第十九章:ベースボール!後編
頑張って書きました!
野球は今回で終了です!
うん。頑張ったんですけどね…
シュッ!シュルルル…
バスン!
は…速い!130キロ後半…いや、140は出てるかもしれない!ショウゴさんや美佐さんはこんな速い球打ったの?!
この人、草野球でもかなりレベルの高いピッチャーだね。
でも、
シュッ!シュルルル…
カキーン!
「ふふっ…こんな球じゃあ僕を抑えるのは無理だよ。」
ストレートのタイミングピッタリにバットを振り抜いた僕。
バットに当たったボールは、いい感じに真っ直ぐ飛んでいく。
かなり広い球場なので、女の子になっちゃった僕の力じゃホームランは無理だけど、前進守備をしていたセンターの上を越え、ヒットになる。
一塁を踏み、二塁へと全力疾走で向かう僕。
その間に三塁を踏み、ホームベースへと向かう美佐さん。
ビュッ!シュー!!!
「なに!?」
二塁へ向かう僕の上を、ものすごい速さで飛んで行くボール…センターの人なんて肩してるの?!
これが属に言うレーザービームってやつ?!
本当に矢のような送球だよ!全く球の勢いが止まらない!
そして、センターの矢のような送球がホームベースのキャッチャーに向かって行く。
スパーン!!
「セ、セーフ?!」
何故か疑問形の審判の人。
ベースに飛込んだ美佐さんは、ゆっくりと立ち上がり、審判の人に言った。
「そんな無責任な判断はよせ。審判は貴方なんだ。自分の判断に責任を持ってくれないと困る。」
「………セーフ!!」
美佐さんの言葉でふっ切れたのか、再び叫ぶ審判の人。
「よし!これで2点めだ。」
小さくガッツポーズをとる美佐さん。
そしてベンチへと帰って行く。
『四番。ピッチャー。高広。』
高ちゃんは、自分の打順が回って来たことが嬉しいのか、表情がとてもいきいきしている。
バットを持ち、気合い十分の高ちゃん。
打席に立つと、ゆっくりと斜め45゜の角度で、空へバットを向けた。
…これってもしかして予告ホームランってやつ?
「タイム!」
すると、相手ピッチャーがタイムをとった。
ワラワラとマウンドに集まってくる敵チームの人達。なにかを話し合っているみたいだ。
2〜3分すると、マウンドに集まっていた人達は、自分の守備位置に戻って行く。
「プレイ!」
審判の人の言葉で、試合再開。
僕達の時なんかより、目が真剣なピッチャーさん。
チラッと高ちゃんを見て、そのまま腕を大きく振りかぶる。
シュッ!シュルルル…
スパーン!
「ストライーク!」
速い!きっと僕のときなんかより全然速い!
気迫むきだしのピッチャーさんは、キャッチャーさんの返投を受け捕り、第二球目を投げる。
シュッ!シュルルル…
スパーン!
「ストライーク!」
二球目もストレートできたピッチャーさん。
高ちゃんの予告ホームランが気に入らなかったのか、それとも、その度胸が気に入ったのか、ピッチャーさんは二球連続で同じコースにストレートを投げてきている。
それなのに、高ちゃんはぴくりとも動かず、二球連続で、キャッチャーさんのミットめがけて飛んでくるボールを見送っている。
そして、三球目を投げるピッチャーさん。
シュッ!シュルルル…
勝負に出たのか、ピッチャーさんは、真ん中高めのコースにストレートを投げる。
カキーン!!
その、ピッチャーさんの全力のストレートを打ち飛ばす高ちゃん。
シューン…
高ちゃんの打った打球は、ライトの頭上を軽々と越え、ライトスタンドへ飛込む。
ホームラン!!
打たれたピッチャーさんはガックリと肩を落とす。
そんなことは気にせず、一塁、二塁、三塁、そしてホームベースに帰ってくる高ちゃん。
「やったな!予告ホームラン成功だ!」
こう言ったのは亮平。
「すごいですわ!男らしかったです!」
これは麗香さん。
「すごいすごい!高広君すごいよ!」
これは高橋さん。
「やるな!高広!」
これはシュバーレさん。
「やるではないか!見直したぞ高広君!」
これは美佐さん。
「やるな!」
これはショウゴさん。
そして…
「てめぇ!高広!これじゃあ俺の見せ場無いだろ!ぜってカットされる!俺はぜってカットされる!」
これは前田…なに?カットされるって?
テレビじゃないんだから…流石にそんなことは…
…
……
………
…………
……………
………………
……………
…………
………
……
…
そんなこんなで、今は三回表。
なんか一気にとんじゃった気が…まぁいいか!
ちなみに今は、6対4で僕達がリードしてるんだけど…
二回表で、高ちゃんが
「俺はもういい。誰か投げたい奴はいるか?」
って言い出して…前田がピッチャーすることになったんだけど、
カキーン!
カキーン!
カキーン!
カキーン!
と、打たれまくり、今にいたっている。
「よし!この回抑えたら勝ちだ!後は、泥船に乗ったつもりで俺に任せろ!」
前の回で散々打たれたのに、何故か自信満々の前田。
それに…泥船じゃあ沈んじゃうよ…
「前田。何か秘策はあるのか?」
「秘策も秘策!俺は変化球を投げる!」
美佐さんの問いかけに、大袈裟に反応する前田。
変化球なんて本当に投げれるのか?といった目で前田を見るみんな。
「な、なんだよ!任せろって!俺に任せろって!」
「いったい何が投げれるのだ?曲がらないカーブか?落ちないフォークか?」
信じられないな。と美佐さんは前田に球種を聞く。
「ナックルだ!」
「よし。行こう。」
前田の腕を掴み、何処かへ向かう美佐さん。
「ちょっと待て!何処に連れていく気だ!?マウンドはあっちだそ!」
「病院だ。」
「いや、待て!何で病院?!何処の病院?!何の病院?!」
前田はジタバタしながら美佐さんに聞く。
「分からないか?精神科だよ。」
「何故?!」
「前田。お前な、ナックルを投げるのは簡単ではないんだぞ!プロでもそう投げる人はいないんだ!それをお前は投げれるのか?」
「当たり前だ!騙されたと思って投げさせろよ!」
いつになく真剣な前田。
ひょっとしたら本当にナックルを投げられるのかも…
「ミサ。前田に投げさせてやろうぜ!前田ならやってくれるさ!」
「…わかった。今回は前田を信じてみることにしよう。」
「よし!行け!前田!お前の真価がとわれるときだ!」
「おぉ!や〜ってやるぜ!」
ハイテンションでマウンドに立つ前田。
一球、二球とストライクをとり、三球目を投げる。
シュッ!シュー……
前田から放たれた球は、ストレートとは比べものにならないくらい遅いスピードで亮平のミットへ向かって行く。
ククッ!
ブンッ!
「ストライーク!バッターアウッ!」
空振りをした人は、何であんな遅い球が…とくやしがっている。
その後の二人も、前田は三振をとり、試合は僕達の勝ちとなったんだけど…
最後まで読んで下さってありがとうございます!
次回からはまた、いつも通りの『ノリ』で書いていきたいと思ってます!