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リンク・ディバイス・システムの力

 此方に気付いた敵サラガンはアーロン大尉のラプトルを蹴飛ばしながらサーベルを引き抜く。引き抜かれたサーベルには機体のオイルか、はたまた別の何かがこびり付いていた。

 俺は敵サラガンに対面する位置に着地しながら通信を繋げる。


「どうせ繋ぐ気は無いだろうから言っても意味無いだろうけどさ。アーロン大尉を殺るとはな。結構良い腕してんじゃん」

【……】


 やはり敵サラガンのパイロットからの応答は無い。それでも独白を続けながら機体の状態と武装を確認する。


「別に裏切りを責めるつもりはねぇよ。俺達は傭兵だ。いつ、どんな時に依頼が来るか分からんし。その内容が味方を裏切れなんて事も時々ある」


 35ミリガトリングガンを敵サラガンに向ける。しかし敵サラガンの反応は無い。余裕があるのか。それとも別の理由が有るのか。

 だが、そんな事はどうだって良い。


「仇討ちなんて俺のキャラじゃない。だが、傭兵として舐められる訳には行かない」


 敵サラガンを捕捉。その瞬間お互いが動き出す。


「安心しろ。直ぐに相方に会わせてやるよ。だから……大人しく死んどけ!」


 35ミリガトリングガンを撃ちながら距離を詰める。無論、敵サラガンは廃ビルの陰に移動して射線を切る。


「逃すかよ。バレットネイターから逃れると思うなよ」


 速度を活かせば直ぐに追い付ける。再び射線に敵サラガンが入ったのと同時にトリガーを引く。

 35ミリの弾幕は敵サラガンに襲い掛かる。だが相手は反転しながらシールドを構えながら回避。そしてブースターを使い建物の屋上へ移動すると軽快な動きでビル群の上を跳んで行き、建物の陰に隠れてしまう。

 だがその動きは余りにも自然体だった。まるで人間其の物が動いてる様にしか見えない。


「ッ……ハン、随分と軽快な動きをするじゃないか。その動きと腕前があるなら、確かにアーロン大尉を殺せた事にも納得だ!」


 再び射線を切られる。35ミリガトリングガンの残弾を見ればもう五十発を切っている。残りの武装と言えばビームガン付き小型シールド、プラズマサーベル、対人用12.5ミリマシンガンくらいだ。


(こりゃあ接近戦しか打つ手は無さそうだな。ビームガンで牽制しながらプラズマサーベルで仕止める)


