デルタセイバーVSルグレ
ファントムの内部から姿を現したZQA-N017ルグレ。
頭部、腕部、脚部はベスウーナムの物を使用しており、ブラッドアークと分かるのは肩と胴体だけであろう。
武装も右手に大型レールガン、左手に試作プラズママシンガンを装備。
右肩にはショットカノン、左肩には特殊兵装が格納されている。
ブースター関係の殆どはブラッドアークの物を使用しており、高い機動性と運動性を確保。
また腰横にも追加のブースターユニットを装着している。
ZCM-08RブラッドアークとQA-N09ベスウーナムを無理矢理ニコイチして調整、作製されたアーマード・ウォーカー。
通常の制御OSでは機体のバランスが悪く、ZC-04サラガンにも劣る性能しか出せないだろう。
だが、ルグレにはレイナを人柱としたOSX-017を搭載。
加えてリンク・ディバイス・システムも搭載しており、パイロットは直感的な操縦が可能となっている。
「……行くぞレイナ、第二ラウンドの始まりだ」
自然な動作で大型レールガンをデルタセイバーに向ける。
【キサラギ少尉!その機体はッ】
「避けれるものなら避けてみな」
トリガーを引くと大型レールガンからエネルギーが溜まり始める。
それを見てから回避するデルタセイバー。
銃口からエネルギーが溜まる光が敵には見えてしまう。
大型レールガンの短所でもあり、同時に長所でもある。
俺はギフトを使い3秒先読みしてから、デルタセイバーの回避先へ大型レールガンの銃口を向ける。
凄まじい速度でレールガンの弾頭が放たれる。
【クハッ⁉︎そんな、回避した筈なのに!】
弾頭は狙い違わずにデルタセイバーに直撃した。
「レールガン系統の武装はどうしても一癖ある。だから、あんまり使われないマイナー兵器だ。まぁ、俗に言う産廃武器の一つに入る訳だが」
ベテランや中堅辺りのパイロットだったら容易に回避する事が出来てしまう。
威力は高いし、弾速も速い。しかし、弱点が明確だから先読みされてしまい当たらない。
だが、この大型レールガンこそ対デルタセイバーには必要不可欠。
「だが、エネルギーシールドも貫通出来る。頼りの絶対的なシールドは役立たずに成り下がったぞ。デルタセイバー」
【この!喰らいなさい!】
反撃と言わんばかりにビームライフルとビームガトリングガンから、高出力ビームによる弾幕が襲い掛かる。
「甘いな。そんな殺気の籠って無い攻撃に意味は無いぞ」
デルタセイバーに向かって一気にブースターを使い一直線に接近して行く。
牽制射撃同然の弾幕を正面から潜り抜けながら、大型レールガンを構える。
【ッ⁉︎】
「オラァ‼︎もう一撃受けてみな‼︎そうすれば目が醒めるだろうが‼︎」
再び回避機動に入るデルタセイバー。だが、デルタセイバーに吸い寄せられるかの様に、大型レールガンの弾頭が直撃する。
「……フン、シールドを上手く使ってるな。だがなぁ、そのシールドがどのくらい耐えれるかねぇ‼︎」
手加減は要らない。
デルタセイバーを破壊する為に此処まで来たんだ。
殺る気が無いなら……無理矢理、殺る気にさせてやる。
デルタセイバーに近付き接近戦に入る。
流石にクリスティーナ中佐も焦りを覚えたのか、ビームガトリングガンで弾幕を張りながら後退する。
だが、こちらも試作プラズママシンガンとショットカノンで反撃。簡単に逃さない様にする。
【良い加減にしなさい!これ以上は本当に】
「殺すってか?生憎、俺は……俺達はデルタセイバーを破壊する事に躊躇いは一切無い‼︎」
素早い動きで側面に回り込みデルタセイバーに蹴りを入れる。
吹き飛ばされるデルタセイバー。だが、ビームライフルを仕舞い、対艦ビームサーベルを構えて反撃して来る。
【キサラギ少尉イイィィィ‼︎】
