こんにちは俺専用ZC-04サラガン
主人公のギフト能力である【一秒先の未来視】を【三秒先の未来視】に変更致します。
変更する理由ですが多数の感想によるご意見、アドバイス、などを受けた事。それを元に自分なりに考えまして決断致しました。
まあ変更する場所も最初辺りの話だと思います。修正は早い方が後々楽ですからね。
後意固地になって自分を首を絞めるのは趣味では無いので。
ほら、間違ってたりしたら訂正するやん?無理があるなら修正するやん?普通の事やん?
改めまして沢山のアドバイスありがとうございます。今後も色々手間掛けてしまうかも知れませんが、宜しくお願いします(^^)
リリアーナ姫の救出した同時刻。宇宙では新たな戦局に移り始めていた。
『敵巡洋艦大破。及びフリゲート艦轟沈』
『流石戦艦アルビレオだな。新造艦なだけあって圧倒的火力だ』
『我が艦隊損耗率12%、敵ダムラカ艦隊の損耗率50%を超えています』
『敵ダムラカ艦隊損耗激しくも尚も戦闘継続中』
圧倒的優勢にあるエルフェンフィールド艦隊。対して壊滅的な被害を受けているダムラカ艦隊。だがダムラカ艦隊は撤退する様子はない。
【そうだ。もう直ぐ増援が来る。それまで持ち堪えるのだ】
【案ずるな。墜ちた艦の殆どは所詮賊に過ぎん。我々ダムラカ軍人の戦いは此処からだ】
【各艦に通達。これより防御陣を取れ。AW部隊、攻撃機部隊は時間稼ぎの為撹乱に専念せよ。簡単に死ぬ事は許さんぞ】
残存するダムラカ艦隊は統率の取れた戦いを始める。寧ろ邪魔な存在が居なくなったからか連携が密になり手強くなる。
それでも戦力差は大きく徐々に後退し数を減らして行く。
その様子を見ながらセシリア大佐は一息吐く。
「敵艦隊を包囲しろ。各艦に通達、前進し敵艦隊を包囲せよ」
「了解。各艦に通達。前進し敵艦隊を包囲せよ」
「降下部隊より入電。リリアーナ・カルヴァータ様の救出に成功。但し此方の戦力半減しており脱出困難な状況との事」
「そうか。直ちに回収艇の発進準備を急がせろ。完了次第順次降下開始」
「ようやくですな。後は姫様の回収が出来れば全てが終わります」
「そうだな。幾らダムラカ艦隊が足掻こうが、此方に姫様が居ればこの様な宙域に残る必要はなくなる」
徐々にダムラカ艦隊を包囲して行くエルフェンフィールド艦隊。だがダムラカ艦隊には耐え続ける理由があった。
「これは……大佐!ダムラカ艦隊の後方にワープ反応を確認!」
「規模はどのくらいだ」
「規模は少数ですが大型のワープ反応が有ります!」
「何?大型だと」
「間も無くワープ来ます!」
ダムラカ艦隊の後方に多数のワープ反応が現れる。そして超級戦艦と多数の駆逐艦、フリゲート艦、巡洋艦が姿を現わす。
【諸君よく耐え続けてくれた。これよりユリシーズ防衛艦隊は【超級戦艦イストリア】の指揮下に入れ。カルヴァータの脱出はどうなってるか?】
【数時間程前に陸上戦艦ヴァンガードより“敵降下部隊の出現。これより迎撃の為出撃する”との通信を最後に識別反応が途絶。以後詳細は不明】
【馬鹿な。ヴァンガードが墜ちたと言うのか。ならば急ぎ降下部隊を編成させろ。大至急にだ。資源加工施設との通信を】
【駄目です。通信繋がりません】
【ならば目の前の艦隊を壊滅させよ。イストリア、第一戦速。敵艦隊を押し潰す】
超級戦艦イストリアはゆっくりと前進。そして戦艦の威力と同等の主砲が多数エルフェンフィールド艦隊に狙いを付ける。
【砲撃始め】
イストリアからの圧倒的砲撃がエルフェンフィールド艦隊に襲い掛かる。
エルフェンフィールド軍の駆逐艦、フリゲート艦などの艦艇が高性能とは言え戦艦の砲撃に耐えれるのは数発が限度。その為徐々に被害が出始める。
「試作重力砲展開」
「了解。試作重力砲展開用意」
