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デルタセイバーVSヘルキャット

 デルタセイバーと接敵する少し前に時間を遡る。

 東郷艦隊がコンフロンティア艦隊と合流してからもニュージェネス艦隊と睨み合いが続いていた。

 しかし、ニュージェネス艦隊側に焦りは全く無かった。少しはまともな戦力がコンフロンティア艦隊に合流したとしても、圧倒的優勢なのは変わりないのだ。


「だが、それでも此方が圧倒的か。全く、ゴースト風情に与する連中が居るとは。この戦いが終えた後に周辺宙域の一斉掃討が必要かも知れんな」


 防衛基地宇宙ステーションで状況を確認するのはトーマス・エドワード中将。この軍事宇宙ステーションの基地司令官を務めている。

 彼はヨハネス・シュナイダー総統の強い支持者だ。それ故にシュナイダー総統の出す政策には大いに賛成しており、恩知らずにも反旗を翻したヤン・ハオティエンを酷く軽蔑していた。


「全てはシュナイダー総統閣下の意のままにだ。その邪魔をする者は全て排除されなければな」


 エドワード中将もまた愛国心ある軍人だ。その為ゴースト更生労働法に関しても、今後の惑星ニュージェネスの発展に繋がると信じている。

 だからこそ、早期に目の前に居座る反乱軍(コンフロンティア)を排除したいと考えていた。


「このまま野放しにするのは我々の存在意義に疑問が問われてしまうな。全艦隊へ通達。これより目の前の反乱軍艦隊に対し三分間の砲撃戦を仕掛けろ。連中をこれ以上調子に乗らせる訳には行かん」


 そして艦隊に対し命令が下される。三分間とは言え相手は民間船を違法改造した艦艇もある。そんな脆い艦艇に軍艦の砲撃が当たれば、只では済まないだろう。


「全艦隊へ通達。艦隊戦用意」

「第二、第三艦隊は所定の位置に移動して下さい」

「第一艦隊、コンフロンティア艦隊に向けて前進開始」


 各艦隊が所定の位置に移動する。だが、レーダーにコンフロンティア艦隊の後方に多数のワープ反応が現れる。


「コンフロンティア艦隊の後方にワープ反応多数!」

「何?全艦隊へ攻撃を中止し、一時待機させよ」


 ワープ反応は次々と増加する。その数は既に一個艦隊分を超えていた。


「ワープ反応、更に増大!抜けて来ます!」


 モニターに映し出された艦影。多数の軍艦が姿を表す。

 戦艦を筆頭に巡洋艦、駆逐艦、フリゲート艦が次々とワープから抜けて現れる。何より艦隊に付いているエンブレムマークを見た瞬間、自分の目を疑ってしまう程の衝撃を受けてしまう。


「馬鹿な。エルフェンフィールド軍……だと?一体、何故奴等が現れたのだ」


 流石のエドワード中将も予想外過ぎたのか思考が止まってしまう。その間にも次々とワープから艦艇が抜けて来ていた。


「情報部からの情報は?今直ぐに集めさせろ!大至急だ!」

「エルフェンフィールド軍が速度を落とし、反乱軍艦隊の近くで集まっています」

「まさか、ゴーストを手助けするのか?有り得ない。そんな事をすれば」


 だが、まだ敵と決まった訳では無い。そう信じてエルフェンフィールド艦隊と通信を繋げる様に指示を出す。

 しかし、その前に向こうから通信が来た。


「司令、エルフェンフィールド艦隊の旗艦アルビレオから通信が来ています」

「……繋げろ」


 モニターに現れたのは白い軍服に身に纏い、軍帽をしっかりと被った女性エルフが現れた。

 蒼い髪に美しい容姿が目に行くが、それ以上に鋭い視線が此方を睨んでる様に見える。


【此方、エルフェンフィールド軍、外宇宙派遣艦隊、第一艦隊所属のセシリア・ブラッドフィールド准将です】


 力強い言葉。そして確固たる意思を持つ軍人。そんな彼女を見て説得は困難になると予想したエドワード中将。


「此方ニュージェネス軍、惑星防衛軌道艦隊所属のトーマス・エドワード中将だ。貴官達は我々、惑星ニュージェネスの宙域に無断で侵入している。即刻退去せよ」


 こうなれば法を盾にするしか無い。そもそも相手はエルフ達だ。基本的に相手を見下すか排他的な行動をする事で有名な種族。そんな相手には正攻法で舞台から降りて貰うのが一番なのだ。

