サキュバスの館
明けましておめでとうございます!
今年もIII count Dead ENDを宜しくお願いします。
東郷組との共闘作戦は無事完了した。
東郷組のライバル的な存在だったマフィア擬きの連中も抵抗はして来た。しかし、戦力を分散させていたのと逐次投入をした結果、連戦連敗と言う最悪な結果を叩き出した。
また【クリムゾン・ウルフ】と【鬼神のゲン】との夢のコラボを戦場で実施。派手に暴れまくった結果、マフィア擬きを半泣きにさせたのは良い思い出だ。
そして、マフィア擬きが根負けして降伏。こうして無事に東郷組は勢力拡大に成功したのだった。
依頼主がカリナ・スティングレイだと言う事を除けば実に有意義な仕事だった訳だが。
しかし、戦闘を行えば色々と消耗したり損失したりする。
艦載機や艦艇への被弾。幸い艦艇は損失する事は無かったがAWやMWは何機か失う事となってしまった。
元々スマイルドック艦隊は惑星ニュージェネスでの戦いで消耗していた状態だった。それでも応急処置を行いつつ戦闘を続行していた。
お陰で戦艦グラーフと巡洋艦二隻はかなり被弾して傷だらけだし、駆逐艦やフリゲートに至っては殆どが中破な状態だ。
その為、スマイルドック艦隊は東郷艦隊と共に大型の宇宙ステーションで修理と補給を行う事となった。
大型宇宙ステーションなら大抵の物は手に入るし、艦艇用格納庫も大きいので戦艦クラスも余裕で修復出来るのだ。
しかし、俺達はその大型宇宙ステーションで幸運な出会いをする事となった。
「おいおい、アレってまさか」
「あぁ、見間違う訳がねぇ。俺達の希望の方舟【サキュバスの館】だ」
「スッゲェ!俺は初めて見たぜ!本当に超級戦艦使ってんのか」
「武装はかなりオミットしてるらしいがな。艦首収縮砲も威力低めで連射が効くタイプになってる」
スマイルドック社員の殆どはサキュバスの館の超級戦艦と艦隊に視線を向けていた。
しかし、それは仕方ない事だろう。サキュバスの館は文字通りインサキュバスとサキュバスと言う種族が多く居る。
彼、彼女達は多くの異性と出会う為に、このだだっ広い宇宙を放浪している種族なのだ。その為に三大国家に多額の献金と奉仕活動を行い、超級戦艦と艦隊保有の許可を得ているのだ。
また、沢山の種族が住んでいる事で有名でもある。人型から獣人。昆虫型からエイリアン型など。
兎に角、多種多様で色々と文化の違いを満喫出来る場所でもある。
そのお陰か観光船としても有名であり、健全な部分もしっかりと備わっていたりするのだ。
「ほぅ、こんな宙域でサキュバスの館を見つけるとはな。しかし、また随分と派手な艦隊カラーしてんな」
「マスター、あの色はサキュバスとしての種族をイメージしているとの事です。主にピンクと紫を基調としていますが、同時に虹色と黒色も適度に使用しています」
「派手だが下品に見えないのが不思議だぜ。アレだけピンクカラーが目立つのにな」
しかし、サキュバスの館かぁ。
コレは戦場で疲弊した精神と肉体を癒す為に、色々とハッスルしてスッキリせねばなるまいな!
