1.見舞いと見合い
カーバンクルの狩り祭騒動が終わって、数日が経過しました。
色々と疲れていたので、この数日は私も勇者様も、ぐったりでした。
まぁちゃん一人が元気元気で、根本からの鍛え方の差を思い知りました。
だけどようやっと気力も回復!
そうなったらやるべきことがある。
「…という、訳で」
「……………はあ、気が進まないが仕方ない」
現在、勇者様は私と共に魔王城の目の前にいます。
城壁の前、とかじゃありませんよ?
思いっきり、魔王城の正門正面にいます。
何故かというと簡単です。
これから、勇者様の魔王城訪問があるからです。
殴り込みじゃありませんよ。
あくまで、『訪問』です。
それというのも、まあ、幾つか理由がありますが。
行くと決めたのは勇者様自身。
今回は戦いが目的ではないので、若干ラフな格好をしてもらいました。
勇者様はどんな危険があるかしれないと渋りましたけどね。
でも、下手に武装していたら練兵場の魔族さんに引っ張り込まれますよ?
おう、一勝負しよーやーって、ノリで。
それを防ぐ為にも、私は気乗りしない勇者様を私服に着替えさせた訳です。
普段の無骨で実用一点張りの姿とは、大分印象の違う勇者様がそこにいました。
まあ、美形に代わりはありませんでしたが。
「まさか、魔王に勝負を挑む以外の目的でこの城を訪れることになろうとは…」
ボソッと呟いた勇者様は、今日も困った様な顔をしていました。
正門の脇には、門衛さん。
私はすっかり顔なじみで、片手をひらひら。
門衛さんも心得た物で、私は顔パスです。
即座に開けてくれた扉をくぐる訳ですが…
「…なに、勇者?」
「あ、ああ…」
緊張で顔を強張らせながら、勇者様が訪問の意を示すと。
門衛さんが、素早く動いた。
手に掴んだのは………メガホン?
反対側にいたもう一人の門衛さんが、その手にトランペットを取りだした。
パーパパパッパパパッパパパッパーパパパパパーッ
「勇者様のおなぁぁぁありぃぃぃぃいいいいいっ!!」
高らかなファンファーレ。
そしていきなりの大音声。
「は、なに!? なんなんだ!?」
混乱の局地を彷徨う、勇者様。
ああ、これは…遊ばれてるなーと。
傍観体勢から他人の振りに移行しようか考えていると、背後からくつくつと押し殺した笑い声。
喉から響く声に、覚えがあります。
振り向くと、まぁちゃんがいました。
門の脇、壁に背中を預けて立っています。
「よーぅこそ、勇者サマ」
「………まぁ殿の差し金か?」
「大歓迎だろ?」
「歓迎の仕方がおかしいというか、それ以前に勇者を歓迎する魔王城って何なんだ!!」
「落ち着け、落ち着けーって」
笑って取り合わないまぁちゃんに、勇者様の血管はぶちぎれそうでした。
「そんじゃ今日は、魔王自ら直々に魔王城案内――といきたいところだが、この城を見て回るにゃ一日なんて全然足りないからな。取り敢えずは今日の目的達成を優先するか」
そう言ってまぁちゃんが見上げる魔王城。
見晴るかす、遙か彼方へ伸びる黒い尖塔の数々。
まるで空を突き刺す剣の群れですね。
まぁちゃんの言う通り、一日で踏破できる猛者なんていないでしょう。
だから私達は、まぁちゃんに案内されて向かうのです。
足の向く先は、医療棟。
揉め事好きで、生傷耐えない魔族。
その治療に対応している内に必要とする場所が増えていき…
とうとう、城内の一棟を占領した部署です。
最早病院ですよ、これ。城内病院。
医療系の技術や知識、治癒魔法の使える魔族が率先して手伝っているそうです。
お陰でボランティア色が強く、病院と言うよりは堅苦しくないらしいですが。
りっちゃんも治癒魔法の使い手として、よくお手伝いしていたそうですが…