 だが、セシリア准将からの返答は正反対の物だった。


【申し訳無いがそれは受け入れられない内容だ。我々はある人物の要請により保護しに来たのだ】

「要請?その人物が何者であれ、政府を通した物では無い筈。その様な非公式の要請を認める訳には行かない」

【だろうな。だが、その人物は遺憾ながら我々エルフェンフィールド軍にとって重要人物なのだ】


 重要人物が何者であれ、この様な蛮行を許す訳には行かない。

 もし認めてしまえば、惑星を守護する自治軍としての役割を放棄するのと同義なのだ。

 この時セシリア准将の苦虫を噛み潰したような表情を若干したのだが、帽子のツバの部分で若干隠れてしまう。


「して、その重要人物とは何者ですかな?」

【ヤン・ハオティエン氏だ。今、貴様らと敵対している人物になる】


 まさに宣戦布告とも取れる台詞。そして、セシリア准将の言葉は更に続く。


【我々の要求はヤン・ハオティエン氏の身柄を此方に渡して貰う。それだけだ】

「……その様な事を我々が受け入れろと?」

【そうした方が身の為だ。まさか、我々と一戦交えるとは言うまい?】


 完全な上から目線。セシリア准将の凍り付く様な鋭い視線と整った容姿が合わさり、背筋がゾクゾクする将兵が多数発生する。

 エドワード中将は握り拳を強く握る。そしてセシリア准将を睨みながら宣言する。


「その様な非常識な内容を認める訳には行かない。非常識な武力介入に加え、内政干渉にまで行うとは。やはり貴様らエルフは傲慢の塊だな」

【ならば、貴様ら人類は欲望の塊だ】

「その欲望の塊に手を出した報いを受けて貰う事になるぞ」


 互いに無言で睨み合う。何方も互いに信念を持つ者同士。最早、言葉でのやり取りは不要と言わんばかりだ。

 今にも攻撃命令が出ても可笑しくは無い状況。だが、それに待ったを掛ける者が現れる。


「司令、総統府より通信です」

「何?まさか、閣下が。今直ぐに繋げろ」


 そしてモニターに映し出されたのは惑星ニュージェネスを統治するヨハネス・シュナイダー総統だ。


「シュナイダー総統に敬礼!」


 エドワード中将の号令の元、指揮所に居るオペレーター達はシュナイダー総統に向けて敬礼をする。


『諸君、ご苦労であった。此処から先は私が直接話をしよう』

「ハッ!了解致しました。おい、直ちに通信をエルフェンフィールド軍と繋げろ」

「了解しました。繋げます」


 そしてシュナイダー総統とセシリア准将による対話が始まる。


『自己紹介は……不要だな。セシリア・ブラッドフィールド准将。貴官の活躍は耳にした事がある。旧ダムラカの一件やマザーシップ戦などでな』

【光栄ですね。ヨハネス・シュナイダー総統。この様な場で無ければ素直に嬉しい言葉ですが】

『その通りだ。現在はこの様な状況だ。君達の要求はヤン・ハオティエンの身柄の引き渡しだな』

【その通りです。ヤン・ハオティエンの身柄を引き渡して頂ければ直ぐにでも撤収します】


 セシリア准将の言葉をそのまま受け取ると、コンフロンティアとは共同戦線を張るつもりは殆ど無い。目的さえ果たせば直ぐに撤収するとも言っている。

 しかし、シュナイダー総統は非常に残念そうな表情をしながら言う。


『残念だがヤン・ハオティエンは現在国際テロリストとして指名手配されている。そんなテロリストを君達エルフェンフィールド軍に引き渡すとしよう』

【…………】


 セシリア准将の目力が鋭い物になるが、シュナイダー総統は一切気にしてない様子だ。


『この惑星で起きたテロの共犯だと宣言している様な物になる。そうなれば……君達エルフの立場は肩身が狭い事になる。唯でさえダムラカの一件で何十億人もの犠牲を出したと言うのに、まだ血が足りんと言うのかね?』

【…………】


 エルフに対する風当たりは表向きは良い。何故ならエルフェンフィールド軍の高い技術と軍事力は三大国家相手にも手痛いダメージを与えられるからだ。下手に非難すれば良くて数倍になって返って来る。

 しかし、裏ではエルフに対する差別は強い物となっている。元々容姿が良く、長寿に加え、他とは価値観の違いが大きい。更にエルフ達も排他的な思考になりがちで、直ぐに身内や同じ種族で固まってしまう。

