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第三十章:シュバーレさんのお部屋。

「わぁぁぁぁぁぁぁぁおはようございますぅぅぅぅぅぅ!!!」

あまりの驚きに、なぜか挨拶をしてしまうぼく。

「わっ!こ、こちらこそぉぉぉぉぉおはようございまっっすぅぅぅぅぅ!!」

えぇ!返された?!なんだ!?いったいなにが起きた!?てゆーか、なんでシュバーレさんの部屋に女の子が!?

わけわかんないよー!


――30分前――


「さて、手始めに卵焼きでも焼まくろうか!」

キッチンにやってきたぼくを見て、美佐さんが言った。

なんか、黄色いくまさんのプリントがされているかわいらしいエプロンまでしてやる気満々みたいだ。

「あ、卵焼きはぼくがしますよ。」

「そうかい?じゃあ頼むよ。…おっと!はじめくん!ダメじゃないか!」

「え?なにがですか?」

器に入っている美佐さんが溶いたであろう卵を持った瞬間、美佐さんが言った。

ダメって…なにが?ぼくは別に悪いことはしてないはずだけど…

「エプロンを着けないと!ほら、そこに用意してあるから、着て。むしろ着ろっ」

そう言って、机の上に丁寧にたたまれているエプロンを指差す。

たたまれてるから形は分かんないけど、真っ白い綺麗なエプロンだ。

そしてぼくは、言われたとおりそのエプロンに手を伸ばす。

「……………」

…訂正。ちょっとおかしい真っ白いエプロンだ。

無駄に袖とか裾とかがヒラヒラフリフリしている。

これじゃあまるで、危ないメイドさんだ。

いや、それだけならまだいい。

よく見ると、ヒラヒラフリフリしている付属品が、エプロンに包まれている……カチューシャ?

…本当に危ないメイドさんだ

「あの…美佐さん?なぜに…」

「お黙り。さぁ、着なさい。拒否権はないのよ」

「いや、卵焼くのにカチューシャは…」

「お着けなさい。さぁ、なにをしてるの?お着けなさい。」

怖いよ!美佐さん怖いよー!なんでそんなに目がマジなの?!おかしいよ!

その間に、手に包丁を持った美佐さんがぼくに詰め寄ってくる…いや、別に脅されてるわけじゃない。たまたま野菜切ってたから包丁持ってるだけだよ。

「ねぇ、着けて。いいじゃない。かわいいんだからっ」

「いや、かわいいとか言われてもですね…」

「じゃあ、おもしろいんだからっ。ねぇ?ねぇ?ねぇ?」

「はいっ!わかりました着けます!だからねっ…そのねっ…包丁、下ろしてください。おねがいですから…」

クイクイッと手を動かし、包丁をキラキラさせる美佐さん。

うわっ!危ない!切れる!耳、切れるって!

「よし。着けなさい。」

「…はい」

カパッ

装備完了。

【防御力が5上がった】

あぁ…朝からなにやってんだろぼく…

ぼくは真人間でいたかったのに…

「あら、やっぱり似合う」

「うぅ…じゃあ、卵、焼いていいですか…?」

「あぁ。存分に焼きたまえ!私は他の料理を作るから」

「はい。おねがいします」

とりあえず美佐さんに他の料理をまかせ、ぼくは卵焼きを作ることにした。

よし!まずはフライパンを出さなきゃ!

ぼくは、卵焼き用(?)の四角いフライパンを出して、火にかけた。

そして、フライパンが温まったのを確認し、油を注ぐ。

適当にフライパンに油を馴染ませ、卵を少しずつ少しずつ流し込む。

ジュ〜

卵の焼ける音とともに、卵焼きのいい匂いがする。

適度に焼けた卵をクルクルと巻き、また卵を流し込む。

その動作を何度か繰り返すと、立派な卵焼きの完成!

そして、完成した卵焼きを、お皿へと移した。

「できたぁ!」

うん!我ながら、綺麗な卵焼きだ!うん。

「おぉ!はじめくん。上手いもんだねー。これならお嫁にいっても安心だ。ははは!」

「…笑えませんよその冗談…」

「いや、すまないね。つい…」

ついって…酷いなぁ…

ていうか、お嫁にいくきなんてさらさらないですよ。

「あ、そうだ!はじめくん。シュバーレを起こしてきてくれないか?」

「えっ?お弁当できてからじゃなかったんですか?」

「いや、なに、あいつにも手伝ってもらおうと思ってね。というわけで、頼むよ」

「はい。わかりました」


…で、今に至っていると…

「あ、あの…」

「あ、はい」

申し訳なさそうに口を開く女の子。

ていうか、誰なの?

「アタシ、エルって言います。あなたが、はじめちゃんですか?」

「う、うん。そうだけど…」

「ず、ずいぶんかわいらしい趣味をお持ちのようで…」

…いや、待てぇい!

まず、かわいらしい趣味っていったい……………あぁ!

「ち、違います!間違えました!人違いです!私は、はじめの従姉妹のペサ子です!よく似てるって言われますけど、けっしてはじめではありません!」

いやだ!第一印象が、『変な趣味の危ない人』なんて、絶対にいやだ!

なんとかして誤魔化さないと!

「い、いや…だって最初にはじめって…」

「ち、違うの!あれはねっ!ノリでねっ!言っちゃったの!」

「は、はぁ…では、はじめさんはどこにいますか?」

「ちょっと野暮用でいないの!もうすぐ帰って来ると思いますから!」

「は、はい!」

「じゃあ、この部屋から出ないで下さいね!帰ったらこの部屋に来るように言いますから!それではー!」

「あぁ!ちょっとペサ子さーん!」

「さようならー!」

ガチャッ!バタン!

ダダダダダダダダダダ!

「美佐さん!美佐さん!お部屋に女の子が〜!!」

二階にあるシュバーレさんの部屋を勢いよく飛び出たぼくは、叫びながらキッチンへ向かった。

「み、美佐さん!女の子が!シュバーレさんの部屋に女の子がいます!」

「なにぃ!!シュバーレめ!はじめくんと言う者がありながらなんて奴だ!よし!行くぞはじめくん!」

「はい!ぼくは関係ありません!が、シュバーレさんは健全な高校男子の敵です!女の子とお部屋で一緒に一夜を過ごすなんて許せません!行きましょう!」

「私に続けはじめくん!」

「はいっ!」

そしてぼくは再びシュバーレさんの部屋へ向かった。

…あ、その前にエプロンとカチューシャ取らなきゃ!


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