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~序文~

 私以外の人間がこの本を読んでいるとしたら、私の死後か、私の存命中にこの本の内容を公開せざるを得ない状況が発生したかの、いずれかであろう。


 この本は、あの忌まわしい大事件についての、回想録である。


 回想録ではあるが、あの大事件についての記述を残すに当たって、できるだけ誤解を少なくする方法を模索した結果、私以外の視点で書かれた、「非一人称視点の小説」形式の部分を盛り込む事にした。

 ――私の視点からだけでは、あの大事件について公正に語るのは非常に困難であろう。


 「非一人称視点の小説」形式の部分は、主に『幕間』の部分である。


 非一人称視点の部分は、あの事件に深く関わった者達の証言やそれを裏付ける物的資料などに基づいて、私が「小説」として再構築したものである。


 固有名詞や個人あるいは法人等の情報については、必要に応じて伏せられたり仮名になったりしている部分も有る。


 非一人称視点の部分以外は、(ほとん)ど、私の視点から書いた回想録である。


 この本の読者が、通常通り最初のページから1ページずつ順に読んで頂ければ、私にとっては幸いである。

 しかし中には通常とは変わった読書スタイルをお持ちの読者も相当数いらっしゃる事だろう。

 その様な読者の為に、少しだけ注意書きを添える。


 最初のページ以外を先に読みたいなら、まず第5章冒頭を読んで欲しい。

 それが、私が巻き込まれた状況の、かいつまんだ記述だからだ。

 第1章から第2章は、第5章冒頭に記した状況に至る経緯と、その当時の私の日常を描いたものである。

 人によっては、私の日常を読むのを退屈に感じるかも知れない。


 第3章と第4章は、第5章冒頭に記した状況を、可能な限り詳細に書いたものである。

 詳細を完全に理解するにはある程度の物理学の知識を必要とするが、物理学の予備知識が無くとも7~8割方は把握できる様、できるだけ平易な表現を心掛けた。


 その心掛けが功を奏するかどうかについては、自信を持てないが。


 あと、第6章以降を第5章以前の部分よりも先に読むと、色々な意味で後悔するかもしれない。


 この回想録を書くべきか書かざるべきか、随分迷った。

 この回想録の内容が公にされる時期によっては、更なる災いの種になるかもしれない。


 しかしながら、「書いた場合」と「書かなかった場合」の、私が属する人間社会の将来にとってのメリットとデメリットを慎重に秤に掛けた結果、執筆に踏み切った。

 ただし、公開に踏み切る時期については、執筆作業以上に慎重に考える所存である。


 この序文を締め括るに当たって、もう一つだけ注意書きを添える。


 非一人称視点の部分以外の『本文』においては、殆どの部分で私自身を指す一人称の人称代名詞を『俺』に統一してある。

 これは、まだ若かったあの頃の気持ちをできるだけ鮮明に呼び起こす為の、ささやかな行為である。


          [ 滝本(たきもと) (けん) 之記(これをしるす)


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― 新着の感想 ―
[一言] これは……是非とも読み進めさせていただきます( ´∀` )
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