 その為、エルフ達に対する差別や言葉の暴力は見えない所では横行しているのが実情だ。


『さて、これ以上エルフ全体の心象を悪くしない方が身の為だと思うのだがな。如何だろうか?セシリア准将』

【…………】

『選びたまえ。今回の件を揉み消すか。更なる差別と犠牲を受け入れるか』


 最終通告と言わんばかりに言い放つ。だが、セシリア准将の表情に変わりは無かった。


【ほう、あのテロはてっきり自作自演だと思っていた】

『ッ……』


 僅かに眉が動くシュナイダー総統。だが、それを無視してセシリア准将は言葉を続ける。


【証拠隠滅は確実にやらねばな。でなければ足元を掬われる】

『どうやらセシリア准将はお疲れの様だ。まさか、その様な妄言を信じた訳ではあるまい?』

【ならば本国に聞くと良い】

『……この代償は高く付くぞ』


 最終勧告を通告するシュナイダー総統。だが、そんな彼に対して見下しながら鼻で笑い返答する。


【選べ。ヤン・ハオティエン氏を引き渡すか。それとも自滅の道を歩むか】

『…………君達の要求は到底受け入れられない事だ』


 答えは拒否。そしてシュナイダー総統は言葉を続けた。


『妄言を信じた挙句、戦火を広げるか。流石はダムラカ一帯を無にした実績を持つエルフ様はやる事が傲慢だ。エドワード中将、直ちに目の前の賊を撃ち払いたまえ』

「了解しました。直ちにスクランブルを出せ。基地の全ての艦載機は出撃せよ」


 エドワード中将の命令により軍事宇宙ステーション内は慌しくなる。


【これ以上の言葉は無用か。残念だよエドワード中将】

「えぇ、私も残念に思います。しかし惑星の為、故郷の為に戦う事は間違っているでしょうか?私は貴女達がどれだけの詭弁を言おうとも、武力介入をしているのは事実」

【そうだな。では、失礼する】


 綺麗な敬礼と共に通信が切れる。エドワード中将は静かに目を閉じてから息を吐く。

 そして目を見開き、しっかりとした表情になり指揮に戻る。

 例え、あの悲惨なテロリストの行為が自作自演だとしても我々は軍人なのだ。この惑星を護るのは我々しか居ないのだ。

 ならば今は目の前の敵に集中すべきなのだから。


 この後、エルフェンフィールド艦隊はコンフロンティア艦隊と合流。戦力比は一対三と大きく差を詰めたものの、依然としてニュージェネス艦隊が優勢となっていた。

 そして、この交渉の間に二機のAWが大気圏に突入していた事にニュージェネス艦隊は気付いていなかった。




 GXT-001Dデルタセイバー。マザーシップ戦にて多くのオーレムを撃破した機体。然も、砲撃戦に特化しており大出力ビーム、プラズマの弾幕を形成する事が可能。

 AWと言う小さなスケールで有りながら、戦艦クラスの弾幕を展開する事が出来る時点で、如何にデルタセイバーが規格外な機体である事が分かるだろう。


 つまり、敵となれば非常に厄介な存在になる訳だ。


「ヴィラン1より各機!腕に覚えのある奴だけ着いて来い!」


