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最低で最高な再会

 コンフロンティアは順調に前進を続けていた。大半は中古の旧式兵器しか無いが、中には軍からの横流し品や東郷組の様なしっかりとした組織との共闘。更にヤン・ハオティエンに対する投資目的の企業など。

 様々な思想、利権、理念、目的が渦巻いており、その姿はさながら魔女の竈だ。


「では、暫くはヤン氏の我儘に付き合う訳ですか」

『すまないな、クリスティーナ少佐。私もまさか上からこんな無茶な命令が来るとは思ってはいなかった』


 デルタセイバーのコクピット内でクリスティーナ少佐はセシリア准将と通信を繋げていた。強行手段でヤン・ハオティエンを確保しようと提案したのだが却下され、挙句の果てには暫く手を貸してやれと言われる始末だ。


「分かりました。上からの命令なら仕方ありません。しかし、理由は聞かせて貰えますよね。でなければ部下達に説明が出来ません」

『表向きはヤン氏が様々な政権の汚職や利権を持っているからだ。ヤン氏をこちら側に引き込めれば惑星カルヴァータに無闇に敵対する勢力は劇的に減るだろう』

「それで本命は何です?」

『…………』


 クリスティーナ少佐の問いに口を閉ざすセシリア准将。

 だから言う事にした。シズリより教えられた事。もし、本当だとしたら何故こんな場所に居るのか理由を知りたいと。


「カルヴァータ王家の身内ですね」

『ッ……誰から聞いた?答えろ、クリスティーナ少佐』

「親切な女性からです。しかし、否定しないと言う事はそうなんですね」

『ハァ……言う気は無いか。全く、あの素直なクリスは何処へ行ったのか』


 妹の成長に少しだけ遠い目をしたセシリア准将。しかし、直ぐに頭を切り替えて話を戻す。


『まぁ、肯定は出来無いが否定をするつもりは無い』

「ですが、それだと妙です。私達は護り手です。護石の反応は有りませんでした」

『恐らく隠してるか捨ててるかのどちらかだ。それに、ヤン氏は自力で大抵の場所なら行けるらしい』


 護り手とはカルヴァータ王家を守護する存在。以前、第三皇女リリアーナ・カルヴァータの捜索にも一役買った事もあるのだ。

 その時にキサラギ少尉は非常に有難い世界樹からの護石を石っころと言っていたのが懐かしい。


「ギフトですか」

『いや、魔術だ。それも、かなり高度な物らしいが。詳細は不明だが忠告は受けている。()姿()()()()()()()、とな』

「容姿ですか」

『私も詳細を知らされていない。すまない』


 セシリア准将は本当に申し訳無いと思っているのだろう。

 何せ満足な情報も無く現状維持の命令が来たのだ。世論からの風当たりも惑星ニュージェネスに長く滞在すればする程強くなる。

 更にコンフロンティアと言われているが、実態はゴーストの集まりに過ぎない。そもそもゴーストと手を組む事自体が間違っている事なのだから。


「了解しました。部下達には私から上手く説明しておきます」

『頼む。出来る限りは地上への支援は行うつもりだ』

「そちらの戦況は?」

『数的劣勢は問題無い。だが、相手には傭兵企業シルバーセレブラムが居る。手を抜ける相手では無い事は間違い無いだろう』


 そして互いの状況の情報共有を行い通信を切る。


「全く、何で私達がこんな連中と」


 ヤン氏の無茶なお願いと言う名の命令。世界を救う為の戦いだと本人は言うが、実際の所は誰にも分からない。

 そもそも最悪な状況を想定した場合の規模が大き過ぎるのだ。良く言えば慎重、悪く言えば大袈裟。そんな曖昧な事に手を貸す事自体が馬鹿げている。


「絶対に利用されてるだけよ」


 口に出して文句を言っても状況は改善される事は無い。

 そもそも決まった事にいつ迄も文句を言ってても始まらない。


「はぁ、こうなったら仕方無いものね。デルタセイバーの新装備の相手になって貰うんだから」


 現在のデルタセイバーは高機動、近接戦仕様の装備が装着されている。

 各部にスラスターを追加し、両腰には追加大型のブースターを装着。右肩にビームガトリングガン、左肩にショットカノンを搭載。更に両肩側面にはジャミング装置を搭載している。

