E.G.F艦隊VS独立傭兵
「ワープ航行の緊急停止します」
「予定より早いな。つまり、何かあるって事か」
ワープホールから飛び出ると目の前で艦隊同士が激しい砲撃の応酬を繰り広げていた。
間違い無い。エルフェンフィールド艦隊だ。
「おいおい、俺と同じ事しようとする酔狂な馬鹿共が居るとは」
俺は操縦席から立ち上がり急いでAWのコクピットへ向かう。
「まぁ、それでもだ。俺の獲物を横取りするのは頂けないが」
コクピットハッチを開きシートへと座る。
メインシステムを起動させる。
「システム起動開始。プラズマジェネレーター、武装システム、オンライン」
レイナと同じ声を聞きながらシステムチェックを行う。
対デルタセイバー用に作られた大型ASとブラッドアーク、ベスウーナムを掛け合わせた機体。
どちらも不安定な急造品。
だが、これ以上の物を用意する事は不可能だった。
なら、今ある手札でやるしか無いだろ?
「リンク・ディバイス・システムとの接続開始」
「了解。リンク・ディバイス・システム接続開始。【ギフト適応、順応】共にパイロットに付与致します」
「あぁ、やっぱり最高の女だよ。お前は」
目の前がクリアになる。
リンク・ディバイス・システムを使う時の不愉快な感覚が全て無くなる。
自分の中に新たな力が入り込む感覚。
(これが……レイナが持っていたギフト。少しだけ借りるぜ)
感傷に浸っていると警告音が鳴る。
「警告。不明機の接近を確認」
「成る程な。随分と慎重な連中だ。まぁ、要らない不確定要素を排除したい気持ちは分かるがな」
AWを大型AS内部に入れる。
そして各部のロックを行いAWを固定する。
「だが、遅過ぎたな。俺が来た時点で、デルタセイバーを鹵獲できていなかった。だから、お前達全員の負けだ」
コントロールを大型ASと共有させる。但し、大型ASの方までリンク・ディバイス・システムが間に合わなかったので通常操作のままだ。
だが、何一つとして問題無い。
「ASとの操縦システム接続。システムオールグリーン」
衝撃。そして大型高速輸送艇が被弾して行く。
コクピットから胴体、エンジン部分に次々と被弾。
そして大型高速輸送艇は攻撃に耐え切る事が出来ずに爆散する。
【こちらB-04、障害を排除。任務に戻る】
TF-202Rシリウスの上に再び乗り込むTF-101Sレグルス。
大型高速輸送艇が最後まで爆沈するのを見届ける事無く戦線に戻ろうとする。
だが、それが彼等の命運を分けた。
突如として大型高速輸送艇から高出力ビームとプラズマが放たれる。
【何ッ⁉︎】
【チィッ⁉︎新手だったか!】
咄嗟の反応でビームとプラズマを避けるシリウスとレグルス。しかし、完全に避け切る事が出来なかったレグルスは脚部を失ってしまう。
大型高速輸送艇が爆発する。
爆炎の中から飛び出して来たのは1機の大型AS。
正面装甲は非常に分厚く頑強に。
高出力ビーム砲2門、高出力プラズマ砲2門、60ミリ機関砲4門。更に20連ミサイルポッドを側面に8個外付け、VLSミサイルを10基。
近接装備として近接用大型クローアームを2本。
艦隊に接近する為に後部に大型ブースター2基、大型ブースター8基を搭載。
自動迎撃システム搭載型拡散ビーム砲を2基装備。
そして奥の手として下部には大型対艦ビームカノンを装着。
識別 UN KNOWN
名前を付けられる事の無かった大型AS。
バンタム・コーポレーションが製造した事を秘匿する為に製造番号は一切刻まれていない。
存在が無い事となっている機体。
「行くぞ【ファントム】。デルタセイバーを潰す前の前菜だ」
ペダルを強く踏み、操縦レバーを前に突き出す。
俺の操縦通りにファントムは凄まじい加速と共に敵AW2機に向かって突っ込んで行く。
【民間船に擬装するとは。雇われで来たかぁ!】
損傷したレグルスを守る為に、55ミリライフルで攻撃を開始するシリウス。
「仲間想いじゃないか。実に素晴らしい」
しかし、ファントムの正面装甲は硬い。