 俺はそれだけ言って機体のリミッターを解除して、デルタセイバーの動きに集中する。既に味方爆撃機の半数が爆散するか、黒煙を上げながら地面に向かって墜ちて行く。

 だが、まだ半数は残っている。これ以上の被害を出す訳には行かない。


「ミサイルロック……クソ、回避機動が速い。ネロ、ロックオン速度を補助してくれ。代わりにジャミングは無しで良い」

「了解しました」


 この間にも更に二機の爆撃機に高出力のビームとプラズマが突き刺さり、エンジンから凄まじい火災と黒煙が出ていた。


『此方グリフィン12!エンジンに多数被弾!駄目だ、脱出する!』

『制御不能!制御不能!墜ちる⁉︎』

『クソッタレ!何故敵を墜とせない!弾幕を張り続けるんだ!』

『やってる!だが敵の動きが速過ぎてグギャ⁉︎』


 爆撃機ハスキーの自衛力は高い。多数の対空砲にVLSを装備している。にも関わらずデルタセイバーは一方的に爆撃機を墜として行く。


『ヴィラン2よりヴィラン1!何か作戦でもあるの!』

「ある訳無いだろ。兎に角、奴をこっちに引き付けるんだ。それしか俺達には出来そうに無いからな」

『……それもそうね。爆撃機隊も限界みたいだし』

「俺が先陣を切る。カバーを頼む」

『了解!やってやるわよ!』


 何とか距離を詰める事が出来た。だが、デルタセイバーは此方の事を完全無視しながら爆撃機に向けて攻撃を続ける。


「連れないなぁ。折角、こんな上空まで来てやったんだ。俺の相手をしろよ!ええ!デルタセイバー!」


 ミサイルロックが完了したのと同時にミサイルを発射。そのまま45ミリサブマシンガンの射程に入るまで突撃する。

 ミサイルをあっさりと回避しながら再び爆撃機隊に向けて銃口を向ける。


『無視してんじゃ無いわよ!』


 そしてヴィラン2からのミサイル攻撃。流石に避け切れなかったのかエネルギーシールドで防ぐ。

 此方に視線を向けながら二挺のビームライフルの銃口を向けて来る。俺はギフトを使いながらデルタセイバーに向けて吶喊する。


【無駄な努力ね】


 そして二挺のビームライフルからビームが連射される。それをギリギリで回避しながら一度擦れ違う。


『もう一撃!』


 ヴィラン2から再びミサイルが放たれてデルタセイバーに着弾。ミサイルの爆発で視界が一瞬妨げられるデルタセイバー。


 だが、俺はその瞬間を待っていた。


 そのままデルタセイバーの横を通り過ぎてからUターン。そしてデルタセイバーに向けて一気に降下。45ミリサブマシンガンで爆煙の中に居るデルタセイバーに向けて撃ちながら接近する。

 そしてギフトを使い回避して来る方へ機体を加速させる。


「逝っちまいな!」

【ッ⁉︎クゥ!】


 加速を落とさず、人型可変しながら接近。爆煙から飛び出した瞬間を狙って、コクピット部分目掛けて蹴りを入れ込む。

 脚部に僅かにダメージレポートが出て来たのはご愛嬌だがな。

 流石にデルタセイバーも虚を突かれたからか、距離を取り一気に降下する。だが、デルタセイバーにとって一番の目標は俺達では無く爆撃機隊。そのまま降下しながら大出力ビームとプラズマを発射。