いや、寧ろサキュバスの館を見たら行かねば失礼と言うモノよ。
俺は社長に直接連絡する事にした。まぁ、社長も事情は察しているとは思うがな。
すると案の定と言うべきだろうか。艦内放送で社長直々に連絡が来た。
《諸君。任務達成ご苦労であった。今回の依頼は非常に厳しい物であったのは言うまでも無い。だが、諸君達の奮戦があったからこそ無事に依頼を達成出来たのは言うまでも無い》
東郷組との共闘も最初は色々とゴタついたのは言うまでも無いだろう。更にブラッドアークもかなりの損傷を受けてしまっていた。
しかし、それはバンタム・コーポレーションから派遣された技術者達。そして、我が傭兵企業スマイルドックの整備兵達のお陰で何とかなった。
彼らが居なければ俺はサラガンで出撃していただろうしな。
《しかし、我がスマイルドック艦隊は非常に大きな被害を受けてしまったのも事実だ。また、諸君達の疲労も蓄積されているのもワシは把握しておる》
だが、悪い事ばかりでは無い。
ブラッドアークも無事に直っただけでなく、俺自身のギフトもいつの間にか治っていた。
唯、残念な事に進化したとかは無かった。まぁ、強いて言うなら長時間ギフトを使用しても全然平気になったくらいだろう。
世の中上手い具合にチートは来ないモノさ。
《そこで、諸君達には二週間の休暇を与える。サキュバスの館でバカンスを満喫するのも良し。艦内に留まり休むも良し。個人で依頼を受けるのも良し。好きにすると良い》
一番懸念していたカリナ・スティングレイも終始大人しくしていた。
時々勧誘と言う名の口説きをされたが、キッパリ拒否した。しかし、拒否したにも関わらず本人は全く気にしてる様子は無かった。
個人的な見解だが、別人になり変わって再び勧誘して来る可能性もあると思っている。
簡単に言えば勧誘する機会は豊富にあるから特に問題無いのだろう。
《それから、キサラギ。貴様には強く言っておく。この二週間の間、ワシに連絡するんじゃないぞ。ワシも色々忙しい立場なのだからな。以上だ》
「いや、最後の台詞いる?社長は俺を何だと思ってんだが」
「じゃあ先輩。これから二週間は社長に嫌がらせしない自信はあるんスか?」
「ある訳無いだろ。当たり前の事言わせるなよな」
「なら社長が言ってた事は間違って無いじゃない」
俺はやれやれと大きなリアクションを取りながら、話し掛けて来たアズサ軍曹とチュリー少尉の方を見る。
スマイルドックの制服に身を包んでおり、傭兵と言うよりOLに見えなくも無い。しかし、腰には拳銃とナイフを装備している辺りOLとは掛け離れた存在だろうがな。
「で?お前達もサキュバスの館に行くんだろ?」
「勿論ッス!久々に遊んで観光して美味しい物沢山食べるッスよ!」
「私はブランド物のバックとか服を買いたいわね。後はお酒とかもかなぁ」
サキュバスの館に行くと言うのに大人しいチョイスを選択する二人。
しかし、サキュバスの館を侮る事なかれ。超級戦艦は非常に大きな船体を持つ。そして、武装を幾つかオミットして居住空間を確保している。
つまり、観光箇所やブランド物は腐る程あるって訳だ。
この危険な宇宙で武装を減らすと危ないと思うだろ?だが、武装を減らそうとも下手な艦隊より強いのが超級戦艦なのだ。
更にサキュバスの館は自前艦隊を持つだけで無く、周りが率先して味方になろうとするのだ。
大量の娯楽と快楽を提供するサキュバスの館。
サキュバスの館なら全てが揃っていると言われている程。
そして、来る者を殆ど拒まない懐の広さ。
クレジットさえ払えば、ゴーストだろうが迫害された種族にとって最後の拠り所。
故にサキュバスの館は【宇宙で最後の楽園】なんて呼ばれたりもしているのだ。
「まぁ、精々楽しんで来いよ。俺はキャバクラかバーでパァーッて金を使いまくって来るよ。次いでに賭け事でもやって一儲けしてくるわ」
「先輩、賭けに勝てる方法でもあるんスか?」
「あ?いや、俺は賭け事自体はやらねぇよ。俺がやるのはAWやMWを使った格闘競技に出るんだよ。勝って勝って勝ちまくって場を荒らしまくってやるぜ」
「本当に貴方ってトラブルメーカーよねぇ。もう少し大人しくした方が良いわよ?」
「ハン!名誉市民にクリムゾン・ウルフなんて呼ばれてる時点で、大人しくしてても周りが放っておかねぇよ」
そうこうしてる間に俺達はサキュバスの館に向かう。入場料は値が張るが、コレが一種の防犯にも繋がる訳だ。
因みに更にクレジットを支払えばサキュバスの館に住む事も出来る。一年間隔で更新する必要があるが、サキュバスの館には働き口は沢山ある。
だからこそ働きながらサキュバスの館に住み続ける事も可能なのだ。
但し、数多くの誘惑が所狭しとある場所だ。簡単にクレジットを消費してしまう連中が多いので入れ替わりは激しいらしいがな。