理由は簡単。戦略級AWウシュムガルと同じ装甲材質が使われている。
ブラック・ウルツゥルフ窒化合金
入手困難な装甲はデルタセイバーの攻撃を数発は耐えれる代物。
そんな頑強な装甲相手に55ミリ程度では被弾した内に入らない。
俺は可変機に軽く攻撃をしつつ、損傷した所属不明のAWに向けて突撃する。
【ッ⁉︎狙いは俺か!巫山戯るな!】
140ミリ対艦ライフルで応戦するレグルス。
何発も当てるが全て弾かれてしまう。
【 B-04!回避しろ!】
【何なんだ!この化けもnッ】
速度を一切落とす事無く、レグルスに向けて体当たりするファントム。
打つかった衝撃でレグルスはバラバラに四散しながら爆散する。
【 B-04、ロスト。だが、背後は取ッ⁉︎しまッ⁉︎】
背後から55ミリライフルで狙おうとするシリウス。しかし、アラームと共に大量のミサイルがファントムから放たれる。
ステルス装置を起動させるシリウス。だが、ロストした付近で次々と自爆するミサイル群。
その爆発に飲み込まれて、シリウスも爆発の一つとなった。
「さて、デルタセイバーは何処にいる?居ないなら無理矢理引っ張り出すだけだ」
俺はファントムをエルフェンフィールド艦隊へ向かわせる。
一方、戦艦アルビレオの格納庫ではクリスティーナ中佐がデルタセイバーのコクピットに乗り込んでいた。
「駄目ですよ!中佐!勝手に出撃したら准将に怒られちゃいますよ?」
「怒られるのは嫌だけど、仲間を見捨てるのはもっと嫌。大丈夫よ。デルタセイバーと私なら何とかして見せるわ」
「あ、ちょっと!待って下さいって!」
整備兵の制止を振り切りコクピットハッチを閉じる。
システムを起動させて装備を選択する。
『何をやっている。クリスティーナ中佐。待機命令を無視するとは何事だ!』
しかし、直ぐにセシリア准将にバレてしまい怒られてしまう。
だが、今は命令違反をしてでも出撃しなければ味方を見捨てる事になる。
『今直ぐコクピットから降りろ。デルタセイバーでの出撃許可は出せん』
「このまま味方を見捨てる事は出来ません!ならデルタセイバーで敵を一掃すべきです!」
『自惚れるな!デルタセイバーが居なくてもエルフェンフィールド軍はッ⁉︎』
『フリゲート艦ユサール轟沈!敵上方、9時方向から8機接近!』
『対空弾幕!敵を近寄らせるな!』
敵が戦艦アルビレオに接近している。
クリスティーナ中佐はセシリア准将が僅かに目を離した隙にシステムを起動させる。
「武装は……コレで行くわ」
右手にビームライフル、左手にビームガトリングガンを装備。
両肩側面には多目的シールドを装備。
背部にはデルタセイバー専用の武装ユニットを装着させる。
この武装ユニットは火力と機動力により全ての距離で戦闘を可能にさせる。
高出力ビームカノンを二門、腰には対艦ビームサーベルを2本を懸架しておりシンプルな武装。
更に背部ユニットとして大型ブースターを2基、サブブースターを6基搭載。
高い機動力で敵を翻弄させ、火力で撃破する。
「こちらファング1、これより出撃します!」
『……艦隊防空のみ許可する。それ以上は認めん』
「了解です!ありがとうございます!」
セシリア准将は苦虫を噛み潰したよう表情をしながらも出撃許可を出す。
カタパルトに接続されるのと同時に格納庫ハッチが開く。
『クリスティーナ中佐、味方の超級戦艦サザンクロスの援護を行なって下さい。また、味方艦隊から離れない様にお願いします』
「えぇ、分かったわ」
『進路クリア、発進どうぞ!』
出撃ランプが赤から青に切り替わる。
操縦レバーを強く握り締めてモニターに映る戦場を見つめる。
「デルタセイバー、クリスティーナ・ブラッドフィールド中佐、ファング1出ます!」
身体にGを受けながら勢い良く戦場となっている宇宙へと飛び出す。
戦況は僅かだがエルフェンフィールド艦隊が劣勢。超級戦艦サザンクロスは速力が落ちてしまい戦列を離脱するのは目に見えていた。