 そしてメイン武装として対艦ビームソードを装備。対艦ビームソードは実体剣とビームの複合近接武器だ。デルタセイバーの高いジェネレーター出力なら簡単に扱える代物。また対艦バスターソードより軽い為、扱い易さでは上だ。

 更に左手には二連装ビームライフルを装備しており、中距離戦闘も充分こなせる戦闘力を持っていた。また腰には予備としてビームライフルを懸架している。


「ファング1より各部隊へ。そのまま話を聞いて頂戴。皆も恐らくこの戦いに不満を持っているでしょう。それは理解出来る」


 クリスティーナ少佐はエルフェンフィールド軍に対し通信を繋げる。余計な横槍は必要無いからだ。


「けど、私達は軍人よ。上からの命令があれば従う。例え世論から批判を受け様とも」


 自分自身、納得は出来ていない。それでも上からの命令なのは間違い無い。

 誰も無闇に反感を買う訳が無い。買ってでもやる必要があるだけなのだ。


「詳細は言えない。それでもヤン氏と共に行動する事は私達の故郷にとって大事な事。それだけは忘れないで欲しい」


 だから伝えるのだ。この戦いは故郷を守る為なのだと。でなければ自分達が出張って来た理由が無くなってしまう。


『そうだね。きっと上層部も考えがあっての事なんだろう。なら、僕達が出来る事は早く戦いを終わらせる事だけさ』

「そうね。ならば、余計な血を流さない為に私達が早期に終わらせる。コンフロンティアと共闘していたら進軍速度が遅くなるのは目に見えているわ」


 そしてモニターから戦況マップを開いて部隊に伝える。


『間も無く目標地点に近付きます。皆さん、ジャミングには充分に注意して下さい』

「敵は都市を使った防衛網を構築している。恐らく、私達の迎撃準備はほぼ完了していると見て良いわ」


 ニュージェネス自治軍の防衛網は都市を使った物だ。

 都市一つの機能を止める事はニュージェネス政権にとって、経済的に非常に痛手になる筈。にも関わらず都市を使う事を選んだのだ。恐らく此処で決着をつけるつもりだ。


「また海上にも敵ミラノ第二艦隊も確認出来る。私達はコンフロンティアがニュージェネス自治軍と正面で戦闘を開始したのと同時に側面に回り込み、そのまま一気に市街地戦に入る。AW部隊を先陣にMW部隊は援護。航空隊は地上の支援を優先」

『ミラノ第二艦隊に関してどうするんです?』

「それは反社会勢力が相手するらしいわ。敵の敵は味方って奴らしいわね」


 今の状況は反社会勢力にとって千載一遇のチャンスだ。コンフロンティアの攻勢を利用しない訳が無いだろう。


「それから、余裕があれば都市には被害は出さない様にして欲しいの。あの都市には一時的に避難した人達が戻る場所でもあるんだから」

『やれやれ、やっぱりクリスは優しいな。そんな所がとても素敵で魅力的なんだけどね』


 フサァと前髪をかき上げながらクリスティーナ少佐をベタ褒めするアーヴィント大尉。

 そんな姿を見て少し呆れながら注意する。


「茶化さないの。それから私の事は少佐って言いなさい。分かった?アーヴィント大尉」

『分かっているさ。さて、そろそろじゃないか?多分ミサイル攻撃が来る筈だよ』


 アーヴィント大尉の言う通り、既に今居る場所はミサイルの射程圏内。恐らくミラノ第二艦隊と都市防衛部隊からミサイルの波状攻撃が来るだろう。


(後はキサラギ少尉だけ……か。多分居ると思うけど)


