プロローグ
少し暴力的は表現があります。シリアスな始まりなので苦手な方は回れ右でお願いします。大丈夫と思われる方だけ、つたない文章ですが、少しの間お付き合いください。
今日も夢を見た。
いつもと同じ幼いころの夢だった。
何も知らず、何もわからなかった頃の夢だ。
幼いころ過ごした「あの部屋」から夢は始まる。
「あの部屋」は日中でもほとんど日の入らないため薄暗く、カビ臭いにおいがした。
箪笥と本棚、小さなちゃぶ台しかない四畳半の殺風景な和室だった。
木でできた戸にはいつも鍵がかかっていて、誰かが訪ねてくることはほとんどない。
そんな部屋で「わたし」はいつも膝を抱えて座っているのだ。
日が落ちて真っ暗になろうとも膝を抱えて座り続けた。
部屋が真っ暗になり、どのくらい時間が経ったかわからなくなった頃、戸を開く音がした。
戸の方に目をやると、まぶしい光に照らされた。
目を細めていると、人が入ってきた。
2,3人はいる。
その人たちは、「わたし」を取り囲んだ。
そして、何事かを喚きながら、殴られ蹴られ続けた。
気が遠くなるほどの暴力だった。
だが、「わたし」は何も感じなかった。
殴られ蹴られたところに痛みはあるが、心は凍っているかのごとく何も感じなかった。
そして「わたし」は徐々に気が遠くなり、完全に意識が途切れた。
そこでこの夢はいつも終わる。
気が付くと、朝だった。
私は自分のベットから身を起こす。
ふと、顔に触れると濡れていた。
枕の方も確認すると僅かに湿っていた。
パジャマの袖で涙の痕をごしごしと拭いて、顔を洗うためにベッドを抜け出した。
今日も一日が始まろうとしていた。
ここまで読んでくださってありがとうございました。次回もよろしくお願いします。