その彼は今、入院患者という立場で此処にいます。
魔力を使い果たしたら、魔族は死んでしまいます。
なのに子供が、回復する余裕もないくらいの速度で魔力を浪費しまっていて。
そのまま放っておけば、数時間で死んでしまう。
だから、魔力の多いりっちゃんが尽力した。
まぁちゃんだったら、子供が強すぎる魔力に耐えられないから。
子供の体から魔力が流れ出る端から、魔力の必要量を補充したんだって。
りっちゃんの魔力を、子供に分け与えることで。
その結果としてダウンしちゃったりっちゃんには、敢闘賞を贈りたい。
今も未だ、枯渇寸前まで言った魔力が回復せずにベッドの住人で。
そんな彼のお見舞いが、私達の第一目標。
それと、無茶をやってとんでもない目に遭ったラーラお姉ちゃんの様子を確認すること。
ラーラお姉ちゃんは衛生兵。
軍属ですが、訓練や遠征のない普段は医療棟で看護婦の様なことをしています。
りっちゃんとは気心知れた身内と言うことで、りっちゃんの病室を担当しているそうです。
病室を開けると、そこには白衣の黒山羊と寝間着の黒山羊。
そして包帯の固まりがいた。
思わず勇者様と、顔を見合わせる。
「マミー?」
「何で木乃伊が、こんな所に……」
怪訝な顔で凝視していたら………木乃伊が動いた!
「やあ、リーヴィルの見舞い?」
「木乃伊が喋った!!」
「うわ、酷い。ミイラじゃないよ」
そう言って全身包帯ぐるぐる巻きで体の厚みさえ増している物体。
木乃伊もどきは、顔の部分の包帯をぐいっと引き上げてずらす。
「………あ」
包帯の下から現れたのは、少女のような可憐な女顔。
よく見ると、背中や耳のあるはずのあたりにも翼が見える。
「もしかして、ヨシュアンさん?」
「あたりー」
そこにいたミイラは、カリスマ画伯もとい魔族の軍人、ヨシュアンさんだった。
部屋の奥、奥の窓際に包帯まみれの翼持つ魔族。
手前に、青白い顔でぐったりしている黒山羊魔族。
二人は共に、それぞれの寝台で寝ているのですが…
黒山羊魔族の怜悧な青年が、ふとした拍子に隣の寝台をぎらりと睨む。
それは濡れて光る、『血みどろ男爵』(包丁)を思い出させた。
その視線に気付かないはずがないのに、硬い笑顔で無視を決め込む翼の魔族。
時折、恋しげに窓の外を見るのですが…
彼の翼もまた、包帯まみれ。
その様子を見るに到底、空を飛んで逃げられそうはありません。
この病室に入院患者は二人だけ。
だけどその二人の組み合わせに、まぁちゃんが顔をしかめる。
一応、ラーラお姉ちゃんが監督してはいるらしいのですが…
「此奴ら隔離しなくて大丈夫なのかよ…」
何がとは敢えて言いませんでしたが。
どうやらあの怪我の原因はりっちゃんらしいと、私は察しています。
………うん、大丈夫なの、これ?
色んな意味で、不安がぶわっと! 押し寄せてきたんですが…。
あまりの怖さに縋るような目でまぁちゃんを見たら、まぁちゃんの顔も引きつっていました。
魔王の顔を引きつらせるって…
気付いた時には、ヨシュアンさんが冷たくなっているかも知れない。
…どうか、そんなことにはなりませんように。
気弱なラーラお姉ちゃんに気を遣って、りっちゃんが暴挙に走らないことを祈りました。
私達が脅威の部屋割りに戦慄していると、ラーラお姉ちゃんが部屋に入ってきました。
あれ、さっきまでそこにいたのに…
見ると、ラーラお姉ちゃんの腕には白い花瓶。
私達がお見舞いに持ってきたお花を活ける為、準備に行ってくれていたみたいです。
この部屋の担当ですからね、基本的には二人のお世話が今のお役目。
花瓶を棚に置くと再び廊下に消えて、今度は何でしょう?