 キサラギ少尉の腕前が良いのは認めている。しかし、機体がヘルキャットやサラガンなら敵にはならない。

 仮にバレットネイターに搭乗していたなら、少しは警戒していただろう。それでも、デルタセイバーに傷を付けれるか疑問が残るが。


(ううん。多分、デルタセイバーに喰い付いてくる。そしてプラズマサーベルかパイルバンカーで攻撃して来る)


 現状、デルタセイバーから発生するエネルギーシールドを正面から貫くのは難しい。不意を突く状態なら140ミリ対艦ライフルか高出力のビームかプラズマで抜ける可能性はある。

 だが、仮に抜けたとしても破壊する事は難しいだろう。デルタセイバーは装甲も特注の特殊な代物だ。簡単に敵に鹵獲させない為に非常に頑丈で継戦能力が高いのだ。

 デルタセイバーを破壊する所か傷一つ付ける事だって難しい。それでも、彼ならバレットネイターと共に敵として立ち塞がっていただろう。


「尤も、バレットネイターは無くなっちゃったみたいだけど」


 何を思ったのか今更ヘルキャットに搭乗している。そんな機体に乗るくらいなら、もう一度私達にバレットネイターを作って貰えば良いのに。


「勿論、対価は貰うけど。まぁ、多少は安くなりそうよねぇ。良くも悪くも技術班と整備班の趣味で出来た機体だったから」


 ある意味キサラギ少尉は私達エルフェンフィールド軍の被害者なのかも知れない。技術班と整備班が自分達の腕によりを掛けて作った機体なのだから。

 そこに彼の意思は殆ど反映されて無いだろう。反映されているのは戦闘データくらいか?


「さて、そろそろよね。ファング1より各機、ジャミングが強くなったのと同時に私達は一度離脱。そのまま戦闘が始まるまで待機よ」

『ファング隊、了解』

『アモン隊、了解です』

『アサルト1、了解。さて、僕とガイヤセイバーの実力を見せて上げようか』


 そしてAW部隊を先陣にMW部隊が追従。航空隊はそのまま空中で待機する事になる。

 予定地点まで後少しと言う時だった。突然コクピット内に警告アラームが鳴り響く。咄嗟にエネルギーシールドを展開するのと同時に高出力のビームが直撃。下降しながら回避機動を取るとプラズマによる弾幕が襲い掛かる。


「敵襲⁉︎一体誰が!」


 予想外の不意打ち攻撃。更に味方AW部隊にもミサイルや砲弾が襲い掛かる。


『アモン1より各機!迎撃だ!この程度の攻撃で墜ちるなよ!』

『こちらファング4。敵は遠距離からの砲撃を行なっている模様。接近する事を提案します』


 味方が混乱している中、一機のAWが高速でデルタセイバーに接近する。

 回避機動を取っているが徐々に当てられている。それでも対艦ビームソードを構えモニターを見ながらレーダーを確認。するとUNKNOWNの文字。つまり未確認機が襲い掛かっていた。