「……甘いな。デルタセイバー」
対艦ビームサーベルが振り下ろされる。
俺は試作プラズママシンガンを手放し、ビームサーベルを展開する。
【ッ⁉︎そんな!ビームサーベル!】
「プラズマサーベルとかだと鍔迫り合いで負けるからなぁ。だから……対策させて貰ったよ‼︎」
驚いてるクリスティーナ中佐を尻目に、ガラ空きになった胴体に蹴りを打ち込む。
後ろに蹴り飛ばされるデルタセイバー。その間に大型レールガンでデルタセイバーを狙う。
「死ね。デルタセイバー」
【ッ⁉︎こんのおぉ‼︎】
咄嗟の反応だったのだろう。対艦ビームサーベルを斜めに構えて防御姿勢を取る。
大型レールガンの弾頭が対艦ビームサーベルを破壊するが、弾道がズレてしまい直撃には至らなかった。
【ハアアアアア‼︎‼︎】
ビームサーベルを展開して構えたまま、勢い良く接近して来るデルタセイバー。
「ハンッ!ようやく殺る気になったか!」
試作プラズママシンガンを回収し、ショットカノンを撃ちながらビームサーベルを展開して同じ様に突っ込むルグレ。
デルタセイバーとルグレの持つビームサーベルが激しく打つかり合う。
そのまま機動戦に移行して行く。
「相変わらず出鱈目な機体だなぁ!デルタセイバー!」
だが接近戦なら、こちらに分がある。
リンク・ディバイス・システムを使ってるのでラグが殆ど無い。
OSX-017のサポートもあるから自然体で戦える。
徐々に押され始めるデルタセイバー。
「オラオラァ‼︎どうしたデルタセイバー‼︎お前の力はそんなモンじゃねえだろうがぁ‼︎」
ビームガトリングガンを斬り裂きながら、ショットカノンをデルタセイバーに撃ち込む。
バランスを崩しながらも耐えるデルタセイバー。
【私は……負けない】
「アァ?何だってぇ?小さい声だと聞こえねぇな‼︎」
至近距離で試作プラズママシンガンをデルタセイバーに向かって撃ち込む。
エネルギーシールドと肩側面のシールドを使い耐えるデルタセイバー。
精神的に追い詰めればデルタセイバーの性能はガタ落ちする。
【私は‼︎‼︎‼︎】
デルタセイバーの各部から光が発生。そして容量を超えたエネルギーがデルタセイバーから漏れ出す。
【負けない‼︎‼︎‼︎】
ビームサーベルの出力が一気に上がり、機動力に上がり始める。
【絶対に‼︎‼︎‼︎】
そして分厚いエネルギーシールドがデルタセイバーを包み込む。
クリスティーナ・ブラッドフィールドの想いに応える様にデルタセイバーは強く輝く。
「そうだぁ‼︎それで良いぃ‼︎それでこそ……デルタセイバーだぁ‼︎」
ビームサーベルを構えてデルタセイバーに向かって突撃する。
しかし、デルタセイバーが持つビームサーベルは通常の2倍以上の長さを展開。そのリーチを活かして簡単に近寄らせない。
だが、俺には切り札がある。
デルタセイバーが展開する高出力ビームサーベルに臆する事無く突っ込む。
しかし、デルタセイバーは後退しながらビームサーベルを振るう。
そして、避けれない攻撃がルグレに向かって振り下ろされる。
「アラクネ起動」
「システム、搭乗者共に問題無し。アラクネ起動します」
左肩から3本のアラクネが飛び出す。
そして、3本の刀がデルタセイバーのビームサーベルを受け止める。
【ッ⁉︎そんな!アラクネですって!でも、キサラギ少尉は使えない筈!】
「甘いなぁ……デルタセイバー。仕留めさせて貰う‼︎」
アラクネでビームサーベルを受け止めたまま一気に接近するルグレ。
咄嗟に左肩側面シールドで防御姿勢を取るデルタセイバー。
デルタセイバーにビームサーベルが突き立てられる。
エネルギーシールドを貫通して多目的シールドを融解。
そしてデルタセイバーの左肩にビームサーベルが突き刺さるのだった。




