エピローグ(うえ)
肌に突き刺さらんとばかりに鋭い日差しがぼくたちを照り付けている。
「…で、あるからして、私、貴讃井忠文は、みなさんには青い夏空の様な、一点の曇りのない、正しい生活を送っていただきたいと思っており…」
今日、7月18日は、清流高校の終業式です。
そして今は、終業式の定番。“校長先生の無駄に長い話”を聞いているのですが…
なんで校庭? 今日のような日差しの強い日は、日射病を含む、熱中症になりやすいから、普通は体育館でやると思うんだけど…。
そんなぼくの思いは届かず、まだまだ語り続ける校長先生。
「しかし! 私、貴讃井忠文は…」
――20分後――
「以上で、終業式を閉会します。いちどう、礼! …え〜っ…では、この後各自教室に戻って、点呼を受けてください。点呼が終わったクラスから解散とさせていただきます」
やっと終わった…。
約40分間にわたって繰り広げられた校長先生の無駄に長い話は、結局まとめると、元気に過ごしなさいよ。ってひとこと言うのと同じような重さの内容だった。
ていうか、生徒のことを思うのなら、ひとこと言って終わってくれる方が一番いいと思うんだけど…。
まぁ、終わったことはもういいや! 早く教室に戻って点呼を受けよう。
「よーし。全員いるね〜」
点呼を終えて、教室を見渡す真里子先生。
「みんな一学期ご苦労様! わかってると思うけど、明日からは夏休みになります。体に気をつけて、元気に楽しい夏休みを過ごしてくださいね〜! 先生からは以上です。では、きりーつ。礼!」
「ありがとうございましたー」
みんなが元気な返事を返した。
よく考えてみたら本当、ご苦労様って言ってもらいたくなるような一学期だったな…。
朝起きたらシュバーレさんに女の子にされちゃって、その上居候するし。
毎日のように騒がしいし。
もう、本当にご苦労様。ぼく。
「なーに言ってんのはじめちゃん! 本当に忙しいのはこれからだぜ? みんなはじめちゃんのこと好きなんだからさ、ねっ」
「シュバーレさん……」
「ん?どったのはじめちゃん」
「心…読みましたね?」
「ごめんなさい! このとおりです! はじめちゃんが元気なさそうだっから、つい…」
土下座をして謝るシュバーレさん。
「あ、いいんですよぉ! シュバーレさん、ぼくのこと心配してくれたんですよね? ぼくこそ心配させてごめんなさい。さ、早く家に帰りましょうよ」
「そうだね、ありがとう。じゃ、帰るか」
「はい!」
明日から夏休み。さぁて! 忙しくなるぞー!