 モニターに映る機影。それは紅をベースに黒色を使った色合い。大型のプラズママシンガンを撃ちながら、瞬く間に距離を詰めて来る機体。


 そして対艦ビームソードとプラズマサーベルがぶつかり激しい鍔迫り合いが起こる。


「その機体……まさか、そんな」


 通信を繋げようとすると相手からオープン通信が割り込んで来た。

 そして、相手の声を聞いて確信した。


【ハハハハ!こんな辺境くんだりまで、ご苦労様な事ですな!クリスティーナ・ブラッドフィールド少佐殿!】

「キサラギ……少尉。その機体は一体」

【良い機体でしょう?デルタセイバーには負けますが、中身は圧倒してますからねぇ。余裕ブッこいてると……機体もろともヤッちまうけどなぁ‼︎】


 そのまま押し切られ、吹き飛ばされてしまう。そしてキサラギ少尉の機体はビームキャノン砲と35ミリガトリングガンを撃ち込んで来る。


【さて、歓迎しますよ。エルフェンフィールド軍の皆様方。この機体、ブラッドアークの性能実験の相手にしてやるからよお‼︎】


 装甲の隙間から見える単眼センサーが強く光るのと同時に再びプラズママシンガンの銃口が向けられるのだった。






 最初は市街地内での防衛戦を行う予定だった。だが、既に市街地内の戦力はほぼ整っていた。

 その為、俺達スマイルドッグは独自行動を取る事にした。正確に言うなら敵の側面から嫌がらせと裏取りしようとする敵を駆逐してやろうと思っていた訳なんだが。


「へへへ、この場所なら漁夫の利しようとする連中が居るとは予想していたが。まさかな、こんな大物が釣れるとは。エルフェンフィールド軍も中々上手くゴーストを使ってるみたいじゃないか」


