第三章:転校生
なんか無理矢理感ありまくですが、気にせず呼んでもらえたら嬉しいです。
ガラガラガラガラ…
「はぁ…はぁ…ま、待ってくださいぃー!」
僕は校門を閉めている生徒指導の広谷先生に向けて叫んだ。
僕の通う学校は
「遅刻した生徒は入れさせないぞ!」
といわんばかりに時間ピッタリに校門を閉める。
…ていうか、珍しいよね? 校門を閉めて遅刻した生徒を指導する学校なんて!
「ん? 誰かと思えば……春崎か? いやぁー! 変わったなお前は! ずいぶんと可愛くなってー!」
あぁ…誉められてるんだろうけど、全然嬉しくないのはなぜ? この不快感はなぜ?
「はぁ…はぁ…はぁ…そ、それより先生…」
「なんだ?」
「はぁ…はぁ…僕、遅刻ですかぁ…?」
「…いや、ギリギリセーフってことにしてやろう。今日はいろいろあっただろうし、春崎だからな!」
「…僕だから…ですか? どこからその理由が出てくるんですか先生ぇ?」
「き、気にするな…それより早く教室に行け! ホームルーム始まるぞ!」
「あぁ! それは大変だぁ! 先生! ありがとうございます!」
「もう遅れるなよー」
タタタタタタタ…
「うおぉぉぉ!」
「おっ! 前田か? お前アウト! 遅刻!」
「なんで俺は遅刻に!? はじめにはセーフって言ってただろ!?」
「はい、まずその言葉づかいから直せ。それに、お前には遅刻の理由がないだろ?」
「理由? ありますよ! 俺だって!」
「なんだ?」
「睡眠不足」
「そうか、それはお前が悪いな。今後とも気をつけろ」
「なんてことだ…広谷先生ともあろうお方が、はじめがいくら可愛い女の子になったからって評価を上げようと遅刻をセーフにするとは…はじめは元は男ですよ!?」
「おい前田! なんてことを言うんだ! 春崎はもう女の子だぞ? そんなこと気にするな!」
「おぉ! …先生! 本当のところ俺もそう思ってます! 俺は、美少女になったはじめを、女として見ていくつもりですよ! はじめは究極の美少女だ! 俺はそんな美少女と友達だということを誇りますよ!」
「そうだろ! そうだろ! 春崎は俺から見ても素晴らしい美少女だ! 完璧だよ春崎は! 俺は自分の理性を保つのにイッパイイッパイだったんだ! セーフにしたってバチはあたらんさ!」
「そうですよ先生! はじめは完璧ですよ!」
「「はははははは!」」
「……なに言ってるんですか?」
僕は、僕のことについて熱く語りあっている二人の可哀想な男に向けて言った……
「は、春崎!! …お、お前…どこまで聞いてた?」
「……一部始終聞いてました…なんか先生が、すごい大きな声で語ってましたんで…」
そう、僕は先生に
「教室に行け」
と言われて、教室に向かおうとしていたら先生と前田の異様な会話が聞こえたから校門まで戻ってきたんだ…
「おぉ! はじめー! 俺のために帰ってきてくれたんだな? そうだろ!」
「僕は先生と前田の異様な会話が聞こえたから戻ってきたんだ…」
「おぉ! 先生の声が春崎の心に届いたんだな!? 先生嬉しいぞ!」
「だから! 先生と前田が異様な会話してるからでしょ!? おかげで僕、遅刻しちゃったじゃないですか!! どうしてくれるんですか!?」
「……すなかった…先生熱くなりすぎた…」
「えっ? …いや……わかってもらえたならいいんです……あと、これからは熱くなるなら、もっとまともなことで熱くなってくださいよ?」
「なにをいうか!! はじめの素晴らしさを語ってなにが悪い!? 美少女の素晴らしさを男が語りあってなにが悪いと言うんだ!? …いや! 悪くない! 男は語ってこそ、見い出せるものがあるのだから! ……ひでぶ!!!」
はい。僕の正拳突きが、前田お腹にのクリーンヒット! そして、奇妙な声をあげて倒れる前田……殴った手が、かなり痛い…
「えっ? えっ!? うそっ!? 前田? ねぇ? 前田!? 大丈夫? 大変だ! 保険室に連れてかなきゃ!」
「…春崎。前田のことは、先生に任せて、お前は早く教室に行け」
「えっ? いいんですか? でも僕のせいですし…」
「行きなさい。ここは先生に任せなさい!」
「…じゃ、じゃあお言葉に甘えて…前田をお願いします。」
タタタタタタタ!