戦艦アルビレオの艦首部分が四又に別れ再び漆黒の塊が現れる。
だがダムラカ艦隊に焦りは無かった。
【敵旗艦より高重力反応確認。恐らく重力砲かと】
【我々の前でその忌まわしい兵器を使うとは。やはりエルフ共とは相容れる事は出来そうにないな。前方敵戦艦に向け反重力ジャミング装置照射】
【了解、反重力ジャミング装置照射】
超級戦艦イストリアの本来あるべきエネルギー収縮砲部分が全く違う物に変わっていた。そして目に見えない重力の波が旗艦アルビレオに襲い掛かる。
「大佐!試作重力砲の制御に異常発生!緊急停止起動します!」
「何が起こった。トラブルか」
「いえ敵超級戦艦から異常な重力波を検出。此方に向けて照射されています」
「まさか……此方の重力砲を知っていたのか?だがこれは第一種機密兵器に属するのだぞ」
セシリア大佐は信じられないと表情に出す。何故なら軍の機密兵器の対策を簡単に取られてしまった事実が有り得ないのだから。
仮に試作重力砲の制御が重力波で乱されたとしても簡単に乱される物ではない。それこそ高い出力で一点集中させる必要がある。そしてその装置を使うには余りにも限定的過ぎる。
にも関わらず超級戦艦のエネルギー収縮砲を廃止し反重力ジャミング装置を取り付けていたのだ。
間違いなくアルビレオ一点に狙いを付けていたとしか考えられなかったのだ。
「回収艇の準備完了しました」
「しかしセシリア大佐。このまま回収艇を出しても直ぐに捕捉されるでしょう」
「分かっている。だが、このまま放棄する訳には……」
「君、クリスティーナ大尉達の現在地は分かるかね?」
「少々お待ち下さい」
副官がオペレーターに指示を出す。少し待つとスクリーンに味方の場所が表示される。一つは資源加工施設。もう一つは地下鉄内だ。
「セシリア大佐。どうやらこのまま彼女達を行かせた方が効率が良さそうですな」
「そのようだな……」
副官の言葉を聞きながらセシリア大佐はスクリーンを数秒凝視し決断する。
「マッド隊と陸戦隊は資源加工施設に残ってる敵の輸送機か戦闘機を使いモバル空港に向かわせろ。また損傷の激しい又は放棄する機体は自爆させろ」
「ではファング隊の方も?」
「そうだ。ファング隊もこのままモバル空港に向かわせろ。そこにリリアーナ様を脱出させる筈だった敵の脱出艇がある筈だ。それを利用し帰還させろ」
「了解しました。直ちに通達します」
オペレーター達が降下部隊に通信を繋げる。その様子を見ながら再び前方の超級戦艦イストリアを見る。
「今は彼女達の無事の帰還を信じましょう」
「そうだな。それに我々の相手は超級戦艦だ。アルビレオが前に出なければ被害が増すばかりだ」
「幸いアルビレオのシールド、艦砲には今の所影響は有りません。ですがこれ以上予期せぬ事態を招く必要は有りますまい」
「貴官の言う通りだ。早期にリリアーナ様を救出しこの宙域を離脱する。各艦に通達。降下部隊の脱出まで敵艦隊を抑えろ」
「超級戦艦は如何致しますか?」
「他の艦艇で攻撃するだけ無駄だ。アルビレオの重力砲のエネルギーを主砲に転用すればマシになるだろうが……。今の状況では不測の事態を招くだけか」
ダムラカ艦隊の超級戦艦イストリアの出現によりエルフェンフィールド艦隊は不利な状況に陥ってしまう。だが此処で引き退る訳には行かない。
もう少しでリリアーナ・カルヴァータ姫を救出出来るのだから。
「各艦の奮戦に期待する。攻撃を続け敵の目を此方に惹きつけ続けろ」
決死の覚悟で応戦するエルフェンフィールド艦隊。無論ダムラカ艦隊とて一切の油断無く攻撃を続けるのだった。
俺達はリリアーナ姫の救出が成功した為、資源加工施設に戻ろうとしていた。だが突如通信が入る。勿論俺のはネロから傍受して貰ってる。