 更に四機の爆撃機が被弾。コクピット部分に直撃して制御不能になるか、爆弾を多数積んでる所に被弾して大爆散してしまう。


『此方グリフィン7!これ以上の作戦続行は困難!撤退する!急いで反転しろ!』


 既に爆撃機ハスキーの残存機は五機。後は味方の攻撃機による目標地点への攻撃しか手段が無い。

 だが、この場所は腐っても敵主力が根城にしている場所。多数の空中戦装備のAWが此方に迫ってるし、地上では対空車両や対空砲座が待ち構えている。


 勝敗は決したと言えるだろう。


「畜生、何なんだよ。お前らは……一体何がしたくて、この戦場に居るんだよ!」


 余りにも理不尽な展開に苛立ちが増すばかり。だが、その苛立ちに更に油を注ぐ奴が現れた。


「警告、上空より不明機接近」

「何ぃ?まだ来るってか!ヴィラン2!上から何か来るぞ!」


 そして不明機は問答無用で此方に対しビーム攻撃を仕掛けて来た。


「あの機体は?マジか……デルタセイバー?」


 色は違うのだが、デルタセイバーに非常に酷似している機体。細かい部分を見れば違うだろうが、間違い無くスピアセイバーとは違う。

 まさか、デルタセイバーの量産機か?


「データ照合中。データに無い機体の為、未確認機となります」

「次から次へと厄介な。簡単で勝てる筈の任務になる予定だったと言うのに!」


 しかし、このままでは間違い無く全滅するだろう。こうなったら生きて帰還する事を優先するしか無い。


『どうするの?あんな機体まで出て来て』

「俺達も撤退だ。だが、殿は誰かがやらんとな。ヴィラン1より各機、期待はしないが殿やりたい奴は居るか?」


 答えは沈黙。普段は偉そうにしている連中なのに、こう言う時にヘタれるから苛つくんだよな。


「ま、最初から戦力として期待して無かったから良いけど。これからは俺が通る道は掃除して綺麗にしとけよ。ヴィラン2、俺と貧乏クジだ。他は撤退しろ」

『はぁ、そう言うと思ってたわ。で、どっちを相手にする?』

「不明機を頼む。武装もデルタセイバーより大人しいからな。唯、隠しギミックがある可能性も充分考慮しろ」

『了解。帰ったら何か奢りなさい』

「じゃあ、尻尾をブラッシングしてやるよ。それなら俺もヴィラン2もWIN-WINだろ?」

『要らないわよ!馬鹿!』


 そして二手に別れて行動する。俺はデルタセイバーでチュリー少尉が未確認機。どちらも相手をするのには手こずるだろう。

 だが簡単にやられる程、俺達は甘く無いぞ。


「さて、俺と一曲ダンスを頼もうか!ええ!おい!」


 デルタセイバーは此方にを待っていたのか。それとも素直に撤退してくれると思っていたのか。

 クリスティーナ少佐なら多分、性格的に追撃はして来ないだろう。だが、もう一機の未確認機に関しては何とも言えない。

 そのままデルタセイバーに向けて一直線に向かう。無論、デルタセイバーも此方に向けて銃口を向ける。そして、銃口から光が溢れたのと同時に凄まじい威力の弾幕が襲い掛かる。


(頼むぜ俺のギフト!お前と俺の腕が合わされば一対一(タイマン)なら勝てる!)


