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第四十五章:七夕。中編

今回は美佐視点です。

7月7日。午後6時過ぎ。

夏だからまだ日は高いけれども、だんだんと空が赤く染まってゆくこの時間。

今私は、エルと前田と谷口君を連れて、夕飯の材料と笹につける短冊を買いに近くのデパートに来ている。

なぜ、前田と谷口君がいるかと言うと、私は初めて行くデパートなので、

「どこに何があるか分からなかったら困りますし〜」

と、はじめくんが谷口君を道案内としてつけてくれたのだが、なぜかオマケまでついて来てしまったというわけだ。


「ふぅ〜。あとは夕飯の材料だけですね」


1.5リットルのジュース5本と短冊50枚セットの入ったカゴをブラブラさせながら言うエル。

…あぁ…私としたことが、お使いの紙を無くすとは一生の不覚…。

いったいどうすれば…。


「美佐さん?」

「な、なんだい?」

「はじめちゃん。夕飯何にするって言ってました?早く買って帰りましょーよ」

「それが…」


言えない…紙を無くしたなんて死んでも言えない!

くっ…なんだ…今夜、はじめくんは何を食べる予定でいるというのだ…?

…そうだ!!はじめくんの気持ちになって考えるんだ!

今日の夕飯は…………




…どうしよぅ…私には分からない…。


「美佐さん…もしかして…」


あ〜あ。と言うような目で私を見るエル。

くそっ…気付かれたか…私だって無くしたくて無くしたのではないのだぞ!こんちくしょうめ!

そしてそのまま話し続けるエル。


「はじめちゃん、夕飯の材料言うの忘れてたんですね?」

「えっ?……あ…う、うん。そうなんだ!はじめくんが…」


すまないはじめくん…だが、こうするしかなかったんだ…。


すると、エルがはじめくんから借りていた白い鞄からケータイを取り出し、誰かに電話をし始めた。


ピッポッパ!プルルル…

カチャッ


『あ、もしもし春崎ですけど…』

「あ!はじめちゃん。あのですね…」


ピッ!ツーツーツー…


私はすかさずケータイを奪い、電話を切る。


「な、なにするんですか!?」

「は、はじめくんには私が聞くよ。…いや、聞かせて!私に聞かせて!」


エルに電話をさせたら私が紙を無くしたことがバレてしまう。それだけは絶対に避けなければならない!私は今までエルの前で失敗はしたことがないのだ!

今まで、そうやって完璧な姐さんキャラを築いてきたとゆうのに…。

こんなドジを踏んだと知ったら私のキャラはボロボロだ…。

ここはなんとしても私がはじめくんに聞く必要があるのだ!ねぇ!そうでしょ!?

…いや、まぁ、うん。そうなんだよ。


「よし。あとは私がはじめくんに材料聞いて買っとくから、エルはもう帰っていいよ」


そう言って私は、ポケットからケータイを取り出す。

その間にエルは、

「あ、そうですかぁ?じゃあお言葉に甘えてアタシ先に帰りますね」

と、言って私のもとから離れて行く。

…よし。


ピッポッパ!プルルルル…

カチャッ


『はいもしもし春崎ですけど…』

「あ、はじめくん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」

『あ、美佐さん。いいですよ。聞きたいことってなんですか?』

「いやぁ…恥ずかしながら、ちょっとお使いのメモを無くしてしまったみたいなんだよ。それでね、夕飯の材料を教えてもらおうかと思って電話をしたのだが…」

『あ、そのことでしたらちょうど今電話しようと思ってたんですよ!』

「おぉ!それなら話が早い!ではさっそく頼むよ」

『…美佐さんメモ忘れてましたよ』

「なに!?そんなはずは………あっ!」

『ねっ忘れてたでしょ?』

「すまない…」

『いや、謝ることじゃないですよ。それより、夕飯の材料ですけど…』

「うむ」

『シュバーレさんの要望でカレーの予定だったんですけど、急遽バーベキューってことになりましたんで、お肉とお野菜などを買ってきてください。あ、あとタレとかもお願いしますね』

「オーケー任せて!なるべく早く買って帰るからね♪」

『はい!お願いしますね〜』


ピッ!ツーツーツー…


よし!任務完了!いや、任務開始ぃー!

