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ZXGT-01ウシュムガル

待たせたな!(一年以上)

連載再開するとは読者の殆どは諦めてたと見た!

だって、俺もまだ再開する予定は無かったもの()


後、投稿して無い間にTwitterみたいないいね機能が出来たんやねぇ。

俺も良くTwitterでカッコいいロボや兵器、兵士のイラストにいいねしてるから良い機能だと思います!


では、本編どうぞ!

 宇宙での戦闘はニュージェネス自治軍側の勝利に終わった。その結果としてコンフロンティア軍は苦境に立たされる事となった。

 現にコンフロンティア上層部内部では完全に意見が分かれていた。

 一つは和平交渉をする事。このまま戦力が減り降伏すると言う事になれば、自分達の自由を差し出すのと同じ。つまりゴースト更生労働法に従う事を意味していた。

 だがゴーストとて正規市民の繁栄の為に(いしずえ)になるのは御免被ると言う物だ。よって自分達が逃げる為の時間稼ぎが必要だ。その為に戦力が残っている内に和平交渉をする事で少しでも時間を稼ぐのだ。

 そして、もう一つが徹底抗戦だ。首都トメラスまで目前に迫っている状況。最後の障害となるティラナ軍事基地を制圧すれば武器、弾薬、兵器の補充が出来る。

 そして、首都トメラスに一撃でも加える事が出来れば正規市民の目も覚める事になるだろう。自分達がゴーストを制御する事は出来ないと。


「だからこそ!攻撃の手を緩める訳には行かん!今、こうしている間にも敵に攻撃する時間を与えているんだ!」

「馬鹿な事を。今の戦力があれば和平交渉が出来る。そうすれば時間は稼げるんだ」

「自分達だけ逃げる気か!臆病者め!」

「ならば貴様は愚か者だ!状況を理解出来ぬ上、多くの者を巻き込もうとして」

「この場所に来た時点で皆、既に覚悟は出来ている筈だ!」

「状況が変わったんだ。そこを理解するんだよ。武力だけでは勝てんよ」


 好戦的で荒事に慣れている者達は勝てると信じていた。そして首都トメラスに攻め入る事が出来れば、市民達のヨハネス・シュナイダーに対する支持率は急落するだろう。

 そして、自分達が代わりに指導者として立ち上がるのだ。この惑星ニュージェネスをグンマー星系で随一の武力国家にする為に。

 そんな夢物語を白い目で見ている者達にとっては堪った物では無い。惑星一つ経営する事は簡単では無い。仮にコンフロンティアが勝利したとしても後の処理は地獄みたいな状況に陥るだろう。

 ゴースト達を正規市民並みの扱いにした瞬間、惑星ニュージェネスから正規市民が一人も居なくなるだろう。そうなれば我々も自滅するのと同じだ。

 大体、学も無ければ道徳も品性も無い連中が人々を導く?まだ宇宙クラゲに統治させた方がよっぽど平和になるだろう。


 一向に意見が纏まらない中、エルフェンフィールド軍は静観していた。正確に言うならヤン・ハオティエン氏を確保する事が出来れば良いのだ。

 しかし、宇宙で待っている筈だった艦隊は敗北。結果としてコンフロンティア軍同様に孤立無援となってしまった。

 恐らくニュージェネス自治軍と交戦する意思が無ければ自分達は見逃されるだろう。しかし、ヤン・ハオティエン氏を確保しなければならない任務がある以上交戦するしか無い。


(厄介な状況ね。艦隊が再編出来るのは早くても三日くらい掛かるわね。でも、まだ私にはデルタセイバーと仲間達が居る)


 クリスティーナ少佐は状況が劣勢となっているが、抵抗する力はまだ残っていると考えている。

 兵器も質も全てエルフェンフィールド軍の方が上。更にデルタセイバーの力は全く衰える様子は無い。

 現在の目下の問題は最低でも三日間は耐える必要がある事ぐらいだろう。


「時間の無駄ね」


 目の前で繰り広げられている論争を、誰にも聞こえない小さな呟きで否定する。寧ろ、こんな無駄な論争を聞くくらいならキサラギ少尉に怪我を負わせる事無く、機体を破壊出来る方法を模索した方が建設的だと考えているくらいだ。


