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ジェームズ・田中は正規市民である

【朗報】迷惑配信者フィリップ・ラームが自治軍に逮捕されたwww


 1:スレ主

 航空ショーは問題無かったし、自治軍のメンツも立ったから問題無いな!


 2:無名の配信者

 俺、あの配信自体は結構好きだったんだよな。連邦や帝国のパトロール艦隊に突っ込んで行くから。


 度胸自体はあると思う


 3: 無名の配信者

 度胸はあっても、思考は無かったけどなw


 4: 無名の配信者

 また、一人の馬鹿が消えたか。


 5: 無名の配信者

 >>4問題無い。代わりは幾らでも居る。


 6: 無名の配信者

 そもそも、ナインズに関わろうとしてた時点で大炎上不可避。

 でも、自爆したから唯の大馬鹿野郎になった。


 マジでザマァwww


 7: 無名の配信者

 フィリップって元々軍の整備兵とかだっけ?

 だから、あんな戦闘機使ってたのかな?


 8: 無名の配信者

 素行が悪いのと、軍の内部を無断で配信したから除隊処分受けた。

 その時から迷惑配信者としての素質はあった訳よ。


 9: スレ主

 武勇伝として良く話してたな。


 俺は〜軍に〜嵌められる前に〜逃げてやったのさ〜


 唯の自業自得やんwww



 元々嫌われていたフィリップ・ラーム。

 嫌われている事は本人も自覚していただろう。だからこそ、自分にスパチャしてくれる顧客を優先していた。

 野次馬や他者の事は一切考えない。迷惑配信者としてのプロ意識はあったのかも知れないが。



 40: 無名の配信者

 流石は親衛隊だよな。あの距離を全弾命中させてたもん。


 41: 無名の配信者

 >>40残念だったな。アレは警備隊がやったのさ。


 42: 無名の配信者

 >>41嘘だろ?と思って調べたら本当でした。


 43: 無名の配信者

 警備隊ねぇ。あんな給料泥棒の巣窟にも、マシな奴が居たのか。


 44: 無名の配信者

 偶々初弾で命中させたんだよ。


 45: 無名の配信者

 ナインズの警備隊って何の為にいるの?


 46: 無名の配信者

 >>45肉壁


 47: 無名の配信者

 役に立たない肉壁になりそう。いや、壁にもならんか。


 48: 無名の配信者

 でも、昔は給料泥棒なんて言われて無かったけどな。


 49: 無名の配信者

 ナインズを一躍有名にさせた敏腕プロデューサーが一枚噛んでるって話は聞いた事はある。

 でも、掲示板で書いてあっただけだから信憑性は無いけど。


 50: 無名の配信者

 10年くらい前から徐々に質が落ちたって元警備隊員が言ってた。

 その人はベテランだったけど、早期退職希望者で辞めたみたい。


 51: 無名の配信者

 普通、あの距離で当てれるか?着弾するまで2秒くらいは掛かってたぞ。


 52: 無名の配信者

 まぁ、でも偶々じゃない?だって、警備隊だぜ?


 53: 無名の配信者

 俺も偶々だと思う。凄腕だとしたら警備隊じゃ無く、親衛隊に行くだろ。


 54: 無名の配信者

 調べたら少し分かった。

 ジェームズ・田中、25歳。最近入って来た奴らしい。

 経歴は微妙だったけど。


 55: 無名の配信者

 >>54微妙って?どんな感じ?


 56: 無名の配信者

 多分、成り上がり。過去の経歴が無い。


 57: 無名の配信者

 はい、解散。お疲れ様ー。


 58: 無名の配信者

 お疲れー。成り上がりは一生出張って来なくて良いでーす。


 59: 無名の配信者

 成り上がりに嫉妬する正規市民とか惨め過ぎて笑えるw


 60: 無名の配信者

 >>59は?嫉妬とかしてませんが?そもそも、俺達正規市民と同じ場所に居る事が間違い。

 ゴーストの癖に生意気なんだよ。


 61: 無名の配信者

 >>60でも、お前は警備隊にも入れない奴やんwww

 こんな場所に居ないで働けよwww



 そして、何故か口論に発展してしまう。ある意味、平和の証拠かも知れない。



 100: 無名の配信者

 知り合いの整備士が航空戦艦エイグラムスに居るんだけど。

 ジェームズ・田中の事を少しだけ聞けた。聞きたい人居る?


 101: 無名の配信者

 聞きたーい!


 102: 無名の配信者

 成り上がりだからハブられてそうw


 103: 無名の配信者

 偶々活躍したから調子に乗ってるのに100万クレジット賭けたるわ。

 外れたら全額孤児院に寄付します。


 104: 無名の配信者

 >>103オメェ、さては聖人だな?