だが、超級戦艦サザンクロスは今も攻撃を続けていた。
持てる火力を使い徹底抗戦の構え。いや、何としてもデルタセイバーを宇宙要塞リーゼスヴィッセンへ向わせようとしている。
しかし、5隻のE.G.F駆逐艦が超級戦艦サザンクロスへ攻撃する為に突撃している。
『敵駆逐艦を近寄らせるな!対ビーム撹乱粒子散布急げ!続いてミサイル発射用意!』
超級戦艦サザンクロスの右舷側は被害甚大だ。武装も半数以上が破壊されてしまい火力が落ちている状況。
【弾幕が薄いな。これより第二陣は超級戦艦サザンクロスを撃破する!各艦、気を引き締めろ!】
加速して行くE.G.F駆逐艦。
何とか被害を抑えようとするが、艦橋付近を護衛していたMW部隊が次々と破壊されてしまう。
『艦橋は絶対に死守してッ⁉︎ガハッ⁉︎』
【C-01、障害を排除。艦橋を潰す】
1機のレグルスがステルスを生かして瞬く間に護衛のMW部隊を撃破して行く。
丸裸にされた超級戦艦サザンクロスの艦橋。
45ミリアサルトライフルの銃口が向けられる。
息を呑み覚悟を決めるマッセナ中将。
しかし、何かを察知したC-01は咄嗟に後退する。
すると高出力ビームが横合いから襲って来る。
【ッ……旗艦へ通達。デルタセイバーを確認。これより誘導する!】
消し飛ばされた右腕と45ミリアサルトライフルを気にする様子は無い。
代わりに左手に近接用ハルバートを構えてデルタセイバーに向けて突っ込む。
「サザンクロスは墜とさせない!喰らいなさい!」
ビームライフルと高出力ビームカノンによる弾幕。しかし、レグルスはギリギリの回避を行い接近戦に挑む。
【貴様は危険な存在。この宇宙を脅かす害獣だ!】
近接用ハルバートを横薙ぎに振るうレグルス。
しかし、クリスティーナ中佐は冷静に対処する。
レグルス以上に距離を詰めて左肩側面の多目的シールドにて近接用ハルバートを受け止める。
「邪魔よ」
【ッ⁉︎おのれッ】
至近距離からのビームガトリングガン。通常のAWでも耐える事は不可能な火力。装甲の薄いE.G.Fのレグルスではなおさらだ。
瞬く間にレグルスのコクピット部分は穴だらけになり、パイロットを消し炭にして爆散して行く。
「サザンクロスはやらせない!」
超級戦艦サザンクロスに迫り来るE.G.Fの駆逐艦隊。
凄まじい加速を見せてE.G.F駆逐艦隊に突っ込んで行く。
【デルタセイバーを確認!真っ直ぐ突っ込んで来ます!】
【回避ィー‼︎デルタセイバーは捕獲部隊に任せれば良い‼︎】
慌てた様子で回避機動を取るE.G.Fの駆逐艦隊。
しかし、既にデルタセイバーの射程内に入ってしまっていた。
「逃がさないわ!墜ちなさい!」
ビームライフルと高出力ビームカノンによる攻撃で一瞬にして駆逐艦3隻が爆沈。
更に超級戦艦サザンクロスからの迎撃で1隻が制御を失いながら爆散して行く。
【コレが……デルタセイバー。確かに、我々が派遣されたのも頷ける】
何とか逃げ延びた2隻の駆逐艦。しかし、デルタセイバーは追撃して来る。
【追撃して来るなら好都合。このまま誘導する】
【回避は怠るな!駆逐艦のエネルギーシールドでは奴の火力を防ぐ事は出来ない! 】
2隻の駆逐艦はミサイルをデルタセイバーに向けて発射しながら移動して行く。
しかし、デルタセイバーの加速は凄まじいのか徐々に駆逐艦に迫って行く。
「捉えた!墜ちなさい!」
【不味い!取り舵一杯!】
デルタセイバーから高出力ビームカノンが放たれる。
1隻の駆逐艦に被弾。後部のメインスラスターから直撃。そのまま貫通して機関部を破壊。
駆逐艦は船体を維持する事も叶う事無く爆沈。残った1隻の駆逐艦も必死に回避機動を取りながら、持てる武装を使い反撃して行く。
【デルタセイバーめ……。現在の捕獲部隊の位置は?】
【間も無く交差します】
【そうか。なら、我々は役目を果たした訳だ】
再び警告アラームが鳴るが既に捕獲部隊が待機している。
【後は……頼んだぞ】
駆逐艦の艦長がそう呟くのと同時に艦橋が消し飛ばされる。
