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プロローグ5 規格外にも程がある

サブタイトルの番号を修正しました。


なお、ここから題名に恥じない強制チートが 本格的に 始まります。


ネタというかリスペクトも少しずつ。

果たして、全て分かる人はいるのだろうか。

「俺のステータスの扱いってどうなるんだ?」


「見ます? 今の狭山さんのステータスをこちらの世界に合わせて変換してありますけど」


「それは助かる」



 ゲームのような半透明のウインドウがポンと開かれ、エルクゥから俺に受け渡された。


 そこに書かれている項目の名前――筋力、耐久、敏捷、精神、魔力、知力の文字を見て、俺はゲームの世界に入り込んでしまったような錯覚を覚える。

 だが、様々なゲームに触れてきた俺としてはこの方が分かりやすいし、数値化される事で何が足りないのか分かるのがありがたい。


 そう考えると、俺がこれから目の当たりにするステータスの傾向は想像が付く。


 まず、俺は特にスポーツをしていた訳でもないし、体を鍛えていた訳でもない。

 時間があればゲームや読書などに時間を費やしていたような……つまりは、インドアな読書少年だったのだ。

 身体能力よりも知識や精神といった内面の方が成長しているのは、言うまでもないだろう。


 加えて、俺は召喚されたてのレベル1で職業も決まっていない、まっさらな状態だ。

 その人物のステータスそのものにジョブ補正がかかっていないのだから、表示されているステータスは「素の自分」という事だ。


 それを踏まえて、自分のステータスを改めて見てみるとしよう。




 …………。




「なんじゃこりゃあ!?」


「どうしました!?」



 ステータスを見た瞬間、俺は思わず叫んでいた。


 ある意味では、予想通りだった。

 恐らくは同じ年齢の平均と比べれば下回るであろう、体力に関わる項目。

 生きていく上で何度も繰り返してきた自制と自責、そして趣味にしていた読書が頭一つ飛びぬけた数値という結果で現れた、知力と精神。


 そこまではいい。

 いいのだが……これはどういう事だ。





 名前:狭山芳和

 種族:人間・男

 職業:なし

 年齢:30歳


 Lv.1

 HP:120

 MP:760

 筋力:26

 耐久:30

 敏捷:25

 精神:138

 魔力:『表示不能』

 知力:191





「魔力だけが『表示不能』とか、意味が分からん……!」



 説明を求める、とばかりに創造神に視線を向けた。

 向けられた創造神もウインドウを覗き込み、説明に困ると言いたげな苦笑いを浮かべる。



「えーとですねぇ……先程も言いましたように、狭山さんは魔法使いに一番の適性があったじゃないですか」


「それと関係あるのか?」


「……まぁ。一応、は」



 視線をあちらこちらに向け、頬をほんのりと赤く染めながらも言葉を選んでいるのか、エルクゥが小さく頷く。



「童貞ということは、魔力――つまりは精を外部に放出するきっかけが普通よりも少ない訳です」


「確かに少なければ溜まる訳だし、それは一理あるな」


「加えて、狭山さんはそのー……ね? そういう事にも興味なかったみたいだから、余計に」


「……あー…………その、なんかすまん」


「い、いえ……」



 顔を赤くしたエルクゥに、特に誰が悪い訳ではないのだが俺から自発的に頭を下げて謝る。


 ……女性に事細かく説明をさせようとしていた時点で、俺の方が圧倒的に悪いような気もするのだが。



「それに、狭山さんの世界の人達は生まれながらにして持っている魔力が高いんです」


「異世界召喚ものだと王道の設定だよな、それ」



 召喚された先の世界で聖戦士と呼ばれたり、それまで誰一人として動かす事の出来なかった機神と感応したり……と、それこそ例を挙げればキリがない。

 それだけ、異世界召喚ものが古くから親しまれている訳でもあるんだが。



「そうだとしても、狭山さんの魔力量はおかしいんです」


「どういう事?」