 大出力ビームとプラズマを僅かに機体を動かしながら回避。いくつか機体に被弾ステータスが更新されるが問題無いレベル。


「大出血サービスだ!存分に味わってくれ!」


 そして距離が縮まったのと同時にミサイルを全弾発射。もう手段を選んでいられない。

 多数のミサイルがデルタセイバーに被弾。デルタセイバーは再び爆煙の中に消えて行く。


「次は下か?それとも右かな?まぁ、どっちにしろ俺のサンドバッグになってな!」


 再び人型に可変して45ミリサブマシンガンで爆煙の中に向けて撃ちまくる。

 相手がどれだけ高性能な機体に乗ろうとも、簡単に負けるつもりは無い。例え高性能な機体に乗ろうとも、相手が一流の腕前を持とうとも意味は無い。

 何故なら……。


「こちとら超一流のスーパーエース様だ!」


 そしてギフトで左から出て来るデルタセイバーを確認。そのまま45ミリサブマシンガンを左に向ける。

 だが、次の瞬間頭に痛みが走る。まさかと思っていると爆煙の中からデルタセイバーが突っ込んで来る。

 咄嗟に45ミリサブマシンガンを向けながらトリガーを引く。その間にデルタセイバーはビームライフルを放棄。そのままビームサーベルを振るう。


 一瞬の交差。


 空を舞うのは45ミリの弾丸。それと45ミリサブマシンガンを持つヘルキャットの右腕。俺は直ぐに飛行形態に可変して距離を取る。


「……腕を上げたか」


 クリスティーナ少佐は咄嗟の判断で考えを変えたのだろう。だが、その考えを直ぐに行動に移す事は難しい。

 勘や経験で変えたりする事はあるだろう。だが、恐らく本当に反射的に考えを変えたに違いない。


「右腕の損傷を確認。また各部にも損傷が蓄積し始めています。このままでは空中分解する可能性もあります」

「チッ、仕方ない。ヴィラン2先に撤退しろ」

『ヴィラン1はどうするの?』

「最後の悪足掻きをしてやるさ」


 俺は一気に降下して敵AW部隊に接近する。


【敵AWが一機突っ込んで来た!どうする!】

【どうするって言ったって。撃ち返して追い払うんだろ】

【いや、数ではこっちが圧倒している。墜とせば良い!】


 ミサイルを発射する敵AW部隊。そのミサイルをチャフを使いながら回避。そのまま人型に可変して短刀を装備。

 敵も慌てて45ミリアサルトライフルに切り替えるが、反応速度は素人同然。そのまま敵AWの頭部を切り飛ばし、45ミリアサルトライフルを蹴り飛ばしながら突き進む。

 流石のデルタセイバーも味方AWが居る状況では攻撃は出来ない。ならば、その間に少しでも荒らしてやる。


「おらよ!テメェは地面に墜ちてな!」

【うわぁ⁉︎ジェットパックが!】

【こいつ何なんだよ!攻撃が当たらない!】

【無闇に撃つな!味方に当たっちまう!】

「ウヒャヒャヒャ!次はお前じゃい!」


 何機か戦闘不能にしてから再び地表に向けて降下。速度を付けてから飛行形態に可変して離脱する。


「試合には負けたが勝負には圧勝だな。やっぱ、俺ツエーだわ」

「流石マスターです。しかし、後方からデルタセイバーが追跡して来ます」

「ほっとけ。いくらデルタセイバーとは言え空中でヘルキャットの機動力に追い付けるかよ。何の為の可変機だっての」

「それからデルタセイバーより通信が送られて来ます」

「無視しろ。相手にするだけ無駄だ無駄。後はリミッターを戻してと」


 機体レポートを確認しながら適当にネロに指示を出す。

 思った以上に機体に負荷を掛けた。これがもしバレットネイターなら全然問題は無かっただろう。


「一度専用機に乗っちまうと他の機体に満足に乗れなくなっちまう。全く、本当に罪作りな機体だったなぁ」


 今はスクラップと化しているバレットネイターを思いながら撤退するのだった。

何ちゅう脆い爆撃機じゃ(´・ω・`)

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― 新着の感想 ―
[一言] 自作自演がこう影響するとは!
[一言] 可変機は消耗が激しそうわね オペ子成分が~ほしい!!
[気になる点] 現行から2世代ぐらい先んじてるデルタセイバー相手だとやはり専用機がいる、、、ウルフちゃんの受領はよ! [一言] やっぱ敵として出てくるとエルフ軍怖すぎる。ヴィラン2がいつ落とされるかと…
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