そして制御を失いながら蛇行しつつ最後は爆沈して行ったのだった。
「後は他の敵をッ!この距離で敵の反応?」
突如レーダーに現れた4機のAW。既に中距離戦にまで迫っていた。
【Z-01より各機。これよりデルタセイバー捕獲作戦を開始する。役目を果たした駆逐艦2隻の死を無駄にするな】
【【【了解】】】
4機のレグルスは散開しながらデルタセイバーに接近して行く。
「貴方達がどれだけの戦力で来たとしても、私とデルタセイバーは負けない!行くわよ!デルタセイバー!」
クリスティーナ中佐の想いに応える様に一瞬だけツインアイを光らせるデルタセイバー。同時にジェネレーター出力も一気に上がって行く。
「避けれるなら避けてみなさい!」
【煙幕展開!そのまま距離を詰める!】
ジャミングを含んだ煙幕をデルタセイバーに向けて放つ。
「無駄よ!そんな小細工は通用しないわ!」
デルタセイバーから高出力ビームカノン、ビームライフル、ビームガトリングガンによる弾幕が煙幕に向けられる。
【ッ⁉︎】
1機のレグルスが高出力ビームにより胴体を貫かれて爆散。爆風で煙幕が晴れるが、構わず突撃する3機のレグルス。
【正面は俺がやる。02、04は左右に展開。囲んで鹵獲する】
隊長機のレグルスが60ミリアサルトショットガンをデルタセイバーに向けて連射しながら、一気に間合いを詰める。
しかし、デルタセイバーのエネルギーシールドが全ての弾丸を防いでしまう。
【この間合いなら!】
「甘い!」
電磁サーベルを抜き放ち接近戦に持ち込むレグルス。
だが、クリスティーナ中佐は冷静に対艦ビームサーベルを構えて迎え打つ。
電磁サーベルと対艦ビームサーベルが鍔迫り合いになり激しく稲妻が走る。
【情報通り大した機体だ。それに、パイロットの腕も良いと来たか!】
「ッ……一気に終わらせるわ!」
一瞬だがE.G.Fパイロットの声を聞いたクリスティーナ中佐。
出力の差により押し出され弾き飛ばされるレグルス。
バランスを崩したレグルスに向けて対艦ビームサーベルを振り上げる。
しかし、背後から2機のレグルスが迫る。
【背後がガラ空きだぞ!デルタセイバー!】
【隊長はやらせん】
Z-04が2挺の45ミリサブマシンガンを使い、近距離でデルタセイバーに向けて撃ち続ける。
その間に更に接近を試みるZ-02。
だが、クリスティーナ中佐は振り向きながら対艦ビームサーベルを横薙ぎに勢い良く払う。
咄嗟に電磁サーベルでガードするZ-02のレグルス。
【後は任せますッ⁉︎】
電磁サーベルごとZ-02のレグルスは胴体から真っ二つに別れる。
そして再び至近距離での爆発。
一瞬だけ視界が奪われるクリスティーナ中佐。
だから一気に加速して爆煙から飛び出る。
【この瞬間を待っていた】
目の前に現れるレグルス。そして電磁ワイヤーを射出する。
「ッ⁉︎」
咄嗟にビームライフルで反撃する。しかし、ギリギリの紙一重で回避されてしまう。
【当てました。行きます】
もう1機のレグルスも背後からデルタセイバーに対し電磁ワイヤーを取り付ける。
【やれ!】
【了解】
2機のレグルスから強力な電流がデルタセイバーに流れ込む。
「ッッッッ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
声を上げる暇も無くクリスティーナ中佐に電流が流れてしまう。
パイロットが気絶してしまい意識が無く動かなければ、デルタセイバーも動く事は無い。
デルタセイバーのツインアイから光が消える。
【Z-01より旗艦へ。任務完了。これより帰投する】
そして、デルタセイバーは完全に機能停止してしまったのだった。
超級戦艦サザンクロスは速力を落としながらも奮戦し続けていた。
第二陣の敵駆逐艦隊をデルタセイバーが対処したから延命出来た。
だが、E.G.Fはまだ諦めた訳では無かった。
【第三陣、突撃開始します】
【第81独立艦隊から入電。巡洋艦も共に突入させるとの事です】
