オファー
ニセモノのCOCONAがテレビに出始めた
声が私と似ていた
完全に一緒という訳では無い
だから疑問に思った人もいるがニセモノのCOCONA…本名・濱野 未來は誤魔化している
歌う時は声を少し変えている_と
これで疑問に思った人もすんなり納得した
ニセモノはテレビに出ても歌わない
なぜかと言うと音楽番組には一切でないからだ
バラエティー番組にしか出ていない
ニセモノがテレビに出始めて2週間が経った
私はどうしていいのか分からず、この2週間なにもしないでいた
ある日、事務所に呼び出された
「…社長、何か御用でしょうか?」
私はその時クビにされるのかと思った
「……未結。あなたにテレビ出演のオファーが来ているわ」
「え……」
ニセモノが現れて、そのニセモノはテレビに出て活躍している
それなのに私はテレビには出られない
親が反対しているからだ
私は今すぐテレビに出てこの誤解を解きたい
でもそれは出来ないのだ
それは社長も知っているはず
「私の親友がプロデューサーなの。
それで今テレビに出ているCOCONAは本当のCOCONAじゃないと教えたのよ」
「……」
「そしたらね?その人はこう言ったの」
『じゃあニセモノのCOCONAちゃんにテレビ出演のオファーをかけるからその時に特別ゲストとしてホンモノのCOCONAちゃんに出てもらえる?
この事はニセモノのCOCONAちゃん以外に伝えておくわ
そして歌唱対決をするの
ホンモノのCOCONAがどっちなのか視聴者の皆さんに伝えるのはそれが一番だわ』
社長は親友であるプロデューサーの人に話をつけてくれたそうだ
本当のことを話す機会をわざわざ作ってくれるために……
「それにね、未結。あなたの親御さんにもこのことを伝えたわ。そしたらなんて言ったと思う?」
『未結の夢は皆さんに幸せになってもらえれるような歌手になることです
未結はその夢を果たすために今まで頑張ってきました
ニセモノの子にその夢をぶち壊されるのは許せません
高校を卒業するまで顔出し禁止と言ってきましたがこのような事態ですのでそんな悠長なこと言ってられませんよ』
「いい親御さんね…
……後は未結…いいえ、COCONA。あなた次第よ。どうする?」
このままニセモノがテレビで活躍するのを遠くから見守るか
それともニセモノだと世間に伝えるか
社長は私に二つの選択肢をくれた
こんなことを聞かれなくても私の中では一つの選択肢しかない
「もちろん、世間の皆様に濱野 未來かニセモノだと伝えます。
……そのオファー心からお受けさせていただきます」
私は決意のこもった声で社長に言った
社長はその言葉を待っていたかのように微笑んだ