第三十八章:牛乳
今は…えっと…午後8時過ぎ。
ぼくは女の子になってから日課となった日記を書いていた。
「…よし。今日の分おーわりっと!」
そう言ってぼくは、パタム。と、日記帳を閉じた。
もう、晩ご飯は食べたし日記は書いたし、今日は宿題無いし…あと、なんかすることあったっけ?う〜ん…。
ガチャッ!
「おっじゃましまーすぅ!」
ぼくが考えていると、突然部屋に入って来たエルちゃん。元気だなぁ…夜になったらからテンション高いのかな?この娘。それとも前田がいなくなったから?泣くほど怖がってたし…。
それより何の用だろう?
「はじめちゃんはじめちゃん!いっしょにお風呂入ろー!お風呂っ!」
あっ…お風呂がまだだったんだ…。
「え〜っと…ダメッ。」
「なんでー?!今日から家族の一員になるんだから、裸のお付き合いのひとつやふたつ…。」
「エルちゃん?その言い方はなんかおかしくないかな…?」
「大丈夫大丈夫。ちょーフツーだよ!ちょーフツー!」
いや、ちょーフツーって…どんだけ普通なの!?
普通よりも普通ってなんなのさ?!
「ごめんねっ。ぼく、ひとりで入りたいんだ。だから…」
「あ〜…そんなの知ったこっちゃないわ。アタシははじめちゃんと背中の流し合いっこがしたいの。それだけッス!」
「いや…だから…ねっ?ぼくはひとりで…」
「はいはい。話はお風呂場で〜」
「だ〜か〜ら〜!」
「はいはーい!話はお風呂場でね〜」
「いやだぁぁぁぁ………」
ぼくはエルちゃんに引っ張られる様にして、お風呂場へ連れてかれた…。
――30分後――
「いやぁ〜いい湯だったね〜はじめちゃん!」
「ま、まぁまぁね…。」
君がいなければとても快適でしたでしょうよ。
まぁそんなことは絶対口には出しませんけど…。
お風呂から上がったぼくたちは……はぁ………。ぼくたちは、Tシャツに短パンという、まさに風呂上がりだぜ!といった格好で、裸足でペタペタ歩きながら、冷蔵庫のあるキッチンへ向かっている。
お風呂上がりといえば牛乳!そう!フルーツ牛乳かコーヒー牛乳!もしくは普通の牛乳を飲まなければ、お風呂上がりと言えないと言っても過言ではない。…いや、ごめんなさい。過言です。
そんな、お風呂上がりの絶対条件。牛乳を飲むために、ぼくたちはキッチンへ向かっているのです。
ガチャッ
「ふぅ〜涼スィ〜。冷蔵庫様様だねはじめちゃん!きっどこんなかで寝よったらなまら気持ちよかよね〜。」
「いったいどこの人ですか?!」
「牛乳星人さ〜。好物はバナナミルクよ〜。」
「は、ははは…宇宙人なんだぁ…そうか〜…出てく?」
「うそ!うそよ!アタシはエルちゃん!天使のエルちゃん!フルーツ牛乳大好きなエルちゃん!」
そう言いながら、冷蔵庫からさり気なくフルーツ牛乳を取り出し、カブガブと飲むエルちゃん。
じゃあぼくはコーヒー牛乳をば。
「それよりはじめちゃん。」
「なに?」
「いつ天界行くの?シュバーレのパパに会いに行くんだよね?」
「……あぁ!忘れてた!」
「やっぱりぃ〜」
「シュバーレさ〜ん!!」
ぼくは急いでコーヒー牛乳を飲み干し、シュバーレさんの部屋へと向かった。