責任
「COCONAは...COCONAは私よっ!!」
突然ヒステリックに叫びだした未來さん
目の焦点があっていない
「私はCOCONAよっ!!私がホンモノなのっ!!私はニセモノなんかじゃないっ!!」
自分に言い聞かせてるかのように叫んでいる
その光景を見てみんな白い目をニセモノに向けている
さっきニセモノに譲るとか馬鹿なことを言った記者までもがだ
それに気付かず、ずっと叫び続けている未來さん
とうとう社長の堪忍袋の緒が切れた
「...さっきからうるさいわよ。少し黙りなさい」
静かに言った社長
鷹のような鋭い目でニセモノを睨んでいた
普段温厚な人が怒るのが一番怖いのだ
ニセモノは視線を社長に向けたあと大人しくなり、静かに座った
「さっきから聞いていればあなたがCOCONAですって?
.....ふざけるな」
「っでも私はっ!」
社長の言葉に対してニセモノは言い返した
それを許すまいと社長は睨みをきかせた
「でもじゃないわ。...美結の努力も知らないくせに勝手にCOCONAという名前を使って活動するとか何を考えているの」
「っ」
ニセモノは言葉を詰まらせる
「こんなことをしていても埒が明かないわ。未來さんは今から私が出す問題に答えなさい」
質問...?何を考えているんだ...?
「COCONAの生年月日と出身地を言いなさい。あなたがホンモノなら簡単に言えるでしょう?...まぁこんなのはネットに載っていることでですけどね」
私の生年月日と出身地...?
これは私のプロフィールに書いているからニセモノが知っている可能性がある
こんなことを聞いてどうする気...?
「え、えっと...」
慌て始めた未來さん
...もしかして知らない...?
「ほら、わからないのでしょう?
あなたがホンモノなら簡単に答えれるはずなのに。出来ないって事はあなたはホンモノなんかじゃないわ」
未來さんは黙ってしまった
その代わり未來さんの隣にいる社長さんが喋り出した
「俺は...俺は関係ないからなっ!
こいつが自分がCOCONAだって言ったから事務所に入れてやったんだ!ニセモノだなんて知らなかったんだ!だから俺は関係ない!」
急に自分だけ逃げようとしているのか意味不明なことを言い始めた
「...何ほざいてんの?」
私は心底腹が立った
私の予想だけど未來さんは元々いい人なんだと思う
多分、このバカ社長さんに引き込まれたのだろう
そうじゃなくてもこの責任は未來さんだけじゃなくて、このバカ社長さんにもあるはずだ
なのに何??
俺は関係ない?
...アホでしょ
「未來さんにももちろんこの責任はあるけど半分はあんたの責任なんだよ
全部この子に責任押し付けんな
人のせいにしかできないやつが社長とか有り得ないな」
社長以外は驚いた顔をした
まぁそれもそうだろう
だって私はニセモノを守るようなことを言ったんだから
「それもそうね。全てこの子の責任ではないはずよ...あなたそれでも社長?」
社長はどんどん毒を吐く
「まぁいいわ。...今回の記者会見はここまでにさせていただいてもよろしいですか?」
「あ、あぁ...」
権力的にはあっちの会社の方が上だけどもう立場的にはうちが有利になっている
「では記者会見を終わらせていただきます。...美結、行くわよ」
「はい」
私と社長はいち早く会場から出た
未來さんはこっちを呆然と見つめていた
そしてあのバカ社長は下唇をかんで悔しがっていた




