第十四章:天界野球場・イーストダイヤモンド☆
カキーン!
ボールを打ったバットの金属音が響く。
今僕達は、『天界野球場・イーストダイヤモンド☆』にいる。
おしゃれハウス・ウェザーを出た僕達は、近くにある野球場に行くことにしたんだけど、
「ここから最寄りの球場より、逆方向にある球場のほうが、設備がいいぞ?」
と、美佐さんが言ったので、僕達はちょっと遠い球場に歩いて来たわけです。
「おいシュバーレ、先客がいるぞ…」
高ちゃんがちょっと残念そうに言った。
確にユニフォームをきた人達がノックをしている…地元の草野球チームかな?
「大丈夫だ高広! オレ達はあの草野球チームと戦うんだから!」
「何っ!? そ、それは本当か?!」
あ、高ちゃんちょっとテンション上がってきたかも
「そうだシュバーレ! グローブやスパイクや帽子やユニフォームやバットはどうするんだ?」
ユニフォームって…高ちゃん本格的だなぁ。
まぁ僕もまだ制服だから(前田の部屋侵入のせいで)、ユニフォーム用意してもらえた嬉しいかな? なんて。
「それは大丈夫だ。言っただろう? この球場は設備がいいんだ。バット、グローブ、その他もろもろ全て無料で貸してくれるぞ」
「あの〜…美佐さん?」
「ん? なんだ?」
「球場に詳しいんですね! 野球、好きなんですか?」
「わっ! ち、違う! そんなんじゃない! わ、私はこの近くに住んでるんだからし、知ってるんだ!」
「そ、そうですか? すみません。僕のはやとちりです…」
「すまない…気にするな。そ、それより早く野球をしないか? 高広君も好きなのだろう? 野球」
ん? …高広君も…?
「お、おぅ」
「それより、この球場はどうだい? 気に入ってもらえたかい? 私の勝手な判断で決めた場所なわけだが」
「そうだな…グランドはこの目で見て見ないと分からないが、外見、設備、サービスは素晴らしいと俺は思う。まぁ…どんな球場でも、マウンドに立ったときには、野球さえできればどうでもいいと思えてくるがな」
「すごいな…素晴らしいまでの天然野球少年だな、君は」
「…ま、まぁな」
なんか高ちゃんと美佐さんって相性いいかも…
「みんなー! 受付して来たから! 早く着替えようぜ!」
シュバーレさんが入り口のところで、僕達に言った。
それにしても、おっきい球場だなぁ! 東京ドームよりおっきいかも!
すごいなぁ…こんなに立派な球場で、しかも無料で野球できるなんて〜
「はじめ」
「すごいなぁ……」
「はじめ〜」
「…………」
「は〜じ〜め〜」
「……………」
「はじめ!」
「えっ?! あっなに?」
「おいおい。この俺の問掛けを無視したときはそういうプレイかと思ったぞ!? そういうのならまた今度ゆっくりとだな…」
「するかバカッ!!」
「くっ…それは残念だ…まぁいい。なんたって高広のおかげで、はじめのユニフォーム姿を撮ることができるのだからな!! ははは! おじさんが可愛く撮ってやろう!!」
「うん。デッドボールに128回当たってくれたらいいよ。全部頭ね!」
「よし! いいだろう!」
「ごめん。僕が悪かった勘弁して…」
「ブァハハハハ!! 容量はたっぷりアルゾホォー!」
つ、通じてない?!!
なに?! なんで笑ってるの!?
恐い! 怖いよ! 恐すぎるよ!
「アストロン!! アストロン!!」
なに?! 今度はなに!?
【前田は呪文を唱えた】
「わあぁぁぁ! 助けてー! シュバーレさ〜ん!!」
僕は前田に脅えながら、全力でシュバーレさん達のもとへ向かった。