前田を先生に任せて、僕は教室に向かった。
僕のクラスは1―3。
僕は高校1年生、1年生は6クラス編制だ。
その6分の1の確率で僕は3組になったわけだけど、運が悪いことに前田も1―3…あぁ…これから僕の学園生活はどうなるの…?
そんなことを考えていると、教室に着いた。
廊下に人がいるから今は休憩時間かな?
ガラガラ…
「あら! 春崎君! 遅刻なら事前に先生に連絡しておいてよー! 私、欠席って書いちゃってるじゃない!」
「あ…はい。すみません…」
入るなり僕に注意してきた担任の佐藤真理子先生……女子には、真理ちゃんって呼ばれてるの聞いたことあるなぁ…あ、どうでもいいか…ていうか全然普通に接してくるなぁ…まぁ、そっちのほうが嬉しかったりするんだけど
「はい。みんな席に着いてー! 授業始めますよー!」
ガタガタガタ…
一斉に席に着くみんな。
このクラスってイイコばっかりなんだなぁ…
「は〜い! 今日のロングホームルームはみなさんに嬉しいお知らせがあります。…なんと! 転校生を紹介しまーす! さぁ、入っていいわよ。」
ガラガラ…
「どうも! 天気神です! よろしくね!」
教室に入ってきたテンション高めの転校生…なんかシュバーレさんに似てるような…
「はい。天気君は…え〜っと…あそこ! 春崎君の隣に座ってね! 席空いてるから!」
「分かりました!」
スタスタ…
「よろしくー! はじめちゃん!」
はじめちゃん? …てことは…この人シュバーレさん!? …でも髪の色とか違う、僕と会ったときは金色だったのに天気君は黒だし…名前も違うし…
「髪は染めたんだよ」
「…………」
うん。この人シュバーレさんだ。確実にシュバーレさんだ。またなぜ学校に?
「後から行くって言っただろ?」
「天気君? 心読みすぎだよ? 僕、怒るよ?」
「すみません」
「わかってくれたならいいよ。それよりなんで偽名なの?」
シュバーレ・ウェザー・ゴッドって名前じゃなかったっけ…?
「失礼な! 天気神はオレの日本の名前だ! 偽名じゃないぞ! 天気はウェザーで、神はゴッドだ! だから天気神なの! わかった?」
「シュバーレはどこいったの?」
「ははは…気にしない気にしない」
うぅ…すごい気になる…
「はい。みんな注目ー! 驚くことなかれ、転校生は一人じゃないわよー! どうぞー」
今日は先生テンション高いなぁ…しかも転校生がもう一人!?
ガラガラ…
「はじめまして。宇佐美麗香と申します。どうかよろしくお願いしますわ」
う〜ん…なんかこの人キャラ濃いぞ…お嬢様?
「はい。宇佐美さんも春崎君の隣に座ってね!」
……また僕の隣ですか…
「わかりましたわ」
スタスタ…
「どうも。春崎さん。よろしくお願いします。仲良くしましょうね!」
「うん。よろしくね。あっ! はじめでいいよ」
「そうでございますか?それでは、私のことは麗香と呼んでくださってもかまいませんわ」
「うん。わかったよ麗香さん」
「それよりはじめさん。なんではじめさんは、先生に春崎君って呼ばれてますの? 女性なのに不自然じゃなくって?」
「あ、あぁ……それはね…」
ロングホームルームは麗香さんと話をしていたら終わってしまった。