『これより新しい指示を出します。現在ダムラカ艦隊の増援として超級戦艦の出現。結果我々は徐々に劣勢になりつつあります』
超級戦艦。この土壇場で超級戦艦を出すと言う事は何がなんでもリリアーナ姫の脱出を阻止したいのだろう。
『よって回収艇の降下は非常に危険だと判断。これよりファング隊、マッド隊、陸戦隊は直ちにモバル空港に向かい脱出艇を確保せよ』
「また無茶な命令を簡単に言ってくれるぜ。回収艇が無理なら離脱も無理じゃないのか?」
『脱出する際にはアルビレオが盾になる。そして駆逐艦がリリアーナ様と降下部隊を回収する。と言うか貴様、機体はどうした?』
「壊しちゃった。ゴメーンね」
ウィンク一つしながらしっかりと謝ったらオペレーターのエルフ娘が固まった。うむピュアな反応で実に心地良いぞい。
『ごめんなさい。私のミスの所為なの。彼は悪くないわ』
「そうそう。俺は悪くないの。悪いのは大尉殿だよ」
『貴様は自重という言葉を知らんのか。あ、クリスティーナ大尉泣かないで下さい』
『な、泣いてないわよ……グス』
何やら大尉殿が泣いてる様だ。一体何故なんだ?
素知らぬ顔してたらオペレーターのエルフ娘の無言の圧力を感じる。無論負ける訳には行かないが話が先に進まないので仕方無く折れる事にした。
「冗談だよ。お互い生きてた。それで充分じゃねえか」
『キサラギ軍曹……ありがとう』
そう言って少し頬を染めるクリスティーナ大尉。だから頬染めんなって。ドキッとしちゃうだろ?
因みにまたオペレーターのエルフ娘から無言+睨みが追加された圧力を掛けてくる。俺にどないせっちゅうねん。
『しかし困りましたね。この状況下での戦力低下は……』
「そんな難しく考えんなよ。デルタセイバーもスピアセイバーもある。そして俺はネロと大人しくしてる。な、ネロちゃん」
「はい。お伴しますマスター」
適当なコンテナを背中にリラックスモードに入る。だってー、今の俺にやる事なんて無いんだもーん。
だが二機のスピアセイバーが俺の近くまでやって来た。こいつらはさっきマドックを持ち上げようとしたが出来なかった残念エルフ共だ。畜生!俺専用マドック!
「なんか用か?生憎俺はネロちゃんのボディ磨きに忙しいんだよ。用がないならどっか行けよ」
『安心しろ。お前の為に機体を見つけた。乗れ』
そう言うと機体を下げて手を差し出してくる。仕方ないので大人しく連れて行って貰う事にする。
「何だよ。スピアセイバーでもくれるってか?ならやる気120%出しちゃうけどな」
『そんな訳あるか。貴様の機体とあの傭兵の機体の後ろにAWが数機置かれていた』
『然もカードキーも落ちていた。恐らくあの時の衝撃でパイロットだけ列車から落ちたと思う』
「何その残念なパイロット達は」
そして着いた場所が四機のサラガンが待機状態で置かれていた。尤もこのリリアーナ姫脱出用列車には他にも通常兵器とかも置いてある。誰が指示を出したか知らんが用意周到ですこと。
「サラガンとサラガンと……て、全部サラガンじゃねーか」
『お前には似合いの機体じゃないか』
「俺さぁ、さっきまでさぁ、俺専用マドックに乗っててさぁ、これはさぁ、ちょっとねえ?」
『無いよりマシ。早く乗れ』
「はぁ……まぁ確かに無いよりマシか。仕方ねえか」
一度決めれば行動は早くなる。取り敢えず一番マシに見えるサラガンに乗り込み少し血の付いたカードキーを差し込む。そして起動シーケンスが立ち上がる。しかし早速問題が発生した。
「こいつ、OSのバージョン古くねえか?」
「二十年ほど前のバージョンになります。反応速度に関しては私が現行バージョンと同等の状態に補助出来ますが?」
「やってくれ。少なくとも反応速度だけでも何とかしたい。と言うかセクタルなのかダムラカなのかは知らねえが数だけ揃えたって感じだな」
重要なのはソフト面だってのに。ガワだけの張りぼてなんて意味無いんだよ。