 105: 無名の配信者

 >>103律儀な奴やなぁ。でも、嫌いじゃ無い。


 106: 無名の配信者

 取り敢えず簡単に聞いた事だけど、実力は確かみたい。

 警備隊相手の模擬戦は連戦連勝。中には多数を相手にしても勝ったとか。


 107: 無名の配信者

 へぇ、珍しく実力派がきたんだね。


 108: 無名の配信者

 つまり、それだけ多くのゴーストを殺して来たんだろ。


 成り上がりは殺人者だ。


 109: 無名の配信者

 >>108都合の良い時だけゴーストを人間扱いするの好き。

 お前みたいな偽善者が沢山増えると、世界はもっともっと楽しくなる。


 成り上がりに乾杯さ。


 110: 無名の配信者

 >>109うーん、お前はサイコパスの可能性有りだね。


 111: 無名の配信者

 後、模擬戦だと殆ど一撃で終わらせてたらしいよ。

 今だとワンショットキルって仇名が付いてる。


 112: 無名の配信者

 無駄に格好良い仇名やん。

 まぁ、これで初弾で当てたのは実力の可能性が高くなったな。



 しかし、所詮は成り上がり。一度の活躍くらいでは殆どの者達は見向きもしない。

 それは、当の本人も理解していた。


『何故撃ったのですか?目立つ行動は控えるべきです』

「大丈夫だよ。これより、もっと目立つ奴は腐る程居るんだ。仮に目立ったとしても、直ぐに沈静化するよ」

『それでも極力控えるべきです。エルフェンフィールド軍に捕まれば、今度こそ逃げられなくなります』


 それでも、極力大人しくすべきだと警告するエイティ。

 そんなエイティを心配性だなと心の中で思う。


「分かった分かった。ジェームズ・田中は大人しくする。これで良いんだろ?」

『はい、お願いします。これ以上の悪目立ちは避けた方が良いので』


 交代の時間が来たので、航空戦艦エイグラムスに帰還する。

 機体を格納庫に固定されたのを確認してから、コクピットハッチを開ける。


「凄いじゃん!ジェームズ!大活躍だったね!」

「……マジでキャラ変わってるやん。まぁ、別に良いけど」


 ヘルメットを取り、サングラスの位置を調整しながらコクピットから出る。


「はい、これ飲み物」

「どうも。機体の方は軽い整備だけで大丈夫だよ。大して動かして無いから」

「分かったわ。あ、今からご飯食べるでしょう?一緒に行きましょうよ」


 ホンマに誰やねんって言いたいくらいの豹変っぷりだよ。

 しかし、そんな俺達の姿を面白く無さそうに見てる連中が居る。


「……調子に乗ってるよな。田中の奴」

「だな。偶々運良く当たっただけだろ」

「あんな事なら俺でも出来たぜ」


 イチエイを筆頭にした各中隊のリーダー格が田中と女性整備士を見ていた。

 特に、女性整備士は高嶺の花より身近な花として見られており、人気が高い。


 まぁ、女性整備士にとっては余計なお世話だろうけど。


 しかし、イチエイが不敵な笑みを浮かべ始める。

 そして、周りにいるリーダー格の連中に向けて一つの爆弾を投入した。


「田中の事を少し調べたんだよ。そうしたらよ、どうやら成り上がりらしいんだ」

「成り上がりだと?本当かよ」

「間違いないぜ。過去の経歴とか無かったからな」


 イチエイはジェームズ・田中が気に食わなかった。

 技量がある事を認めたとしよう。最初こそ礼儀正しかったが、非協力的な態度は実に良く無い。

 そして、何より自分自身を見下す様な態度が気に入らない。


 イチエイは自尊心が非常に高い。


 正規市民として生まれ、親からも溺愛されていた。不自由しない金持ちの家の子だったので、欲しい物は何でも買って貰っていた。 


 何もかも自分の思い通りだった。


 だから、宇宙的人気アイドルのナインズの親衛隊になれると信じていた。


 しかし、現実は警備隊止まりだった。


 イチエイには()()()()がある。その計画さえ始まり、混乱している間にナインズの誰かを手に入れれる。


 その為にも、目障りな存在は部屋の隅に追いやるのが一番良い。


「良い事聞いたぜ。早速、ナタリアに忠告しに行こうぜ」


 初めて分かる警備隊の中で、人気の高い女性整備士の名前。


 ジェームズ・田中。お前はもう少し周りに興味を持ちなさい。


 イチエイ達は、田中とナタリアの道を塞ぐ様に前に出る。


「よう、ナタリア。そんな奴の近くに居ると、汚れちまうぜ?」

「はぁ?それより、気安く呼び捨てにしないで頂戴。気持ち悪い」


 イチエイから呼び捨てにされて、嫌悪感丸出しの表情になるナタリア。

 しかし、イチエイの表情は自信に溢れていた。


「俺はな、親切で教えてやるんだよ。良いか、よーく聞けよナタリア。田中はな……成り上がりなんだよ。穢らわしいゴーストからな!そうだろ?田中ぁ」

