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おまたせしました。

・これまでのあらすじ産業

お茶会来たら金髪ツインドリルロリに「ネヴィルを返して魔女!」と言われたわず

突然現れたネヴィル「(^言^)」ロリ「ヒッ(気絶)」

ネヴィ母が登場しお礼を言われてたらメリー起床なう(イマココ!)



 突然の高い声にびくりと肩を揺らします。声はベッドから。視線を向けると、半身を起こしたメリザンド様がピンクの目を潤ませ、キッとこちらを睨みつけています。


「お目覚めになられ」

「あなたみたいな魔女のせいでネヴィルが! 騙されないでパウラ様、この女は魔女です! こんなに性格が変わっちゃうなんてありえないもの!」


 ほっとしたのも束の間、メリザンド様は気絶する直前のことを忘れられたかのようにパウラ様に訴えかけました。

 しかしわたしの優秀な手は無意識にも隣の腕をしっかと握り止めておりましたので、安心してください。悪夢は再来しません。平和的にいきましょう。わたしは平和がだいすきです。

 フォークも、他に掴みやすいものも、近くにありませんよね? 皿とか花瓶とか。

 あきらかにわたしに敵意を向けている少女より、わたしの味方であるはずのネヴィルを警戒して、あたりを確認します。特に凶器になりそうなものはない、と、ほっとしたのもつかの間。攻撃的な音は正面から発せられました。ぱしん。パウラ様の持つ扇が開かれ、閉じます。鋭い音が興奮した少女の空気を振動させます。


「意識もはっきりしていらっしゃるようで、安心致しましたわ、メリザンド様」


 にっこり。

 扇の音に怯えてしまいましたが、わたしの早とちりだったようです。パウラ様は優しい声で、貴婦人然と微笑みます。わたしは、さっきまでの砕けて少々男性的な言葉遣いのほうがかっこよくて素敵だと思うのですが、カーター男爵家よりメリザンド様は家格の高い家のご令嬢なのでしょう。

 それを言ったらわたしも上なのですが、お父さまの静かな横暴さは「わたしを敬うべき」という方向にはありません。

 どういうことかといえば、この世界のルールとしては『爵位が絶対』なので、爵位を持たない子息に家格は関係なくあるべきとされています。爵位を持つご家族を不快にさせないために、自分より家格の高い家のご子息にも丁寧に話す慣習はありますが、わたしが良しとすればお父さまも怒ることはないのです。パウラ様の口調からして、きっとメリザンド様のおうちは家格が下なら丁寧に、という教育をしてらっしゃるのでしょう。家格が上なら子息が大人になった時に身分の上下が発生して口調を変えねばならなくなるので、それも正しい話です。

 ちゃんとご紹介を受けてないので、彼女がどこの方なのかよくわからず、わたしと家格を比べられないので、わたしは丁寧に話すしかありません。さすがに貴族名鑑を隅から隅まで記憶したり、我が家と関係ないおうちの縁戚関係を把握したりなんて難易度が高すぎます。まあ、話し方はいつも丁寧なほうですが。


 そんなことを考えている間にも、扇の音で一瞬落ち着いたかのように見えたメリザンド様は、ふたたびわたしがどれだけ悪なのか熱心に語っています。とはいえ、内容は「ネヴィルがおかしい」「その女のせい」「その女は魔女」の三通りだけです。だけなので。


「落ち着いてくださいネヴィル」


 わたしの手を振り払うことはありませんが、今にも叫びださんばかりに体がふるふる震えています。

 小さな声でしたが、彼は「しかし!」と大きな声を出しました。メリザンド様の声が止み、今度はこの隣の少年に向けて話しかけだしました。


「ネヴィル、あなたも心の底で元に戻りたいと叫んでるんでしょう!? 大丈夫、この魔女を倒してあたしが元に戻したげる! 前のネヴィルに!」


 だからもうちょっと待っててね、と言う彼女は、さながら雪の女王のゲルダでしょうか。隣のカイを伺いながら、わたしは自分の握力が試されるのを覚悟していました。貴族令嬢になってから鍛えてないので自信はありません。さすがに箸より重たいものは持てますけど。この世界で箸持ったことありませんけど。

 が、彼は一度ゆっくり息を吐くと、背筋をしゃんと伸ばして、少年らしからぬ綺麗な笑みを浮かべました。

 そして、澄んだ幼げなアルトが紡がれます。



「────妄想も大概にしろよ馬鹿女」



「え」

「は」


 ……ええ、っと。

 耳がおかしくなったんでしょうか、それとも頭が? 頭のほうは前世とかある時点であんまり普通と言い切れないんですが、今のところそんなにおかしかった記憶もありませんし、どこかに強く打ちつけたりもしてません。ということはやっぱり耳ですかね? 耳掃除もちゃんとしてるんですが、幻聴には関係ないですもんね。

 あははは、だってネヴィルがねえ。天使みたいな顔で、あれだけ興奮しててもずっと丁寧な話し方をしてきた子です。一か月のうち一度も敬語を崩さなかったんですよ、まだ十一歳なのに。それが、こんなにかわいい笑顔のまま突然口調を荒げたりだなんて、


「戻りたくねえっつってんだろ、あんたのほうがどう考えても魔女だろこの魔女」



 し、してたー!!!






お待たせしたので終話まで書いてから出そうと思ってたんですが、エタらないアピールしにきました。

ネヴィルの口調は最初からの設定です。

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