「尤も一番必要なのはパイロットだけどな。動かす奴が居ないと話になりゃしねえ」
「マスターはスーパーエースですので問題ありません」
「お前だけだよ。そうやって俺を持ち上げてくれるのは。システム起動開始」
タッチパネルから機体を立ち上げる。プラズマジェネレーターからゆっくりと起動音が唸りを上げる。メインモニターを見ると徐々に出力が上昇し始める。
だが機体が揺れたと思ったらジェネレーターが一度咽せて出力が一気に下がる。それから再び出力が上昇を始める。
「スマイルドッグの機体がどれだけ恵まれてるのか嫌でも理解出来る瞬間だぜ」
ウチの社長は確かに金にがめついしケチ臭いおっさんだ。だが機体のメンテナンスは勿論の事、修理やアップグレードもしっかりと行なっている。
更に最低限の武装も用意してくれてるのだ。なんやかんやケチと言っても使う所は使ってるのが社長の良い所だろう。
因みに新しい武装や珍しい機体に関しては自腹で買えとの御達しもしっかりしてる辺り社長らしいと言える。
「早くスマイルドッグに帰りたい。そしてマシなサラガンに乗りたい」
「マスター、私がフォローします」
「無理すんなよ。俺は大丈夫さ」
ネロをひと撫でしてモニターを確認すると間も無く起動完了するのが分かる。
「さて、もう一踏ん張りすっか。取り敢えず武器適当に見繕うか。ネロ、識別を味方に変えといてくれ」
「了解しました。識別の変更完了。前方のコンテナに武装を確認」
「さて、何が入ってるかな。普通の武器で充分なんだけど」
取り敢えずコンテナを無理矢理こじ開ける。すると中から55ミリライフルと左腕に装着するパイルバンカー。肩武装のミサイルポッドと追加レーダーが入っていた。
「パイルバンカーか。中々癖の強い武器持ってんのな。まあ威力はお墨付きだし使っちゃお。おいファング4、5。肩武装の取り付け手伝ってくれ」
『仕方ない。それくらいはやってやる』
『一旦しゃがめ。直ぐに取り付ける』
サラガンをしゃがませ両肩のハードポイントを解除させる。暫くモニターを見てると左肩に追加レーダー、右肩に六連装ミサイルポッドが装着される。
「サンキュー。そう言えばこの列車の残敵はどうなってる?」
『今陸戦隊が対処してる。だが敵の殆どが無抵抗で降伏してる』
「なるほど」
『幹部らしき者も居たが逃走した時に列車から転落したらしい。全く貴重な情報源だと言うのに』
「さっきから転落率高えな。その幹部の手荷物でも調べたら良いんじゃない?IDチップとかあるだろ」
『確かに。言われてみればそうだな』
「つまり幹部が生きようが死のうが関係ないって訳さ」
それから暫く列車は走り続ける。モバル空港に近付くにつれ徐々に会話は無くなっていく。
俺は最後にもう一度簡単に機体チェックを行う。モニターを弄ってるとふと気付いた事があった。操縦レバーに少し大きめの傷があったのだが何処か見覚えがあったのだ。
少しだけ思い返すとクソ教官と共に当時の訓練機のサラガンを思い出した。
「まさか、てことは……あ、あった。うわぁ超懐い。俺の名前が書かれてるじゃん」
シートの後ろに【シュウ・キサラギ専用機】とペンで書かれていた。AW訓練終了課程の時に最後だと思い記念に俺専用機と書いたのだ。
「何かの縁だな。此奴が遂に俺専用機になった訳か」
そう考えると自然と口元に笑みが浮かぶ。こういう展開は嫌いではないと感じる程に。
「悪くない。俺専用機サラガンも悪くない」
状態はお世辞にも良いとは言えない。だがここまで御膳立てされて引き退るのはもっと良いとは言えない。
俺は首の骨を軽くならしながら操縦レバーの傷に触れながら言う。
「ハンデには丁度良いさ」
それから五分後に俺達はモバル空港に到着するのだった。