ああ、お昼時ですからね。
鼻歌交じりに二人の昼食を運んできて…
勇者様の姿を目にした瞬間、お姉ちゃんが硬直しました。
がしゃぁぁぁぁぁあんっっ からからから…
そして、二人の昼食を床にぶちまけました。
え、今まで気付いていなかったの?
勇者様、決して影の薄い方じゃないんですけど…
「ああっ 彩りキノコのホイル焼きが! 楽しみにしてたのに…!」
「それより先に、ラーラの様子を心配してあげてくれませんか…?」
入院患者二人が騒ぐ中、その声で我に返ったらーラお姉ちゃんの肩がびくっと飛び跳ねる。
そのまま挙動不審な小動物状態で、あわあわ狼狽え、きょろきょろ視線を彷徨わせ…
絶対安全地帯と認識した、私とまぁちゃんの背後にぴゃっと飛び込み身を縮めてしまいました。
お姉ちゃん、それで隠れているつもりですか…?
びくびく、びくびく。
まるで外敵を前にした子ウサギみたい。
いや、山羊だけど。
「り、リアンカちゃん、あのひとだれ…?」
掠れるような小さな声で、恐る恐ると私の袖を引きます。
彼女の声が尋ねてきたのは、勇者様。
他の皆は馴染みのメンバーですからね。
ですけど勇者様は…そりゃ、馴染みはないでしょうけれど。
「あれ、ラーラお姉ちゃん、覚えていないの?」
「………?」
「あれ、勇者様だよ。数日前にがっつんがっつん鎌でやり合った仲じゃない」
「………っ!!」
あ、更に小さく縮こまっちゃった。
すっかり怯えきってしまったお姉ちゃんを前に、勇者様も居心地が悪そうです。
「リアンカ、その、彼女は…?」
「勇者様も何を言っているんですか? 数日前にやり合ったラーラお姉ちゃんですよ」
「!?」
…駄目だ。こっちはこっちで固まっちゃったよ。
両者互いに、石像と化してしまいました。
どうしましょ、これ?
取り乱して、落ち着いて。
費やした時間、一時間半。
それだけの時間を要してようやったラーラお姉ちゃんは平静を取り戻したけれど…
お姉ちゃんは、内気なんですよ。
勇者様に全然打ち解けることができなくて、私の背後にお隠れ中。
一応、会話はしてくれるけれど…
顔を出さない、目も合わない。声も消える様に小さく微か。
私の経験から言うと、これは打ち解けるのに半年はかかるレベルですね。
勇者様を怖がって、挙動不審にならないだけマシでしょうけど。
でも、ね。
「もう、もう…っ お嫁に行けない………っ!」
ラーラお姉ちゃんは理性を失っていたので、戦場での肝心の記憶は朧気だったそうです。
勇者様という切欠を前に、朧気だったあれこれを鮮明に思い出してしまったようで。
虚空に視線を彷徨わせていたラーラお姉ちゃんの顔はどんどん血の気を失っていき…
ついには涙目でかたかた震えています。
両手で顔を覆って、嫁に行けない発言。
ああ、ラーラお姉ちゃん元気出して…!
大丈夫、ちゃんと貰ってくれる物好きはきっといる!
…と言ったら、なんだかマジ泣きしそうな気がする。
さて、どう慰めた物か。
困って室内の人を順番に見ていたら、まぁちゃんがふっと笑った。
慈愛を込めた微笑でもって、ラーラお姉ちゃんの肩を叩く。
「大丈夫だ。嫁に行けないなら婿を取ればいい。これで万事解決だ」
「陛下、そう言う問題じゃないと思うんですが…」
従姉が戦場で暴走した姿を見ていないりっちゃんが、怪訝な顔を隠しません。
私達に目配せで従姉が何をしたのか聞いてきますが…
……うぅん? 大したことはしていない気がするんですけど?