 その考えが駄目な男を養えるのは自分だけだと思っている恋する乙女(危ない乙女)だと言う事に一切気づいていないけど。


 そして、こんなにも荒れている様子を静かに見つめるヤン・ハオティエン。

 彼が何を考えているのか全く見当が付かない不気味さ。しかし、目を離すのは絶対に駄目だと理解している。その為にヤン氏の護衛と称して、常に兵士を二人付かせていた。

 時間が悪戯に過ぎて行く中、一部の者達が勝手に行動を開始していた。

 己の利益と権利を確保する。そして傲慢な正規市民共の鼻っ柱をへし折ってやる絶好の機会。


 そのチャンスを逃す事は有り得ないのだ。




 コンフロンティア軍の約1/6の戦力が先行する形でティラナ軍事基地に向かっていた。情報ではティラナ軍事基地には先の戦闘で出た多くの負傷兵が居るとの事。そして自治軍より傭兵の方が多いとされていた。


【速度を緩めるな!今が好機だ!所詮は傭兵共の集まりに過ぎん基地だ!我々の手だけで陥落させるぞ!】


 頭部が寂しくなり、僅かな毛を風で靡かせながら指揮を取る男性。名をハーゲルと言う。

 見た目の割に荒事には慣れているし、人を集めて指揮するのが得意である彼は、一足先に周りの連中を差し置いて前進していた。

 先の戦闘でデルタセイバーによって多大な被害を被った自治軍。それは首都トメラスの最後の砦となっているティラナ軍事基地も例外では無い。基地を守る為に、あの戦いで多くの戦力を投入していたのだ。

 結果として被害が多数出てしまい未帰還となった部隊は少なく無かったのだ。

 無論、軍事基地として防衛装備は設置してあるだろう。しかし、例え守備部隊が残って居ようとも今のティラナ軍事基地は裸同然だと考えていた。


【このまま前進せよ!一番戦果を上げた者には褒美を出すぞ!】

【あのー、ハーゲルさん。流石に勝手に動くのは不味いのでは?】


 副官の男性がハーゲルに苦言を言う。しかしハーゲルは副官を見て好戦的な笑みを浮かべる。


【何を言うか。我々がティラナ軍事基地を制圧すれば全て問題は無くなる。そしてコンフロンティアの中で一番の功労者として、このハーゲルの名が刻まれるであろう!】


 自信満々に鼻息荒く言うハーゲル。彼の目にはティラナ軍事基地を制圧して高々と勝利を宣言する姿しか見えていない。

 しかし、ハーゲルにとって……いや、コンフロンティア軍にとって最大の悪夢が降臨して来るとは思いもしなかった。


 そう、代行者(シュウ・キサラギ)と言う存在が彼等の眼前に現れたのだ。






 コンフロンティア軍の進軍の報告を聞いた時、俺とネロはZXGT-01ウシュムガルのコクピット内で完熟訓練を一通り終えた所だった。


「順調だったな。流石の巨体だが思った以上に動いてくれていた」

「各部に反重力装置が搭載されている恩恵でしょう。機体の保持を目的としていますが脚部に掛かる負荷を軽減しています」


 パイロットスーツを半脱ぎにしながら、端末からウシュムガルの機体データを確認する。

 因みにウシュムガルのパイロットスーツは専用の物が用意されている。特にヘルメットが妙に大きく少し重いのと、背中にバイタルを確認する為の装置が付いているのが特徴だ。

 最初に目が行くのがウシュムガルの巨体だろう。頭頂高は50m以上なので、通常のAWに乗った状態でも目の前に現れたらに文字通り見上げる高さだ。更に頭部も非常に独特だ。兜の様な見た目と蛇に近い顔付き。四本の大きなアンテナが良く目立つ。そして四つ目のセンサーアイの形は蛇の眼に近い。その為、頭部に関しては蛇の様な印象を敵に与えるだろう。

