坂口美奈
ヤバイ、まだドキドキしてる。
男子から頭は叩かれたことあるけど、あんな優しく叩かれたことないもん。
だから隼人が好きだからとかじゃないよ!絶対…。かなちゃんが隼人を好きなんだから!かなちゃんに勝てるはずないじゃない…。
でも嬉しい。私だけにやってくれた。かなちゃんにはやらなかったけど、私にはやってくれた!
でも亮也君だったらもっと嬉しかったな♥
私が好きなのは亮也君だから。佳菜子にはよく聞かれるけど、いつもいないってウソをついてる。だって好きになったの最近で恥ずかしかったから。
「美奈ーっ、みな!!」
「…えっ!あっ何?」
真未に呼ばれて、自分が更衣室でみんなと話していたということを思い出した。
「もー!またぼーっとしてー!聞いてよ!美奈ったら前の練習でもぼーっとしてて、真未が呼んだらチョーまぬけな声出したんだよ!」
「えーっ、ちょっと美奈どうしたの?」
「あっ!もしかして好きな人できた?」
「えっそうなの美奈ー!?」
勝手に話しを盛り上げているのは、槙田さえと宮下花希の中3、中2の2人組。
「ちっ違うよー!そんなわけないじゃなん!」
慌てて言い返したから噛んでしまった。
すると花希はニコッと笑った。
「あっ、ちょっと怪しい!」
「ないないない!ないから!!」
「えー!美奈、さっさと白状しなよ!」
それからしばらく、さえと花希と真未、それから高校2年の栗林由紀にしつこく問い詰められたが、いない!で押し通した美奈だった。
♦♦♦♦♦
次の日の練習中、美奈はドキドキしながら隣のコースにいる亮也を見ていた。
詳しく言うと、亮也と亮也の隣にいる佳菜子の2人を見ていた。
(やめてよ!そんな顔して話さないで。なんで!亮也君だってなんで赤くなってんの!!かなちゃんと話してないで私を見てよ!気付いてよ…)
美奈がどんなに心の中で叫んでも、伝わるわけがない。
美奈が心の中で叫んでいる中、佳菜子はくりくりした二重の目で、可愛い八重歯を見せて、控えめな高い声で亮也と話している。
(やっぱ私にはムリなのかな。)
そんな姿を見たら、急に切なくなって、キラキラプカプカ揺れる水面を見ながら、小さなため息をついた。
「ねぇお前さぁ、今回のテストどーだった?」
突然話しかけてきたのは隼人。
「全然ダメだったぁ。まっ、でも隼人よりはとれたかなっ。」
「は?なめんなよ。俺今回300点いったんだぞ。」
思わず笑ってしまっていた。
「えー、300点なんて普通じゃん!!」
「うるせ〜よ。」
気付いたら2人で笑っていた。
隼人が私の様子に気付いて話しかけてくれたのかは分からない。でも嬉しかった。本当に。
だから期待していいかな?…