さて、さっそく野菜売り場に…。


「……あっ…」


ハイテンションでくるりと方向転換した私の目の前に現れたひとりの男…前田…。

なぜか前田はニヤニヤしながら私をじっと見ている。

…なんだ?なんかとっても嫌な気分だぞ…?

しかも笑顔って…言っちゃ悪いが気持ちが悪い。

エルだったら今ごろ大泣きしているだろう。今更ながら思うが、確かにこれは恐怖だ。


「聞いたぞ。紙無くしたんだって?」


ニタニタしながら前田が言う。

くそっ!理由はないが、なんかとてつもなくウザい。


「バカ者!忘れたのだ!無くしたのではない!」

「その上、あの天使ちゃんにバレるとマズいんだろ?」

「な、なんでそれを!」

「さっきからブツブツ言ってたじゃないか」


しまったぁ!私としたことが!声に出しちゃってただなんてぇ!


「だ、だからどうしたと言うのだ。お前には関係のないことだ」

「確かに、俺には関係のないことだ。…ハハハハハ!まぁいい。夏休みが楽しみだよ。ハーッハッハッハッハァー!」


そう言って私の前から去って行く前田。

いったい何だったんだ?

前田が去った後、私には、謎とストレスだけが残った。

…さて、野菜売り場に行かないと…。




「あ、谷本。まだ買い物終わってなかったのか?」


私が野菜売り場でキャベツやらピーマンやらをカゴに入れていると、谷口君がやってきた。

どうやら本を買いに行ってたのか、手にはビニール袋に包まれた参考書のようなものを持っている。


「そうだ。まだ、買い物は終わってないのだ。なのに前田は意味が分からないことを言ってどっか消えるし。エルは帰ったし(まぁ、帰らせたに近いが)。私ひとりでこの荷物を持てとゆうのか?まったく…私を何だと思っているんだあいつらは…」

「ふーん…。まぁ、いいんじゃね?もともと、はじめに道案内と荷物持ち頼まれたの俺なわけだし。ほら、カゴ、俺が持つよ」


優しく手を差し延べる谷口君。

優しいなぁ…。い、いや!私はけっしてときめいてなどおらんぞ!ちょっと優しいなぁって思っただけなんだから!

そして私は再び野菜に手を伸ばす。


「な、なぁ、野菜、もういいんじゃねぇか?」

「え?」

「俺、野菜あんまり好きじゃないんだよな…」


意外なひとこと。そうなのか…知らなかった…。

なんか勝手に野菜とか好きで、なんでも食べるって思ってたよ。


「ふふっ。そうだね。じゃあ、お肉選びに行こっか」

「お、おう…」


谷口君の動きが止まる。


「あれ、どうしたの?谷口君」

「いや、谷本も女の子っぽく笑うんだな〜って」

「な、なに言ってんの!私だって笑うさ!」


やばい!なんだこれ!?わけわかんないよ!顔が熱いよ!


「おぉー!」

「今度はなによ!?」

「谷本も照れてるんだな〜って」

「あぁ〜!もういい!さ、お肉買ってさっさと帰るぞ!」


そして私は、谷口君に荷物を持ってもらって買い物をすませた。

…よぅし!早く帰って夕飯の準備だ!


どうも、リリィです!

いやぁ〜これからどうなるんだろ?

いちおう七夕は、残る後編でお終いなわけですが…どうしよう?全然考えてないや!

まぁ、何とかなると思います。ノリで!

というわけで、今回も、本編、後書きともに読んで下さってありがとうございました!

また次回も読んでいただけるととっても嬉しいです!


それでは、リリィでしたー

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