 武装も豊富で対空近接防御用頭部60ミリバルカン砲が4門。対空とあるが勿論地上相手にも使える。唯、地上の目標に撃つ前に他の武装で片付けてしまうだろう。

 両腕有線飛行型ビーム砲。ウシュムガルにとって最も取り回しが良い武装になる。両手から放たれる10の高出力ビームは大抵の兵器を破壊する事が可能。また両腕は飛行可能で有線により操作が可能だ。

 多少パイロットに負荷が掛かるが、ネロに補助して貰うので軽減する事が出来る。

 攻守拡散ビーム砲。両肩に搭載されている拡散ビーム砲。面制圧に持って来いだし、飛翔物体を迎撃出来る能力もある。特に中、近距離では無類の強さを誇るだろう。

 ホーミングレーザー。ウシュムガルの背部ユニット兵器の一つだ。他のバリエーションもあるがホーミングレーザーは非常に使い勝手が良い。

 多数の敵に対抗出来るのだ。またレーザー故に迎撃、回避する事が非常に困難であり、一度ロックオンすれば確実に敵機は撃破出来るだろう。

 HELブラスター。ウシュムガルの最大火力になる武装。その圧倒的火力は宇宙戦艦をエネルギーシールドを貫き破壊する事が出来る威力を持つ。

 この火力が直撃すればデルタセイバーとは言え只では済まない。

 多目的ミサイル搭載超大型シールド。左肩から腕に掛けて分厚い装甲で覆う巨大なシールド。更に巨大なだけで無く、対AWミサイル、対空ミサイル、対ビーム撹乱粒子など多数の種類を搭載。状況に応じて対応可能となっている。

 対物用30ミリガトリングガンを8基。股間部分に前後4基ずつ設置されており、主に足元に潜り込んだ敵機を迎撃する為の武装。しかし、対物用と謳っているが実際に運用すると対人用になるだろう。


 他にも色々と機能があるが一通りの武装はこんな感じだろうか。


「しかし、こうして見ると動く要塞だな」

「エネルギーシールドも展開可能ですので光化学兵器に関しては、ほぼ無力化が可能です。また装甲も特殊ですので実弾兵器に関しても堅牢です」

「ウシュムガル。この機体ならデルタセイバー相手でも充分対抗出来るかもな」


 ZXGT-01ウシュムガルは俺が今まで搭乗して来た機体とは真逆の存在だ。

 ZC-04サラガンは至って普通のAWだが、プラズマジェネレーターのリミッターを解除する事で疑似的に高機動が出来た。

 ZC-04Rバレットネイター、ZCM-08Rブラッドアークは言うまでも無く高機動型だ。あの機動力は下手な軽量機を凌駕する。

 バレットネイター、ブラッドアークは優秀なAWだ。機動力ではデルタセイバーに対して何とか食い付いて行ける程に。

 だが、火力と防御力が圧倒的に足りなさ過ぎた。

 対してウシュムガルは真逆の機体だ。機動力とは無縁の巨体。代わりに火力と防御力に極振りとなっている。


「正に浪漫を追求した一つの究極形態だな」


 巨大人型兵器は漢の浪漫。その浪漫を実現させたのがZXGT-01ウシュムガルだ。

 正確に言うなら象徴、威圧、戦意消失を目的しているから大きいのだろう。俺だってウシュムガルと敵対したら絶望感が溢れるだろうし。

 某ロボットアニメだと雑魚相手には無双するけど、主人公相手だと途端に弱くなる巨大人型兵器。しかし、今回はこのスーパーエース様が搭乗するウシュムガルだ。


 アニメの様にハッピーエンドには行かせねぇぞ。


(それに、ウシュムガルに乗ってる以上簡単には引き下がれないだろうし)