 俺がクリスティーナ少佐に話し掛けている間にも戦闘が始まる。

 正面から戦えば確実にこちら側が全滅するだろう。だからこそ、ミラノ第二艦隊の戦力を呼ぶ事にした。


「オペ子!ミラノ第二艦隊に座標を送ってやれ!連中、喜んでAW部隊を派遣して来るぜ!」

『了解しました。直ちに座標を送ります。それからナナイです』

「後は腕の見せ所ってやつよっと!邪魔すんなよ雑魚が!」


 横槍して来たスピアセイバーの攻撃を回避しながら至近距離でビームキャノン砲を撃ち込む。スピアセイバーはメインカメラと左腕を吹き飛ばし、背中から地面に倒れ込む。


「さてと、少佐の相手は俺がやらせて貰うぜ。楽しませてくれよな」

【待って。私達が戦う理由が無いわ。だって、私達】

「あるに決まってんだろうが!」


 腑抜けた事を口走るクリスティーナ少佐に向けて試作プラズママシンガンを撃ちながら追撃する。無論、デルタセイバーは回避しているが反撃する様子が無い。

 このままイージーな状態で戦えるなら楽な物なんだが、それだと詰まらないのも事実だ。何より折角のブラッドアークの初お披露目が白けてしまう。


「俺は傭兵だぜ?依頼とギャラ次第でその陣営に付くってもんよ」

【でも、私達は一緒に戦った仲じゃない。戦友なのよ?なのに……殺し合うなんて】


 クリスティーナ少佐の言葉に俺は心底笑いが出て来てしまう。どうやら箱入りお嬢様(クリスティーナ少佐)には少々刺激が強い展開らしい。


 全く、これだから生まれが恵まれた奴は。


「俺がいつエルフェンフィールド軍の味方だと言ったんだよ。笑わせんな!」


 だから躊躇無く追撃し続ける。デルタセイバーが避ける場所をギフトで先読みしてビームキャノン砲で撃つ。

 例えビームやプラズマ攻撃を無力化出来たとしても、いつまで出来るか見物だな。


「はは〜ん。つまり、アレか!悲劇的な再会って奴か?まぁ、そんな出会いになった自身の運命の無さを恨むんだな!」

【違う!でも、私達】

「泣き言なんざ聞きたか無いね!さっさと戦いな!」


 しかし、試作プラズママシンガンを撃ち過ぎたのか警告の文字が表示される。なので緊急冷却を行う事にした。

 銃身と機関部が開くと冷却する音が響き、白い靄が周りを覆う。そして5秒もしない内に再び使用可能になる。


「ふぅん。5秒だと長いな。半分まで短縮させるのは必須だな」

「射撃速度を低下させますか?」

「いや、必要無い。折角の発射レートだ。この長所を殺したく無い。何より、このギミックは見る価値が有るからな」

「でしたら緊急冷却が必要になる5秒前に警告を出します。宜しいでしょうか?」

「採用だ。頼むぜネロ」

「了解しました」


 デルタセイバーとの睨み合い。そんな状況でもスマイルドッグの傭兵達はエルフェンフィールド軍相手に善戦していた。


『キャット1、撃っちまーッス!』

『ヴィラン2よりクロウ隊、ロト隊。敵スピアセイバーを優先して攻撃よ。サラガンとギガントだと相手として分が悪い』


 キャット1の機体、アーミュバンカーの両肩装備の大口径ガトリングガンと両手に持つ二連装45ミリヘビーマシンガンから繰り出される圧倒的弾幕。

 ヴィラン2を中心としたヘルキャットの編隊による遊撃と撹乱攻撃。

 そしてサラガン部隊を前衛としギガント部隊が後方支援を行う。

 大方、順調に進んでいたのだが此処でケチが付いてしまう。


『スマイルドッグ各隊に通達。現在、ミラノ第二艦隊が攻撃を受けているとの事です。その為、援護が出来無いと』

「チッ、こんな時に役に立たないでいつ役に立つってんだ。ミラノ第二艦隊に伝えろ。5分以内に援護しろってな。出なければお前達は役立たずの烙印を永遠に背負う事になる」


 そしてデルタセイバーに向けて再び攻撃を仕掛ける。しかし、流石デルタセイバーだ。機動力、火力、防御力全てが完璧であり敵になれば非常に手強い。

 今のクリスティーナ少佐は俺と敵対している事に動揺している。だから互角以上に戦えているのだ。


(本来なら市街地戦の方が戦い甲斐があったんだが。こうなったら仕方ねぇ。最低でも撤退まで追い詰めてやるぜ)


 デルタセイバーに試作プラズママシンガンで攻撃を再開しようとする。しかし、デルタセイバーはそのまま上空へ向けて飛翔しながら距離を取り始める。


「何だよ……随分と情け無い戦い方するじゃねえか!ええ!おい!」


 ならば追撃だ。操縦レバーを前に突き出しブースターを一気に吹かす。だが、このブラッドアークはそんじょそこらのAWとは訳が違う。

 現行のAWを上回る性能。更に俺用に徹底的に改修された機体。たかが重力下での空中戦くらいどうと言う事では無い。


「空がお前だけのテリトリーだと思うな!」

【ッ!そんな!】


 そして勢い良く空を駆け上がるブラッドアーク。咄嗟に二連装ビームライフルで反撃する。しかし、ブラッドアークに搭載している肩サイドの大型ブースターによりあっさりと回避する。