 正直に言えば敵サラガンの腕前は相当な物だと理解出来た。先程の射撃も動きを止める為に撃った様なもの。しかし相手はシールドで防御しながら何でも無い様に回避して行く。

 更に言えば軽量機のラプトルを接近戦で無傷に近い状態で倒している。然も軽量機乗りとしてベテランの域に入っているアーロン大尉を相手にしていたにも関わらずだ。

 あの砲台野郎とは違い確かな腕を持つ相手。


「だからと言って俺が負ける要素にはならねぇんだよ!」


 バレットネイターの機動力を生かし直ぐに間合いを詰める。敵サラガンは45ミリサブマシンガンを撃ちながらミサイルを発射して迎撃して来る。

 しかしミサイルはネロのジャミングプログラムにより、あらぬ方向へ飛んで行く。


「貰った!」


 35ミリガトリングとビームガンで狙いを付けながらトリガーを引く。低出力とは言えビームが連射出来る利点のあるビームガン。確実に敵サラガンを照準に捉えながら撃つ。

 だが敵サラガンは回避しつつも確実にシールドで防ぎながら45ミリサブマシンガンで反撃して来る。

 そして35ミリガトリングガンの弾切れになったのと同時に放棄。そして同時に敵サラガンの45ミリサブマシンガンの弾も切れたのだ。


「チャンス到来ってな!此処で決める!」


 運良く建物の間の通り道で対峙する形となった。俺はリミッターを解除し一気に敵サラガンに接近。そして右手にプラズマサーベルを展開しながら一本道を突き進む。

 敵サラガンも空になった45ミリサブマシンガンを仕舞いながらサーベルを構える。そして多目的シールドを放棄して此方を迎え打つ。


 バレットネイターの圧倒的加速は瞬く間に裏切り者である敵サラガンとの間合いを詰める。


 ギフトを使った未来は間違い無くプラズマサーベルが敵サラガンの胴体を貫く映像が視える。


 だから勝ちを確信したのだ。ギフト通りの動きでプラズマサーベルを振り被るフリをしながら敵サラガンの胴体に向けてプラズマサーベルを突き立てる。




 敵サラガンのコクピットに向けてプラズマサーベルを突き立てた瞬間だった。




 未来は大きく変わる。




 敵サラガンの単眼センサーが一瞬妖しく光る。




 未来が変わったのと同時に視えた景色。




 それは宙を舞うプラズマサーベルを握るバレットネイターの右手だった。






 一瞬、何が起きたのか理解出来なかった。確かに先程まで視ていたギフトでは敵サラガンは撃破されていた。だが一瞬の頭の痛みと同時にギフトで視える景色が変わったのだ。

 それは右手に持つプラズマサーベルが宙を舞っている景色だ。

 敵サラガンとの一瞬の交差。その間にサーベルでバレットネイターの右手ごとプラズマサーベルを無力化したのだ。


「ッ⁉︎……そんな、こんな事が」


 信じられるか!と内心叫びながらビームガンを後ろにいる敵サラガンに向けてトリガーを引く。しかし敵サラガンの反応は素早い。いや、素早過ぎる。

 トリガーを引いたのと同時に此方に迫りながらサーベルを振るう敵サラガン。二発放たれたビームを左右に紙一重で回避しながら間合いを詰められる。

 そして次の瞬間、左腕とビームガン付き小型シールドが斬り飛ばされて宙を舞う。


 "勝てない"


 その考えが頭の中を(よぎ)る。

 最早武装は無いに等しい状況。既に戦える状態では無いのは明白。味方からの援護も期待出来ない今、既に交戦し続ける意味は無い。


「命有っての物種ってな!あばよ!」


 勝てないと判断した俺は直ぐに逃走を謀る。バレットネイターの高い機動力ならサラガン程度なら簡単に振り切れると判断した結果だ。無論チュリー少尉を見捨てる形になるが、自身の命と比べたら何方を選ぶかなんて明白だ。