 端末を見ながら【特産ニュージェネス・ドラグネス果汁100%】を飲む。特産と言うだけ溢れる果汁感が半端ないな。

 暫く休憩していると緊急通信が入る。どうやら俺の出番が来たらしい。


『キサラギ少尉、コンフロンティア軍がティラナ軍事基地に向けて進軍を開始しました。またシュナイダー総統からの指示により、ウシュムガルを使用して敵戦力を撃滅せよ。との事です』

「了解しました。所で、デルタセイバーも居るのですかな?」

『いえ、敵勢力にデルタセイバーの姿は確認出来ていません』

「分かりました。全力を尽くしますとお伝え下さい」


 俺は快くその命令を受託。再びパイロットスーツを着てからコクピットに向かう。そしてパイロットシートに座りシステムを起動させる。


「メインシステム起動を確認。ネロは各部のシステムチェックをしろ」

「了解しました。武装システムオンライン。各部システムオールグリーン」


 ネロがシステム起動の確認をしている間にコクピットハッチが閉まり、モニターの明かりによりコクピット内が鮮明になる。


「ウシュムガルの制御システム、アクティブ。起動シーケンス全て完了しました」

「さてと、情報通りなら敵勢力は想定より少ない。肩慣らしには丁度良さそうだがな」


 そしてウシュムガルの上の隔壁が順次開いて行く。そしてウシュムガルを乗せたカタパルトが、ゆっくりと上昇して行く。ウシュムガルが通る場所は仄かな光が機体を照らし続ける。

 そう、ZXGT-01ウシュムガルは首都トメラスの地下格納庫に保管されていたのだ。何せこの巨体だ。ウシュムガルを隠蔽するだけでも場所は限られている。

 そもそも、ウシュムガルは首都トメラス絶対防衛戦力の切り札だ。その絶対的な切り札を運用する事自体が異常事態と言っても良いだろう。

 絶大な火力とその巨体は運用できる場所が限られている。だからこそ首都トメラス防衛戦力としての役割が与えられたのだ。

 しかし、今はGXT-001デルタセイバーと言う二世代くらい先のチートAWが敵として存在している。そんなAWを満足に相手出来る機体は非常に限定される。


「だからこその、ウシュムガルってな」


 地上に出るとウシュムガルの巨体が良く目立つ。そして、コクピットの位置が地上に出た所で止まる。すると目の前の滑走路が左右に開きウシュムガル専用のカタパルトが出て来る。


「ヒュ〜、壮観な光景だね。正にウシュムガルの為だけの花道ってか?ハハ、たまんねぇな」


 そしてウシュムガルは自動で専用のカタパルトに移動。同時にVt-85ハスキー二機がウシュムガルの左右で止まる。


『これよりウシュムガルを現地まで運搬します。爆撃機ハスキーとの接続を開始』


 どうやらウシュムガル専用運搬型のハスキーが現地まで輸送するらしい。

 そして接続を確認した後、ゆっくりと前進して行く。


「機体の安定を確認。反重力システム正常稼働中」


 そのままゆっくりと地上を離れるVt-85ハスキーとZXGT-01ウシュムガル。

 目指すはティラナ軍事基地に迫るコンフロンティア軍。


「待ってろよ。コンフロンティア共。本当の暴力ってやつを見せてやる」


 俺は舌舐めずりをして状況を確認しながら、暫くの空のフライトに身を委ねるのだった。

【特産ニュージェネス・ドラグネス果汁100%】

口に含んだ瞬間に果物を食べてる様な錯覚に陥った。今まで飲んで来たゲテ物ドリンクの中では大当たり。

スーパーエースから星十を進呈してやるよ。感謝しとけよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ああ、ああ、ありがとう、ございます!!
[一言] 待ってた!!!!やっぱりいつ読んでもめちゃ楽しいわ!!!また書いてくれてありがとう!!!!!!
[一言] 急に更新来ててびっくりして寿命1秒縮まったわ
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