「どうしたどうした!そんな情け無い攻撃で俺を止められると思ってんのか!」

【クッ、この!】


 今度は殺す気の射撃。しかし、そんな見え見えの攻撃なんざ当たる訳が無い。俺は35ミリガトリングガンで牽制しながら一気に間合いを詰める。


「逃げてんじゃねえよ。そんな戦い方だとデルタセイバーが泣くぜ!」


 再びプラズマサーベルを展開し突っ込む。しかし、此処は戦場。横から無粋な奴が現れる事もある。

 突如、正面からビームが襲って来る。俺は回避機動を取りながらビームキャノン砲と試作プラズママシンガンで反撃する。


【クリス!無事か!君が手こずる相手……成る程、エースという訳か】

「ハッ!デルタセイバーの量産型か!テメェにも借りがあったな。なら、返させて貰うぜ!」


 今度はオレンジ色をベースとしたデルタセイバー擬き。流石に高性能機を2対1で相手するのは厳しい。


「ヴィラン2、キャット1、少しばかりデルタセイバーの注意を引いてくれ。その間にオレンジ野郎に一撃喰らわせてやる」

『一つ貸しよ。ヴィラン1』

『了解ッス!弾幕展開!行きまーッス!』


 デルタセイバーとオレンジ野郎が分断。その瞬間、俺は一気に機体を加速させてオレンジ野郎に向けて突喊する。


【随分と野蛮な奴だ。だが、このガイヤセイバーの性能を持ってすれば!】


 ビームライフルで弾幕を形成しながらも接近して来るガイヤセイバー。ならば、こちらも接近戦をしなければ無粋と言う物だ。


「安心しな。今度はちゃんと仕留めてやるからな」


 35ミリガトリングガンを撃ちながらプラズマサーベルを展開。そして機体を加速させれば瞬く間にガイヤセイバーとの距離が縮まる。


【速い!だが、その速度で機体を操れる筈が!】

「だからぁ……視えてんだよ!」


 一瞬の交差。そして斬り飛ばされたのはガイヤセイバーのビームライフル。


【なっ⁉︎そんな!】

「判断が遅い!」


 反転してビームキャノン砲を撃つ。咄嗟にビームシールドを展開して防御するガイヤセイバー。だがビームキャノン砲の威力は高く、そのまま吹き飛ばされてしまう。

 体勢を崩して降下するガイヤセイバー。その隙に追撃しようとするがナナイ軍曹より通信が入る。


『CPよりヴィラン1へ。スマイルドッグ隊の損耗率が二割を超えてます。直ちに市街地の味方部隊と合流して体勢を整えて下さい』

「ミラノ第二艦隊はどうなってる?」

『現在、こちらに向けて戦闘機隊が急行中です』

「……仕方無い。勝負に勝っても大局で負けたら意味無いからな。聞いての通りだ。各隊スモークを散布後、市街地に向けて後退だ。エルフェンフィールド軍はミラノ第二艦隊の連中が足止めする」


 各隊がスモークを散布。それと同時にレーダーに戦闘機隊を探知する。

 俺は機体を降下させながら地面にゆっくりと着地。そのまま他の連中と共に市街地に向けて後退する。

 俺は最後に敵であるエルフェンフィールド(クリスティーナ少佐)軍に対し警告をする。


「以前は味方だったが今回は敵同士だ。次、俺の目の前に現れても容赦はしない。それだけは忘れるな」


 そして通信を切りモニターとレーダーを見ながら機体バイタルと戦況を確認。


「良い感じだ。このブラッドアークならデルタセイバーとも戦える」

「はい。マスターの腕も合わされば善戦出来ます。しかし、現在のデルタセイバーは不調なのでしょう。性能を出し切れていなかった様です」

「不調なのは機体じゃなくパイロットだ。全く、所詮は蝶よ花よと育てられた箱入り娘って訳さ」


 結局、俺達は敵同士。それ以上も無ければ、それ以下も無い。

 要は気持ちの切り替えが出来るか出来無いかだ。


「次は、こう上手くは行かないだろうな。流石に目が覚めただろうし」


 ならば次はニュージェネス自治軍共々で歓迎してやる。

 数ではこちらが圧倒しているんだ。負ける要素があるとしたらデルタセイバーが覚醒した時だ。


「たかが一機のAWが戦局を変えるか。全く、厄介極まり無い存在だぜ」


 愚痴の一つを溢しながら急ぎ市街地に向かうのだった。

そろそろストックが無くなる←今ココ

もうすぐゴールデンウィークに入る

コロナで外出自粛になる

イライラが募る

身体に闘争心が芽生え始める

アーマードコアの新作が出てもいいんじゃね?







後、こっそりと兵器一覧を更新しました(^^)

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― 新着の感想 ―
[一言] クリスさんが不憫…死なないと良いなぁ
[良い点] フロム成分( ´ỏ`)スー( ˙ロ˙ )ハー 折角の地上戦、サイレントラインみたいな軌道兵器がバンバン衛星軌道からタングステンなり重粒子砲なり打ち込んできてもいいと思うの\( 'ω')/…
[良い点] 闘争心が灯り続けてる…プレステ起動させてACを初期からやり始める(新作は何処 イツカ少佐(後衛は効き目は良いのだがすぐ弾がなくなる…その分休める…)
感想一覧
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