。尤もモバル空港の敵戦力は不明ですがね」

『だからこそよ。気を引き締めて行くわよ』

「この中に気を引き締めてねえ奴は居ねぇよ。そうだろ?」


 列車が急停止し一気にスピードが墜ちる。同時にレーダーに多数の敵反応を確認。そして視界が開ける


「先制攻撃は俺が頂くぜ」


 ホームに到着したのと同時に高く跳ぶ。そしてミサイルでマルチロックして発射。ミサイルが敵MWに向かって行く。その間に右側に移動し55ミリライフルを敵に撃ちながら地面に着地。そのままスライドさせながら敵MWに近付く。


【カルヴァータを逃すな!敵を撃破せよ!】

「簡単に撃破出来れば苦労はしねえよな」


 シールドを持ちマシンガンを乱射するMWに近付く。55ミリライフルで牽制射撃しながら懐に入り込む。


「頂きだ」


 敵MWのコクピットにパイルバンカーを打ち込む。敵MWはそのまま動きが止まりゆっくりと倒れる。

 倒れたMWを無視して別の敵MWに狙いを付ける。


【傭兵はどうなってる!まさかやられたのか!】

【あの列車に居ないと言う事はそうなのだろう。各機連携しながら敵を追い込む。向こうも大分消耗している筈だ。此処で畳み掛けるぞ】

【なら120ミリの弾を受け取れ!】


 両腕が120ミリ滑腔砲で四脚のMWが此方に向けて撃ちまくる。だがこっちはAWのサラガンだ。


「機動力の違いを見せつけてやるぜ」


 閉鎖空間と言えある程度の高さはある。それなりの高さで跳びながら敵MWを55ミリライフルで穴だらけにする。


【サラガンの癖に!何だその動きは!】

「テクの差だ。覚えとけ」

【来てる!相手は唯のサラガンだ!さっさと破壊しッ⁉︎】

【ビーム兵器だ!MWじゃ対処出来ねえぞ!】


 スピアセイバーからの援護を受けながら敵MWを撃破して行く。その間にデルタセイバーは外に出る為の門を無理矢理破壊する。


『全機外に出るわ。ファング7、10はリリアーナ様の乗る装甲車を防衛。他は敵を迎撃。行くわよ!』

『『『『了解!』』』』


 デルタセイバーを筆頭にモバル空港に突撃する。案の定、敵部隊は迎撃態勢を取っていた。

 だがデルタセイバーのシールドが全ての攻撃を防ぎ、空高く舞い上がる。そこからデルタセイバーの本領発揮だった。

 空から降り注ぐ青いビームに敵部隊は為す術は殆ど無かった。慌てて戦闘機が離陸しようとするがスピアセイバーのビームが先に潰していく。序でに俺の55ミリライフルも適当に敵MWを倒して行く。


「此処には陸上戦艦も装甲列車もねぇんだ。今までの戦いが可笑しかったんだ。普通はこの流れなんだよ」


 エルフ部隊が敵を圧倒して俺が横からハイエナして稼ぐ。敵は迎撃するが何も出来ず爆散するか逃走する。

 それでも中には果敢に攻めて来る連中も居る。


【カルヴァータは連中に奪われたか。敵に奪われるくらいなら止むを得ん。カルヴァータごと始末しろ】

【始末するのは構わない。けどその前に俺達が始末されてる勢いなんだが……】

【AW部隊の迎撃を急いでくれ!このままだと全滅しちまう!】

【もう無理だ!このままだと!】

【待たせたな。此方ジーム中隊、これより敵AWを撃破する。行くぞ!】


 十二機の敵のジーム中隊が夕陽をバックに颯爽と地面を駆けながら現れる。その姿はさながら英雄然とした姿なのは間違いない。


「まあ、だからと言って俺に勝てる道理はねえけどな。行くぜネロ」

「お伴します。警告ロックオンされてます。敵ミサイル発射を確認。ジャミングプログラム起動」


 ジーム中隊からミサイルが放たれる。だが大多数のミサイルがジャミングされあらぬ方向へ飛んで行く。


【チィ、ジャミング装置を搭載してるか。全機接近し一気に叩くぞ】

【敵サラガンを先頭に二機のスピアセイバーが接近中】

【サラガンと言え気を抜くな。此処まで生き残って来た奴だ。きっと名のある傭兵に違いない】

【二手に分かれて挟撃する。第三、第四小隊は俺に続け!】


 ジーム中隊はシールドを構えながら二手に別れて行動する。悪くない戦法で堅実的だ。


「左側は任せたよ。右側の方が障害物もあってやり易いからな」

『此処まで来たんだ。生きて帰るぞ』

「モチのロンよ。んじゃ軽く終わらせて行くか」


 そしてコンテナ群の中に紛れ込みながら敵AWに接近する。


【小賢しい奴だ。このままコンテナごと蜂の巣にしてやれ!】

【俺達はこっちから回り込む。続け!】


 敵AW隊が45ミリアサルトライフル、45ミリサブマシンガンをコンテナ群に撃ちまくる。その間に三機が側面から回り込む。

 だがAWに限らず兵器にはレーダーが標準装備されてる。更に追加レーダーも合わせて敵の場所はしっかりと把握してる訳だ。


「前方に敵AWが居ます」

「なら一撃で逝かせてやんよ!」


 サラガンのブースターを全開にしコンテナをぶち抜きながら目の前の敵マドックにパイルバンカーを向ける。

 俺のいきなりの行動に意表を突かれたのか敵マドックは棒立ちのまま45ミリサブマシンガンを構えたまま此方を見る。


「逝っちまいな!」

【ッ⁉︎】


 相手の息を飲む声を聞きながらコクピットに向けパイルバンカーを押し当てる。そしてトリガーを引く。

 鈍い音と共に敵マドックの動きが止まる。僚機のサラガンも突然の事に反応が遅れてしまう。だが俺はその隙を見逃すほど甘くはない。近距離から右に居た敵サラガンに対し55ミリライフルの銃口を向けて撃ちまくる。