それでも、あの時の何かがラーラお姉ちゃんにとっては耐えられないことなのでしょう。
お嫁さん志望の黒山羊さんは、しくしく泣いています。
勇者様も責任を感じるのか、気まずげで。
勇者様、安心してください。
あの時のあれこれはラーラお姉ちゃんの自爆なので、勇者様に責はないと思いますよ。
「…ったく、仕方のない」
啜り泣くラーラお姉ちゃんに、まぁちゃんも溜息一つ。
それから、小脇に抱えていた封筒を取り上げて…
「そんなお前の為に、俺が直々に良い物を持ってきた」
そう言って、ラーラお姉ちゃんの前で封筒の中身を広げ…
「まぁちゃん、何コレ」
「所謂釣書」
「!!?」
あ、ラーラお姉ちゃんが顔を上げました。
そこには大いなる驚愕が彩られています。
「安心しろよ。ちゃんと『ラヴェラーラと交際したい奴』って前提で集め、俺が厳選した三十名余だ。つまり、この中にはお前に好意を持つ異性しかいねぇ。選ぶ権利はお前にあるから、ラヴェラーラはこの中から好きなのを選ぶだけで良い」
「え、えぇ…? わた、私が選ぶなんて烏滸がましいです…!」
「でもお前が選ばないってんなら、全員と交際って泥沼になるぞ?」
「ひぃ…っ」
「これでも絞ったんだからなー? 後は一長一短、個人の好みの問題だ」
そう言ってまぁちゃんが、三十余名の釣書を並べていきます。
無駄に細かい技量で、空中に縫い止め留められていく紙の列。
中にはちらほら、人間や獣人みたいな他種の名前も…
「うわぁ、白山羊一門の人も名前連ねてるよ」
「それは、何か凄いのか?」
「白山羊さん達って、ラーラお姉ちゃんの一族とはライバル関係なんです」
「それは…若い女性が好みそうなロマンスだな」
「まあ、両思いになったらの場合ですけど」
凄いなぁ。
ラーラお姉ちゃんの人望が、こうやって見るだけでもよく分かります。
だってこれ、全部ラーラお姉ちゃんに想いを寄せる野郎共なんでしょう?
目に見える形で表示される、ラーラお姉ちゃんへの好意。
なんだかこっちが照れくさくなりそうです。
「………んー…リアンカちゃん」
「え、なんですか?」
呼び止められて顔を上げると、そこには考え込む顔つきのヨシュアンさん。
あれ、どうしたんですか。
珍しく真面目な顔で…
「ちょっとその釣書の束、俺にも順番に見せてくれるかな」
そう言って、ヨシュアンさんは両手をひらひら。
ギプスに覆われた手では、紙の束を掴むも捲るもできなさそう。
仕方がないので、私も頼みを聞くことにしました。
空中に縫い止められていた紙の束を回収し、順番にベッドの前で捲ります。
すると…
「ん、アウト、アウト、アウト、セーフ、アウト…」
「ヨシュアンさん…?」
順番に紙へと目を通しながら、何事かを呟き始めます。
疑問に思うと、追加注文が来ました。
「リアンカちゃん、俺がアウトって言った紙を分けてくれる? 理由は後で教えるからさ」
「まあ、別に構いませんけど…」
そうして、皆が不思議そうな顔で見守る中、呟きが静寂に響きます。
まぁちゃんが厳選した、三十余名。
その内の殆どに対して、ヨシュアンさんは「アウト」と告げたのです。
全部めくり負えた時には、セーフと言われて残った紙は四枚になっていました。
「うん。俺の一押しはこの四人かな。他は却下」
「根拠は?」
なんでまた、そんなことを言い出したんでしょうか。
不思議に思って尋ねると、ヨシュアンさんは目をきらっと輝かせて言いました。
「俺を誰だと思ってる?」
「「「「エロ画伯」」」」
勇者様以外の、全員の声がそろいました。
飛び出た異名に、勇者様は愕然とした顔です。
自分の事じゃないのに狼狽えていますね。
そして当の本人は…
「そう、その通り!」
…全く気にしていませんでした。流石です。
むしろ得意げに、包帯まみれの胸を張りました。
「ふふん。俺の作品のお買い上げ傾向とお客様アンケートの効果のお陰だね。俺、顧客の性癖その他、懐事情まで把握してんのよ。魔王城や近隣住民の結婚適齢期に当たる野郎の七割は確実に」
「つまり、近隣の若い男性七割が画伯の顧客なんだね…」
「この釣書の奴らも皆、顧客ですか…」
りっちゃんの目が、きらっと光ったけれどそれは置いておいて。
「ってか、お客様アンケートとかやってたのか」
「偶にどんな情報を握っているのか分からなくなりますよね、貴方」
「普通に掌握しているのが怖いな…」
画伯が豪語した内容に、私達は戦慄しました。
何を宣ってるんでしょうか、彼は。
まぁちゃんの選んだ三十余名の、何を情報として握ってるんですか?