 しかし敵サラガンは冷静に45ミリサブマシンガンを装備。そして人間みたいな素早いリロードをしてから此方に向けて撃ち始める。


 つまり射線を切る前に狙われたのだ。


 慌てて街中の中へ着地して直ぐにスライド移動で逃げる。だが敵サラガンはショートカットしながら追い掛けて来る。


 そして遂に捉えられてしまう。


「警告、敵に捕捉されています」


 ネロの言葉を聞きながら必死にバレットネイターを動かす。しかし敵サラガンは此方の動きに対し素早い対応をして追い掛ける。

 そして大通りに出て直線上を駆け抜けていた時だった。


 脚部に被弾を確認。更に立て続けに45ミリの弾丸が此方を襲う。

 両脚は被弾。更に背中のメインブースターの右のブースターに直撃。そのままバレットネイターの姿勢制御が出来なくなり、錐揉みするかの様にバレットネイターは回転する。


「うわあああああ⁉︎⁉︎」


 凄まじい衝撃と共にバレットネイターは地面に横たわる。モニターに映る機体ステータスを見れば既に各箇所は赤く表示されている。


「畜生、脱出しないと」


 左のデコ辺りが痛いと思えばヘルメットのバイザーにヒビが入っていた。どうやら破片か何がバイザーを貫通したらしい。

 俺はネロを抱えながらコクピットハッチを開ける。すると目の前に敵サラガンが勢い良く着地。そして45ミリサブマシンガンの銃口を此方に向ける。


「此処まで……か」


 ギフトを使うまでも無いだろう。俺は今日、此処で死ぬ。


 ふと、こんな時に思い出す事がある。いや、こんな時だからこそ思い出したのかも知れない。

 人は死ぬ前に走馬灯を見る。前世の時にそんな話を聞いた事がある。

 理由は知らないが過去の思い出と言う奴が頭の中を過るんだそうだ。

 俺自身、過去に何度か死に掛けた時はある。

 歩兵で戦場を駆け抜けた時。

 たった一台の戦車で戦友達と共に敵の勢力下に墜落した味方達を救助しに行った時。

 初めてMWに搭乗した際に敵AWと接敵した時。

 マザーシップに向けて突撃した時。




 そして……愛した人を目の前で失った時。




 何度か死に掛けた事はあった。だが走馬灯を見る暇は無かった。いや、見てたかも知れないが常に生きる為に足掻き続けていたのだ。だから記憶にも残らない。


 だが、今の状況は如何だろうか?


 乗機は破壊され、今も45ミリサブマシンガンの銃口が此方に向けられている。最早抵抗する事に意味は無いのだろう。


 此処で死ぬのか?そうだ俺は死ぬ。


 だから決めたのだ。最後は格好良く逝こうと。例え死ぬ未来が変わらないとしても足掻き続けると。


 それが……俺に出来る唯一の精一杯なのだ。俺の背中を追い続け、偽りの希望に縋って死んで行った戦友達の為に。


 脇に抱えたネロを遠くへと放り投げる。


「マスター……」


 ネロの声が遠くになるのを聞きながらレイナからの贈り物(大口径マグナム)であるM&W500を取り出しながら敵サラガンの単眼センサーに向ける。


「さて、最後まで足掻いてから逝かせて貰うよ」


 せめて愛した女性から誕生日プレゼントとして貰ったM&W500マグナムをしっかりと握り締めながら、銃口を敵サラガンの単眼センサーへと向ける。


 既に夕陽になり辺りを暁色に染め上げる。そんな中敵サラガンが持つ45ミリサブマシンガン相手に生身でありながら大口径マグナムで最後の悪足掻きをする。


 俺が敵サラガンの単眼センサーに狙いながら引き金を引く。ゴーストタウンと化している街に大口径マグナムの銃声が響く。

 一発、また一発と。

 そしてシリンダーに入っている六発全てを撃ち切る。もう、抵抗する手段は無い。

 だから俺は最後まで敵サラガンを睨み続ける。


 あの世に逝ったら自慢する為に。

 お前達が信じ続けた俺は最後まで諦めなかったと胸張って宣言する為に。




 そして……あの世に居るレイナを強く抱き締める為に。

よく長いタイトルの小説を見ますね。

もう直ぐストックが切れて暇に(え?)なるので以前より長いタイトルを考えてみました。


〜転生したらSFの世界でロボットから戦艦、はたまた他種族も沢山居る世界だった。然も大したチートも無いけれど、持ち前のロボット愛で様々な苦難を乗り越えます。そしてエルフに気に入られてエースパイロットに成り上がります〜










うん、これ唯のあらすじだわ('ω')

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― 新着の感想 ―
[気になる点] たまに「墜墜した」って文言を見掛けます。 墜落した、の予測誤変換かな?
[良い点] やっぱ今のタイトルが最強ですわ笑 [一言] ここでこの章のプロローグの回収ですね! リンク・ディバイス・システムの力、ガン○ムのサイコ・○クみたいな操縦に全振りしたものなのか、ギフトとかの…
[良い点] 次回は遂に再会ですかね…?レイナの今の境遇を知ったら主人公ぶちギレそう…w ところでネロちゃんのご奉仕シーンは何処ですか!!ここ…? ちょっとお堅めのネロちゃんがどんな感じにしてるのかとて…
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