 慌ててシールドを構えて防御するが脚部に当たりバランスを崩し転倒。その隙にブースターを全開にしもう一機の敵サラガンに突っ込む。


【この野郎!】

「ほらお前にやるよ。()仲間だろ?」


 動かなくなったマドックを敵サラガンに向け押し出す。仲間だった物を目の当たりにしたのか一瞬だけ反応が遅れる。

 だがその未来を視せた時点で勝ちは決まった。

 敵サラガンの持つ45ミリアサルトライフルを撃ち抜く。そしてそのまま近付きパイルバンカーを構える。相手も慌ててサーベルを構えるが全てが手遅れだ。

 体当たりしながらパイルバンカーを撃ち込む。そしてそのまま残り三機の敵AWを相手にする。


【三機相手に無傷……だと?】

【こいつギフト持ってやがる!畜生、ふざけやがって!】

【撃て……撃て撃て‼︎兎に角撃ちまくれ‼︎奴を近付かせるな‼︎】


 悲鳴に近い声を上げなら弾幕を展開するジーム隊。その弾幕を横にスライド移動しながら建物の陰に隠れる。そして急停止してブースターを使い建物の上に跳び上がる。

 相手はそのまま建物に隠れるか横に出てくると予想していたのだろう。銃口は此方には向いてはいなかった。

 上から六連ミサイルでマルチロックをする。


「サービスだ。全弾持って行きな!冥土の土産としてなあ!」


 ミサイルが敵AWに向かう。敵機は慌てて回避するかシールドを構えるが、一機の敵サラガンが間に合わず爆散してしまう。もう一機もメインカメラに直撃したのか後ろに倒れ込む。

 そして最後の一機になる敵マドックの前に着地。敵マドックは一歩後退しながら聞いてくる。


【貴様は……一体何者なんだ。たった一機で……然も唯のサラガンで】

「おいおい、このサラガンはお前達の持ち物だぜ?まあ、今は俺が勝手に使わせて貰ってるがね」

【嘘だ。そんなの嘘だ!なら、なら俺達のAWは一体何なんだ‼︎】

「知らねぇよ。そんなもん。操縦が下手なんじゃねえの?まぁ、んな事はどうでも良いんだよ」


 そう言って脚部が損傷し倒れながらも背後から此方を狙ってた敵サラガンに対し、55ミリライフルで撃ちまくる。僅かな悲鳴を上げなら敵サラガンは爆散して行く。


「上手く行かなくて残念だったな。でもまあ、そんな時もあるさ。だから気にすんなって……もう気にする必要がねえからよ」

【ありえない。こんな事は……絶対に】


 敵マドックのパイロットはブツブツと呟く。勿論待って上げる理由は無いので55ミリライフルを向けながら一気に近付く。


【こんな事が……有ってたまるかあああ‼︎】


 45ミリアサルトライフルを向けるがその前に此方の55ミリライフルが火を噴く。何発も55ミリの弾丸を受ける敵マドック。その衝撃で45ミリアサルトライフルを落としてしまう。

 悲鳴を上げながらもシールドを構えながら体当たりを敢行。だが此方を見ないで突っ込むのは頂けない。

 横に避けてパイルバンカーを構える。そして擦れ違いざまに撃ち込む。敵はパイルバンカーの一撃を受けてそのままの勢いで地面に倒れるのだった。


「粗方の敵は倒してるみたいだな。どうやらモバル空港には並程度の戦力しか無かった様だな」

「資源加工施設ほどの重要拠点ではなかったのでしょう」

「まあ普通はこんなもんだよ。あの施設の戦力が異常だったんだ。それより脱出艇を探さねえとな。敵地のど真ん中で置き去りは勘弁だからな」


 この後ファング隊、陸戦隊と合流。そして無事大気圏離脱可能の小型輸送艇と大型輸送艇を数機見つける事も出来た。


『では姫様、先に行ってください。私達は此方に向かってる仲間達を回収し脱出します』


 クリスティーナ大尉がリリアーナ姫と通信をしていた。そしてリリアーナ姫は此方を見ながら軽く頭を下げる。なのでサービスとしてサラガンで軽く手を振って上げた。

 少し驚いた表情をしたが陸戦隊に連れられて小型輸送艇に入って行く。そしてリリアーナ姫を乗せた輸送艇は無事に大空に飛び上がったのだった。


「後は俺達だけだな。あ、そうだ。先に言っとくけど俺大型輸送艇操縦出来るぜ」

『そうなのか?意外だな』

「そうでもねえぞ。輸送艇持ちのフリーの傭兵なら大抵の奴は操縦出来るし。俺もいつか高速大型輸送艇を持ってフリーの傭兵としてデビューしたいぜ」

『そうか。まあ、頑張れよ』


 何気に少しだけ仲良くなった気がするファング4、5と会話する。さっきの戦闘の時も何も言わずに援護してくれたしね。


「じゃあ行こうか。観光名所もねえ場所にいつまで残っててもしょうがねえし。残っててもむさ苦しい敵しか寄って来ねえだろうからな」


 そして俺達は大型輸送艇に機体を搭載させて此方に向かってるマッド隊と陸戦隊を回収しアルビレオに帰還する為に空へと舞い上がる。

 だが最後の難関が俺達に立ち塞がる。ダムラカ軍所有の超級戦艦イストリアを筆頭に多数の艦隊が俺達を待ち受ける。

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