第二十一章:おひっこし。
「さぁ帰るか!」
天界野球場・イーストダイヤモンド☆を出て、言った第一声がそれだった。
「んじゃ、ゲート出すからさ!…よいしょ。」
ブゥン!
天界に来るときはちょっと時間がかかったはずのゲートを、『よいしょ』のひとことで開門させたシュバーレさん。
「さぁ、みんな飛び込めー!ちなみに出口は、はじめちゃん家の前だからね!」
「は〜い!」
シュッ!シュッ!
次々とゲートに飛び込んでいくみんな。
なにこれ?よく分からない展開なんだけど…
「よし!みんな入ったな…あ!ちょっとはじめちゃん!君はまだだってば!」
「みふぇ!!?」
ゲートに入ろうとした僕の襟を掴み、シュバーレさんが言った。襟をひっぱられたせいか、変な声をあげてしりもちをついてこけてしまった僕。
「痛ッ!痛いですよシュバーレさん!何するんですか!?」
「はじめちゃんとミサは、今からオレの家に荷物取りに行くの手伝ってくれー!」
「だ、そうだ。」
ふふっと小さく笑う美佐さん。
そういえばシュバーレさん、僕ん家に居候するんだったっけ…すっかり忘れてたよ
「じゃあ、このゲートに入って!オレの家に繋げたから!」
そう言ってゲートの前で、お先にどうぞ。みたいな動作をしているシュバーレさん。
「ほぅ…レディファーストと言うことか。では、はじめ。行こうか。」
「あ、はい!」
なんか、シュ〜って感じにゲートをくぐると、一瞬でおっきな家の前に着いていた。
今回は移動距離が短いからか、天界に来たときになった、『目の前が真っ白現象』(なんだそれ)にはならなかったみたい。
「…ここにくるのは久しぶりだな…」
「えっ?!なにか言いましたか?」
「いや、なんでもないよ。…そこにすわってシュバーレが来るのを待ってようか。」
そう言って美佐さんが指をさした先には小さな公園があった。
入り口のところには、丁寧にきれいな真っ白いベンチがある。
「はい!そうですね。今日は野球して疲れましたし、すわってまってましょう」
僕はそう言ってベンチへ向かった。
公園のなかは、滑り台やブランコといった公園には欠かせない(?)遊具があり、それで遊んでいる子供たちがいた。
「あの、」
「ん?なんだ?」
「美佐さんって16歳でしたよね?」
「うん。そのとうり。私は16歳だよ。ちなみに誕生日は7月7日だ。」
丁寧に誕生日まで教えてくれた美佐さん。7月ってことは、あと二か月弱くらいかぁ…プレゼントなにあげよう?(またこれは別のお話し)
「はじめは何月生まれなんだい?」
「あ、僕ですか?3月です。3月14日。」
「結構遅いんだね。てことは、今は15歳か…いやぁ若いね。」
若い?そ、そりゃあ高校生なってまだ一か月くらいだからほとんど中学3生と変わらないけど…美佐さんって16歳だよね…まだ全然若いじゃん!
「私も学校に通ってみようかな?」
「美佐さん学校行ってないんですか?」
「うむ。だが、それ相応の学力はあるつもりだけどね。」
「そうなんですかぁ〜。学校はめんどくさいですけど、友達に会えるし、楽しいところですからねぇ。行った方がいいと思いますよ。」
「うん。そうだね。お、シュバーレがきたみたいだな」
美佐さんの目線の先には、旅行カバン5〜6個はゆうにあるであろう量の荷物を持って、笑顔で立っているシュバーレさんがいた。
「はじめちゃ〜ん!手伝ってくれよー!」
グラグラグラリンと荷物のバランスを保ちつつ、僕達の方へ歩いて来るシュバーレさん。
そこにすかさず駆け寄り、荷物が落ちないように手を貸す僕。
「いったいなんなんですかその量は!?なにがはいってるんですか?!」
「え〜っと…まず服だろ、んでカメラ、学校の教科書、筋トレの道具、CD、サイフ、学校の制服、それから…」
「い、いいです!もういいですよ!要するに、全部持って来たんですね?」
「違うよ。必要最低限の物しか持って来てないよ!」
パサッ
「「あっ…」」
荷物の中からスラリと抜け落ちた1冊の雑誌…必要最低限って…エ○本もですか…?
ハハハ!…なんてこったい!
「はじめちゃん!誤解しないでくれ!これは…そう!前田に頼まれた物だからさ!ね?1000円で売って〜とかいってきたからだからさ!オレの私物じゃないからさ!」
素早くエ○本を拾い、力説するシュバーレさん…うん。普通だよね!思春期ですものね!普通だよ普通…
「…そ、そうですよね!じゃ、シュバーレさん!荷物も持ってきたことですし、僕ん家に帰りましょうよ。ね?」
「そ、そうだな!帰ろうか!ちょっとゲート出すから荷物持ってて」
そして、荷物を僕と美佐さんに渡し、ゲートを開くシュバーレさん。
ブゥン
「よし!帰ろう!」
そう言うと、素早くゲートに入っていくシュバーレさん。
それじゃあ僕も帰ろう。
シュ〜…
ゲートに入ったと思ったら、すでに僕の家に着いていた。
「あれ?普通に目ぇ見えてる…ってえぇ!美佐さんがなぜここに?!」
僕の目の前にある僕の家。
その家の前にいる僕の前に美佐さんがいる…
「いや、私も荷物を渡されてね。ノリで着いてきたのだよ。」
あぁそういうことね!
僕がうんうんと納得していると、シュバーレさんがきた。
「はじめちゃん荷物ありがとう!あと、玄関開けてー!」
ガチャっというありがちな効果音とともに開く玄関の扉。
「おっかえりなさぁ〜い!」
最後まで読んで下さってありがとうございます!
題名を見てのとおり前編です。
終わり方を見ても、続きますよ〜!って勢いです。
今更ながら、へたれな文で読みにくいかと、分かりにくいかと、思います。
あ、あと、作品のご意見ご感想とうお待ちしております。
あ、最後に、これからもどうか読んでやって下さい。