「そうですよ。頑張って這い上がって来ましたから。お陰で、自分自身に自信が持ててますよ」


 アッサリと認めた田中に一瞬、思考が止まるイチエイ達。

 そして、イチエイ達は田中を馬鹿にする様に笑い出す。


「ハ、ハハハ!聞いたか?自分で成り上がりだと認めやがった!」

「本当だぜ。やっぱり、ゴーストは馬鹿な奴しか居ないんだな」

「ナタリア、お前も人付き合いは考えなよ」


 イチエイ達は田中を見下す様に言い放つ。

 ナタリアも少しだけ眉を顰める。

 しかし、当の本人はと言うと。


「そろそろ行っても良いですかね?小腹空いてますので」


 田中はイチエイ達の嘲笑いに全く興味が無い。

 そんな田中の姿が余計に気に入らなかったのだろう。イチエイ達の表情が一瞬で強張る。


「おい、田中。あんまり調子に乗るなよ。ゴースト風情が、俺達以上に目立つ真似をするな。これは警告だ」

「目立つ真似ですか?安心して下さい。あの程度の事は目立つ範囲内に入りませんので」


 イチエイ達の嫉妬心を探知した田中は一歩前に出る。


「貴方達をワンショットで仕留めた事も。今回の侵入者を対処した事も。世間で見れば大した事じゃ無いし、目立つ事でも無い」


 そして田中は言い放つ。


「結果に大して影響しないんだよ。だから……心底、どうでも良い事なのさ」


 お前達は価値の無い事に嫉妬していると。


 そんな事で嫉妬しているから、いつまで経っても警備隊として周りから馬鹿にされ続ける。


 しかし、現実が見えてないイチエイ達は馬鹿にされたと思い込んでしまう。


「警告はした筈だ!調子に乗るなってな!」


 イチエイは田中に殴り掛かる。


 だが、一般人が傭兵相手に喧嘩を売ればどうなるか?


 それも、エースパイロット相手に。


 答えは簡単。弱い者虐めになる。


 イチエイの大振りの拳を避けて、鳩尾に拳をめり込ませる。


「ぉッ⁉︎ごぇ!」


 そのまま吹き飛ぶイチエイ。他の連中もイチエイの攻撃を皮切りに殴り掛かる。


 だが、殴り掛かってはカウンターで吹き飛ばされる。


 また一人、また一人と通路に倒れ赤い血が床を汚す。


 そして、誰も彼もがワンパンで仕留められてしまった。


「やれやれ、困った連中だ」


 俺は地面に伏せて、嗚咽を漏らしているイチエイの襟首を引っ張り上げる。

 イチエイは悲鳴を上げるが、俺は無視して顔を近付ける。


「なぁ、取引しないか?」

「な、何?取ひゴホッ、取引……だと?」

「あぁ、その通りだ。今後、オーレムや宙賊の襲撃が来るだろ?その時の俺の戦果……買わない?」


 商売魂が逞しいジェームズ・田中。しかし、その提案に待ったを掛ける存在が現れる。


『ジェームズ、それ以上の悪目立ちは控えて下さい』

「大丈夫だって。それに、お互い助け合ってこそ平和になるって言うだろ?」

『平和になるかも知れません。しかし、余計な欲を出せば面倒な事になる可能性があります』


 胸ポケットの中で待機していたエイティが警告する。

 シュウ・キサラギとの共通点は極力減らすべきだ。既に、ジェームズ・田中の存在は某掲示板などに一度認知された。

 もし、また別の形で目立つ行動を取ればバレる可能性は高くなる。


「……戦果、売るのダメ?」

『ダメです。貴方は、ジェームズ・田中なのです。普通の正規市民なのを忘れないで下さい』

「ハァ、分かったよ。そう言う事だから。この話は無かった事で宜しくお願いしますね。イチエイ隊長」


 ジェームズ・田中はアッサリとエイティの指示に従う。

 そして、イチエイ隊長の襟首を手放して立ち上がる。


「さてと、この後は医務室に行くのも結構ですし、上司に殴られたと報告しても良いですよ。唯、たった一人に負けたと言う事実を確実な物にしたければね」


 それでは。と一言残してサングラスの位置を調整しながら去って行くジェームズ・田中。

 そして、そんなジェームズ・田中の後姿と地面に倒れているイチエイ達を見るナタリア。


「……ダッサ」


 ナタリアの一言はジェームズ・田中の拳よりも効いたのは言うまでも無かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] これほどまでにしっくりくる「ダッサ」を聞いたのは何年振りかw
[良い点] 事件起こす予定まで立ててさらなるやらかしが約束されたイチエイさんw 今回ボコられたけど省みず返って意固地になるんでしょうね。 功績を売るのは某傭兵の手口だからダメ絶対w
[一言] もうやめて!ナタリア! とっくにイチエイのライフはゼロよ!
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