彼がアウトと告げた約三十名にどんな問題があるのか…
知りたくもありませんが、気になります。
「えっとな、此奴と此奴は性癖がやばくって、その隣は隠し妻子がいたはず。それで…」
いや、本当に知りたくないから、解説は結構ですよ!
解説を始めた画伯の口を塞ぎ、私達は問題有りと判じられた釣書からそっと目を逸らすのでした。
「っつーか、隠し妻子がいる奴つれてこい。説教してやる」
「それより陛下。ヨシュアンから税金を今までの二倍…いえ、三倍徴収しましょう。副業による収入がどう考えても大きすぎです」
「ちょっとリーヴィルさぁん!?」
真顔でさらっと提案を上げるりっちゃんに、ヨシュアンさんの悲鳴が悲痛に轟いた。
一方、その頃。
魔境へと続く遙かな旅路を、馬で行く三人の姿があった。
かっぽかっぽと、平和な馬蹄の音がする。
「しかし、驚いたな…王陛下に一体何があったんだろうか」
「人が変わりすぎて、気持ち悪かったですね…」
「いや、よく見たら性格自体は変わってなさそうだったぞ? 何となく自分でも嫌そうな顔をしてらっしゃった」
「だけど俺達に下された指令も、いきなり打ち立てた政策も気の迷いと判じるには確かな言動に基づいていただろ」
「そこがより一層不気味でした…」
彼等はシェードラントの若き騎士。
リアンカによって兵士A、B、Cと渾名づけられた青年達だ。
彼等は遠く国を離れ、釈然としない様子で魔境を…その中心を目指す。
「………勇者様の助けとなるべく、協力の為に旅立てとは」
「本当に、一体何があったんですかね…王様」
「というか、指令が漠然としすぎて何をしたらいいのか分からねー」
「取り敢えず、勇者様を探して魔境に行くしかないだろう」
「何したらいいか分からないから、本人に聞きに行くしかないなんて…僕達、無能もいいところじゃないですか?」
「言うなよ、それ…悲しくなってくるだろ」
がっくりと肩を落とし、騎士達は勇者の後を追っていた。
三人のリーダー格であるベルガが時折、何かを気にかける様に後ろを振り向く。
遠く離れ行く、故郷の方向を。
「…ベルガ、どうしたんですか」
見かねたサイが問いかけても、あやふやな笑みを浮かべて心情を吐露することはない。
遠い、後方を思い出した様に振り返りながら…
ベルガの脳裏には、蘇るものがあった。
多くの割合を、肌色が占める思い出。
(………………彼女に再び、会えることはあるだろうか)
戦場の真ん中に、何故か倒れていた彼女。
さらりと揺れる黒髪に、滑らかな象牙色の肌。
朧に霞む思い出の中、その姿はベルガの心に強く焼き付き残っていた。
彼女が、魔族だという事実にすら気付くことなく。
――遠い空の上で、ラブコメの神が笑う声がした。
→ ラブコメの神
外見は可愛くないシュールな兎の着ぐるみ(中は謎)。
ラッキースケベの神とはツーと言えばカーの仲。
勇者様に加護を与える、愛の神の従属神。
【兵士A~C】
アスター 疑り深い短気の熱血。色々な意味で若い。
ベルガ ラッキースケベ。良識ある突撃特攻隊長。
サイ 布地屋の息子。目端の利く気儘な自由人。




