第三十二章:神様帰宅
「う〜ん。ご飯オイスィー!あ、卵焼きも最高!」
「すごい!このウインナータコさんにしたことにより、旨味が増してる!」
なにを言ってるんだこの人達は…
シュバーレさんの部屋を出て、キッチンに向かった美佐さんとエルちゃん。
ぼくがキッチンに着いた頃には、もう、これでもかとお弁当を食い散らかしていた。
ぼくが日記を部屋に置きに行かなければこんなことには…って、お弁当はどうなるの!?
「あ、はじめくん!一緒に食べよ!」
「…いや、美佐さん?お、お弁当は?」
「…………」
ぼくがそう言うと、困った顔をして黙る美佐さん。
いや、分かるよ。食べたことくらいさ、なのにそこで、困ったわ…どうしましょ?私ったら食いしん坊ね♪って顔をするのはやめてくださいよ…意味が分かりません。
「…食べちゃった♪エヘ♪」
「は、ははは…ですよね…」
あぁ…どうしよう?作り直すにしても、もう9時半過ぎてるし、時間足んないよ…
「はじめちゃん!お弁当なら大丈夫よ!シュバーレに頼めば一発ですから!」
「いや、エルちゃん?その肝心のシュバーレさんがまだ帰って来てないじゃないですか」
「大丈夫大丈夫!はじめちゃんが祈ればすぐ帰って来るはずよ!」
「えっ?なんでぼくが?」
「だってはじめちゃんはお気に入りだから!」
そう、笑顔で言うエルちゃん。
いや、お気に入りって…ぼくはおもちゃか!!
それより、なんでシュバーレさん天界に行ってるんだろ?今日のピクニックを提案したのはシュバーレさんなのに
あぁ…シュバーレさん帰って来なかったら、この2人はぼくが相手しなきゃいけないの?ぜったい体が保たないよ!
もう!シュバーレさん早く帰ってきてよー!
『呼んだ?』
「えっ?」
「どうしたのはじめくん?」
「い、いや!なんでもないですよー」
…あれ?さっきシュバーレさんの声がしたような…
『どうしたのはじめちゃん?』
あっ!また…なんだろう?心に響いてくるような声…いったいどこにいるの?
でも、あたりを見渡してもシュバーレさんの姿はない。
帰って来てるんじゃないの?
『ごめんごめん。まだ天界にいるんだ。今からけぇるからさ』
あっ!まただ!
…でもこの感じ…前にも一度あったような…
『帰ってから教えてあげるよ』
えっ?
――5分後――
「たっだいまぁー!」
「おーう。シュバーレ!お前も飲むか?野菜ジュース」
「いらん。それより、はじめちゃんは?」
「部屋にいると思うぞー」
「サンキュ!」
トタタタタ……コンコンッ!
「はじめちゃん?」
「………」
「入るよ?」
ガチャ…
「えっ!?シュ、シュバーレさん?!の、ノックくらいしてくださいよ!」
「いや、したけど…」
オレが部屋に入ると、なぜかあたふたしているはじめちゃん。
…えっ?つーかなぜにオレ視点?
…まぁ、細かいことはいいや!
ドアの開く音でオレの方を向いたはじめちゃん。
あぁ…顔、赤くしちゃって…かわいらしいなぁ。
さっきまで音楽を聞いていたのか、はじめちゃんの耳からタラリタラリとイヤホンのコードが垂れている。
だからノックに気付かなかったのか。
あと、机の上には急いで置いたであろうシャーペンと消しゴムが転がっている。
はは〜ん…なにか書いてたのか…まさかオレへのラブレター!?
帰ってきたオレにラブレターを渡して『うふふ♪びっくりしたぁ?はい。好きです。あの…言葉でどう言えばいいのか分からなくって…これが私の気持ちです!』みたいな!ハハハー!
はじめちゃんったら健気ね〜
はじめちゃんが望むなら、オレはいつだってオッケーなのにー
「…なに笑ってるんですか?」
「い、いや!別にー」
「そうですか?」
「もう、全然!それより、はじめちゃんこそ、何かあるんじゃない?」
「あ、また心読んだんですか?なら話は早いですね!」
おぉっと!心なんて読んじゃいないのに…はじめちゃんったらまさか本当に!?
「さっきの声のこと教えてください。あと、天界へ行ってた理由もー!」
「あ、あぁ。あれね!声ね…」
「はい。声です。前にもシュバーレさん意外の人の声を聞いたことがあるんですけど、シュバーレさんと何か関係あるんですか?」
は、ははは…ですよねですよね!やっぱり無理ですよねーラブレターなんて!はじめちゃんがラブレターなんて…夢の見すぎかな?オレ神様なのになー…(息子だけど)
……
……
……
えぇーい!クヨクヨしてても始まらない!とりあえず、次回へ続く!またなっ!