【そうか、今度こそ終わりだ。沈めて楽にしてやれ】
巡洋艦3隻と駆逐艦5隻による雷撃艦隊が加速して超級戦艦サザンクロスに向かう。
『右舷より更に敵艦隊が突入して来ます!』
『デルタセイバーはどうした!』
『レーダーのジャミングが酷く位置を把握出来ません!』
『クッ、何としても近寄らせるな!迎撃!』
マッセナ中将は諦めず最後まで指揮を執り続ける。副官や部下からは退艦を何度も進言されているが拒否し続けている程だ。
【超級戦艦サザンクロスは既に虫の息だ。護衛のAW部隊には細心の注意を払え。行くぞ!艦隊突撃ィー‼︎】
8隻の艦艇が収縮砲をチャージしながら突入する。
戦艦アルビレオと護衛艦隊からも必死の援護を受けるが落ちない。
【超級戦艦サザンクロス。敵ながら中々手応えのある艦艇だったな。その名は覚えておいてやろう】
勝利を確信したE.G.F巡洋艦の艦長。
だが、戦場とは予期せぬ事が起きる。
「大型対艦ビームカノンのチャージ完了。射線軸の誤差修正完了」
「最初の挨拶は肝心だからなぁ‼︎」
一番左に展開していた駆逐艦の横っ腹に向けて大出力ビームが突き刺さる。
大出力ビームは駆逐艦を貫通。そのまま2隻、3隻とぶち抜いて行く。
【ッ⁉︎何事だ!】
【所属不明機からの攻撃です!我々を狙っています!】
【何だと⁉︎AW部隊を迎撃に向かわせろ!こっちは進路変更が出来ないのだぞ!】
大型対艦ビームカノンから大量の冷却剤が噴射される。 冷却されるまで次弾がチャージ出来ないが、他の武装は問題無く使える。
そして、大型ASが凄まじい速度でE.G.Fの雷撃艦隊に向かう。
「このまま他の駆逐艦も潰させて貰おうか」
高出力ビーム2門、高出力プラズマ2門から大量のビームとプラズマが放たれる。
駆逐艦のエネルギーシールドは瞬く間に喪失。船体に次々の高出力ビームと高出力プラズマが突き刺さる。
更に流れる様に5隻目の駆逐艦に向けて突撃。
【迎撃!回避しッ⁉︎】
「護衛を付けなかった不精を恨め」
近接用大型クローから高出力プラズマサーベルを展開。そのまま駆逐艦の艦橋を抉る様に斬り裂く。
更に通り過ぎるのと同時に大量のミサイルを放ち駆逐艦を破壊して行く。
【な、何なんだ……アレは?ッ!いかん!迎撃だ!迎撃しろ!サザンクロスは無視して構わん!】
2隻の巡洋艦からビームと大量のミサイルがファントムに向けて放たれる。
「緩いな。そんな弾幕、俺達にとっては脅威にならんぞ」
数発のビームとミサイルがファントムに被弾する。だが、正面装甲は戦略級AWウシュムガルも使用していた特殊合金装甲。
デルタセイバーのビーム攻撃すら防げる優れ物なのだ。
再び大型対艦ビームカノンをチャージ。その間に再び巡洋艦2隻に接近して行く。
途中、レグルスとシリウスが迎撃に向かうが全て無視されてしまう。
そもそも秘密結社E.G.Fはステルスを多用する特殊な組織。
故に火力と防御が犠牲になってしまう。
両立出来る程、技術革新はまだ起きていない。
「チャージ完了。誤差修正完了。いつでも射撃可能です」
「もっとだ。距離を詰めて確実に破壊する」
絶対に避けられない距離で撃つ。
その事に恐怖を覚えたのはE.G.F巡洋艦の艦長達。
話し合いは通じない。なら、やるしか無い。
【近寄らせるなあああああ‼︎‼︎墜とせえええええ‼︎‼︎】
恥を捨てて大声で指示を出す艦長。
だが、既に手遅れだった。
近距離で大型対艦ビームカノンが発射される。
1隻目の巡洋艦は機関部を直撃され、艦橋に向けてビームカノンが迫り来る恐怖を味わいながら消し炭になる。
巡洋艦が爆沈。その爆煙の中からファントムが速度を落とす事無く2 隻目の巡洋艦に突っ込んで来る。
【あ、有り得ん。我々は……勝っていたのだぞ。なのに……こんな事】
有り得ない。そう呟いた瞬間に大量のビーム、プラズマ、ミサイルが巡洋艦に突き刺さる。
そして、最後に60ミリ機関砲から放たれた60ミリの弾頭が艦橋と人員達を穴だらけにしてしまうのだった。