「簡単に言いますと、狭山さんの世界の人の平均は100だと思ってください。ちなみに、この世界の人族での平均は80ですから、それほど差がある訳ではありません」



 平均なのだから、極端に多い人もいれば殆ど持っていない人もいるのだろう。

 何百万と同じ種族が生きているのであれば、そのくらいの差異はあっても当然だといえる。



「そして、狭山さんの魔力量はちゃんと計測した訳ではないので正確な量は分かりません。ただ……」


「ただ?」


「どんなに少なく見積もっても、10000を確実に超えてるんですよ」



 ……はい?



「驚きたいのはこっちの台詞です。これだけの魔力を持った人なんて今までに見た事ないんですから」


「そうなのか?」


「そうですよ。しかも、私が手を加えてないのにその数値なんです。どう考えてもおかしいじゃないですか」


「おかしいと言われても、これが事実なんだろ? だったら受け入れるしかない」


「じゃあ、どうやったらそんな数値を叩き出せるんですかっ!」



 若干の涙目で逆ギレされながら聞かれたが、そんなものを俺が知る訳がない。

 というか、その理由を俺が知りたいくらいだ。


 そもそも、魔力というものを感知出来ないのだから、これが多いのかどうかも俺には分からないのだし。



「……まぁ、魔力の総量に関しては置いておきましょう。今はステータスの更新の方が先です」


「そんなんでいいのか。まぁ、考えても分からないんだから置いておくのは賛成だが」



 置いていいほど些細な問題ではない気がするのだが、ここは彼女に従っておく。

 考えても原因が分からないのであれば、原因が分かるまでは放置しておいた方がいい。


 理由が分かれば、意外とあっさり解決したり納得出来たりする例だっていくつもあるのだし。



「……実際のところ、更新ってどうするんだ?」


「容姿変更の件もありますので、さっきのステータスから色々変更がかかりますね」


「具体的には?」


「容姿変更をする際に『転生』という形を取るので、能力が最も高い年齢に若返って貰います。その年齢に合わせてステータスを変更した上で修正をかけたものが……こちらですね」




 名前:

 種族:人間・男

 職業:なし

 年齢:15歳


 Lv.1

 HP:300

 MP:1200

 筋力:50

 耐久:40

 敏捷:55

 精神:400

 魔力:『表示不能』

 知力:500




「なんかレベル1にしては強くない?」


「異世界の創造神である私の加護が付いてますから」


「あと、成長率とか考えても完全に元のステータスよりも強いのはどういう事?」


「私の加護が付いてますから」


「いやコレ確実にチートじゃ」


「加護です」


「……そうですか」



 ここで更に文句でも言おうものなら、このステータスが倍率で上げられそうだから黙っておく。

 正直、エルクゥならやりかねないから困る。



「それでも魔力は『表示不能』なのか」


「創造神の私でも理由が分からないんですから、もはや仕様といってもいいかと」



 更には『仕様』とまで言い切られた。

 いいのかそれで、と思いもしたが、神ですら原因が分からないのでは仕方ないのだろう。



「それに、俺の最盛期って15歳なんだ」


「肉体が最も若く、かつ成長力の高い状態を選びましたから」


「……つまり、それ以後の俺は下降線だったと」


「そ、そうとは言ってません!」



 だがしかし、その後の自分を考えるとそうだった訳で。

 否定までしてフォローしようとするエルクゥには悪いが、事実は事実と受け取る素直さも大事だ。



「でもまぁ、若い頃に戻れるのはありがたいか」



 基本的に酒は飲まないのでこれで充分だし、趣向品としての煙草なんかも必要ない。

 情報収集としての酒場で酒を目にする事はあっても、飲もうとしなければいいのだから。


 ……どうしても飲まなければいけない状況に追い詰められたのなら、その時は覚悟するしかないか。


 酒は二十歳になってから。

 異世界でその常識が通じるかどうかは分からないけどな。




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